CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH (EMARCY)

CLIFFORD BROWN & MAX ROACH (1954/2/24,8/2,3,6,1955/2/25)

CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH


【パーソネル】

CLIFFORD BROWN (tp) HAROLD LAND (ts)
RICHIE POWELL (p) GEORGE MORROW (b) MAX ROACH (ds)
【収録曲】

(01-03) DELILAH / PARISIAN THOROUGHFARE / THE BLUES WALK
(04-05) DAAHOUD / JOY SPRING
(06-07) JORDU / WHAT AM I HERE FOR
【解説】 ( 2013年10月27日更新 / 連載 1,097回 )

 「藤原の効果」 と 「フー子」 。 今週、よく目にしたキーワードです。 どちらも台風に関係しているんですが、 先週、 「10年に一度の強い規模」 と言われる26号がやって来て、伊豆大島に甚大な被害をもたらしたばかりなんですが、今度やってくる27号の勢力は10月19日10:21現在、中心気圧が 920hPa、最大瞬間風速は 75m/sって、半端ねーぜ、フランシスコ! …と書いた先週の状況から更に強力になって、中心気圧は910hPaまで発達しました。 フランシスコという正式名称に加えて、 「ザビエル」 という愛称も付けられたんですが、とか言ってるうちに新たに台風28号も発生。 こちらの正式名称はレキマーっすか。 ニックネームのほうは28号なので 「鉄人」 でいいと思うんですが、27号と28号が合体して 「55号」 になるらしい。 そんな噂も流れておりました。 過去には六十三銀行と十九銀行が合併して八十二銀行になった経緯もあるので、まったく無いとは言い切れないんですが、このように2つの台風が接近した場合に、互いにどのような影響が及ぶのか。 その問題に言及したのが 「藤原の効果」 というワケなんですが、いいっすよね、藤原。 高校生の頃、藤原をいっぱい集めて一つにまとめて 「藤原のかたまり」 を作ってしまったほど、僕は藤原鎌足をリスペクトしているんですが、桑名の近くには藤原町というのがあったりもします。 今は合併して 「いなべ市」 などという変な地名になっちゃいましたが、藤原氏になんらかのゆかりがある土地柄なんでしょうな。 夜な夜な、藤原氏の落人が 「野ばらのエチュード」 を歌う声が聞こえるという伝説があるし、夜な夜な、キム・ヨナが夜泣きしてたりもして、とまあそれはそうと、藤原の効果。 2つの台風が接近するとどうなるのかというと、いくつかのパターンがあるようですな。

 相寄り型
   弱い方の熱帯低気圧が接近しながら急激に衰弱し、強い方の熱帯低気圧に取り込まれてしまう。

 指向型
   片方の熱帯低気圧だけが干渉を受けて、もう片方の熱帯低気圧の回りを運動するように見える。

 追従型
   片方の熱帯低気圧がまず移動し、その後ろをもう片方の熱帯低気圧が追いかけていく。

 時間待ち型
   東側の熱帯低気圧がまず北上し、その熱帯低気圧が去った後に西側の熱帯低気圧が北上しはじめる。

 同行型
   2つの熱帯低気圧が並行して移動する。離反型東側の熱帯低気圧が加速して北東へ移動し、西側の熱帯低気圧が減速しながら西へ移動する。

 以上、Wikipediaを丸写しさせて頂きましたが、ようするにこれ、どう動くんだか予測不能なんじゃね? そんな気がしてなりません。 とにかく、普通には動かないということ以外、何も分かっていないように思われるんですが、ちなみに今回の場合、27号が超強力な勢力であるのに対し、後発の28号は 「強力わかもと」 レベルのへタレ野郎。 気象庁の観測によりますと、21日午前3時、マーシャル諸島付近の太平洋で熱帯低気圧が台風28号に変わりました。中心の気圧は1000hPa…って、はぁ? おめえ、低気圧でも高気圧でもなんでもない、ただの中気圧なんちゃうの? ま、周囲より気圧が低ければそれで低気圧ということになるので、中には1気圧=1013hPaより気圧が高い低気圧もあったりするようですが、台風としては 「わかもと」 の苦みすらなく、ミヤリサンか新ビオフェルミン程度の甘ちゃんでありますな、こりゃ。 「相寄り型」 で強いほうに取り込まれて消滅するのは目に見えているし、もし生き残ったとしても進路的に桑名のあたりには何の影響もなさそうだし、とりあえず27号の動向にだけ注目しておけばよさそうですが、…とか思っていたら、いつの間にやら状況が一変。 もしかしたら、夢のアンダー900hPaもあるんじゃね? そう、ドキドキしながら期待していた27号は、日本に近づくにつれて、次第に弱体化。 945hPaとか、ヘクソカズラ程度の並の台風に落ちぶれてしまって、情けない事、この上なし。 ヤル気あるのか、ザビエル。 頭のてっぺん、禿げ散らかしてるだけか!? 所詮は10月の台風なので、海水温が低くて力が出ないよぉ。。。 そういう事なのかも知れませんな。 で、一方、名前を覚える気にすらならない、えーと…、レキマーでしたか? 何だか微妙に 「ねぎま」 っぽいヤツ。 そう覚えておくといいかも知れませんが、どうやらベトナムの果物の名前のようですな。 毎々毎回、台風命名委員会みたいなところで一般公募やら、投票やら、抽選やら、多数決やら、委員長の独断やらで名前を決めるのではなく、あらかじめ140種類が決められていて、発生順に機械的に割り当てられるようですが、その一覧が これ 。 14ヶ国で順繰りに命名権が与えられるんですが、日本人には馴染みにくい語感のものが多いですな。 日本のはさすがに分かりやすいんですが、星座の名前というのはちょっと微妙。 オリオンとかカシオペアとかアンドロメダとかペルセウスとかなら格好いいのに、よりによって 「テンビン」 とか 「ヤギ」 とか。 「ウサギ」 はまだ可愛いからいいんですが、かじき座だとか、コップ座だとか、聞いたこともねぇ。。。 今度、新しい台風が誕生するとクローサになって、その次がハイエン。 何だか風邪をこじらせて重篤化しちゃいそうで、嫌ですなぁ。 来年早々にはカジキとファクサイがダブルで襲来して、 こんな感じ になっちゃうかも知れなくて、これはこれでちょっと美味しそうかもー?

 で、ほとんど気にもとめていなかった超弱小なレキマーはどうなったのかと思ったら、2013年10月23日10時30分発表 猛烈な台風第28号は、23日9時には南鳥島の南南西約650kmにあって、西北西へ毎時35kmで進んでいます。中心気圧は905hPa…って、え、マジかよ!? 2日間で95hPaも気圧が下がって、猛烈に発達してるやんっ!! あの伊勢湾台風でさえ上陸時の気圧は929hPaだったというのに、半端ねぇぇぇぇぇぇ! ミヤリサンみたいに甘いと思って舐めて掛かっていたら、途中で豹変して猛烈に苦くなる、正露丸トーイみないなヤツだったんですな。 子供の頃に泣かされましたからねぇ、アレには。 「遠い親戚より近くの他人」 という諺もあるし、トーイなんて、ロクなもんじゃないよね。 そう、ジョン・チカイも言っておりましたが、何でもいいけど28号は27号の養分を吸い取って、こんなに強大化しちゃったんですかね? 幸い、この24日の時点が発達のピークだったようで、その後は920hPaくらいになっちゃいましたが、それでもこのまま勢力を保って日本に上陸したりすると、甚大なる被害が出る恐れが…。 でも大丈夫。 26日08時の時点での進路予想は これ 。 ちょっくら台湾にでも行って、台湾ラーメンでも食べてくっかぁ。 そんなふうにのんびり構えていたザビエルくんでありますが、急速に勢力を伸ばしながら北上してくるレキマーの姿を見て、愕然。 危ねぇぇぇぇ! 日本に近づくなぁぁぁぁ! 大慌てで進路を東寄りに変えて、近付いてくる超巨大台風を弾き飛ばして、僕たちの命を救ってくれた。 そんなところから 「27号フー子説」 というのが、まことしやかに語られるようになりました。  フー子というのはアレですよね。 ドラえもんの これ …の、下のほう。 懐かしいっすなぁ。 小学生の頃、コロコロコミックで読みました。 お小遣いをまともに貰えなかったので、やむを得ず本屋で万引き…したりせず、親の金をくすねて正規のルートできちんと買ったんですが、我ながら立派な判断でありましたなぁ。 親父にバレてめっちゃ怒られて、泣きながら 「これはフルタくんからタダで貰った!」 と言い張って、その主張を正当化する為に、裏表紙にマジックでフルタくんの筆跡を真似した風のサインを書いた。 そんな心温まるエピソードをつい最近、ここで書いたような記憶があるんですが、ガチ泣きでしたな、あの時は。 いや、叱られたのもそうなんですが、フー子に感動して。 僕、大きくなったら自分の家にフーコーの振り子を作るんだ! そんな、ぜんぜん関係のない誓いを立てるジョン・チカイ。 そんな状況だったりしたんですが、ちなみに最初のうちは27号が強大で、28号のほうが女々しかったので、28号フー子説が有力だったんですが、いつの間にか立場が逆転しました。 ま、そのへんは適当というか、なあなあというか、臨機応変にということで。

 あの感動をもう一度味わいたくて、思わず買ってしまいましたがな、 ドラえもん [感動編] 。 で、読み直しました。 感動しました。 オトナでも、いや、オトナになった今のほうがより一層泣けますなぁ、こりゃ。 たまごから育てるんですよね。 で、のび太にめっちゃ懐いています。 情が移りまくりですよね、こりゃ。 「フーン、フーン。」 と甘えるフー子が、めっちゃ可愛い♪ しずかちゃんのスカートを風でまくり上げるといった業務だって着実にこなすし、なかなかやりおるな、フー子! それだけに悲劇的な結末があまりにも悲し過ぎるんですが、ラストの一コマなど、とても小学生向けの漫画とは思えないような日本的ワビサビの極致。 アニメでも楽しみたくて、思わず 『ドラえもん 月額見放題パック』 を申し込んでしまったんですが、これでいつでもどこでも、しずかちゃんのパンツと入浴シーンを見放題♪ …でありますなぁ。 で、ワクワクしながら早速 「台風のフー子」 を見てみたんですが、ああこれ、新ドラやん。。。 しずかちゃんも、ドラえもんも、のび太も、声に違和感がアリアリ。 保守的と言われるかも知れませんが、到底受け入れられませんな、こりゃ。。。 ワビサビに期待したのに、水田わさびだった。 そんな結末に終わってしまいましたが、ダブルタイフーンのおかげで、思わぬ経済的損失を被ってしまいましたなぁ。。。 ま、何のかんの言いながら結局は最後までみちゃったんですけどね。 で、号泣しちゃいました。 これを書いている現在、桑名では綺麗な青空が広がっております。 で、台風はどうなったのかと思ったら、28号は東北のはるか東のほうまで飛ばされちゃったみたいです。 で、2013年10月26日16時30分発表 台風第27号は、温帯低気圧に変わりました。 …って、マジかよぉぉぉ? とうとう力尽きちゃったんですなぁ。。。 残念ながらフー子は 「風の国」 に旅立ってしまったんですが、とりあえず林家パー子はまだ生きてるみたいだし、さ、パーコー麺でも食べよーっと。

 ということで、今日はクリフォード・ブラウン&マックス・ローチっす。 リーダーが2人いる双頭コンボというのは、相当に昆布だったりするんですが、お互いに刺激を与え合って高みへと上り詰めていく 「藤原の効果」 が期待されます。 弱い方の熱帯低気圧が接近しながら急激に衰弱し、強い方の熱帯低気圧に取り込まれてしまうとか、そういうのでは駄目で、サイドマンを含めたメンバー全員が930hPaくらいまでは発達してくれないと駄目なんですが、とまあそんなことで、 『クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ』 。 何のひねりも工夫もないタイトルで、ジャケットのセンスも今ひとつだったりするんですが、個人的にブラウン=ローチ・クインテットの作品の中では、これがいちばん好きっ♪ 今まで取り上げてこなかったのは、ひとえにジャケ絵を書くのが面倒そうだったからなんですが、有名盤や人気盤は敢えて避けるというのがこのコーナーのコンセプトだったりするしぃ。 が、そうも言っていられなくなって今回の登場と相成った次第でありますが、ジャケ絵のほうは既に先行して書き上げちゃっているので、気分的にはめっちゃ楽。 前半ネタとこれさえ片付けば、後はオマケのようなものですからね。 とまあそんなことで、クリフォード・ブラウンマックス・ローチ。 この人たちは日本でも知名度は抜群だし、人気のほうも、ま、それなり。 ブラウン君はブラウニーの愛称で親しまれ、ブラ好きやウニ好きの人たちからも高く評価されております。 ちなみに僕の場合、ブラは大好きで、ウニのほうは今ひとつだったりするんですが、大丈夫です。 が、一般的な人気で言うと、マイルスやリー・モーガンなんかには遠く及ばなくて、恐らくケニー・ドーハムやブルー・ミッチェルよりも下。 どちらかというと通好みのキャラだったりするんですが、あの人達もちょっと症状をこじらせると 「ブラウニーなんかより、ナヴァロのほうが上だよ!」 とか言い出すので、油断はなりません。 ジャズマンの癖にクスリに手を出したり、酒に溺れたりすることもなく、鰯に溺れるサカナ好きの好青年だったようで、そういうキャラって日本ではあまり人気が出なかったりしますよね。 ただ、幸いなことに、25歳という若さで交通事故で死んじゃうという悲劇的な最期を遂げたので、我が国でもわりと好意的に受け入れられているんですが、で、一方、マックス・ローチ。 この人も人気という点ではアート・ブレイキーやフィリー・ジョーには遠く及ばず、恐らくアート・テイラーやロイ・ヘインズあたりよりも下。 気難しそうなキャラであるのと、のちに政治に走っちゃったのが敗因ではないかと思うんですが、ブラウニーと組んでいた頃は純真無垢なドラマー青年といった感じで、好感度もまずまず。 そんな2人が意気投合して立ち上げたクインテットでありますが、個人的には後期のロリンズよりも、ハロルド・ランドが参加しているヤツのほうが好きだったりして、ということで、本作が個人的なベストという結論に至る次第でありますが、ちなみにピアノはリッチー・パウエルで、ベースはジョージ・モロウ。 リッチーは、あの天才、バド・パウエルの実弟でありながら、めっちゃ地味なキャラであることで知られておりまして、ブラウニーと同じ事故で死んじゃってます。 パウエルの奥さんのリッチー・パウ子(仮名)が運転する車が猛スピードで土手か何かに激突しちゃったんですよね。 名前はリッチーなのに、貧乏くじを引いちゃったような生涯でありましたが、で、一方のジョージ・モロウはというと、見たくない、山本譲二、モロ画像。 そんな俳句に詠み込まれて、広く親しまれております。 山本モナのモロならよかったのにぃ。。。

 ということで、1曲目、 「デライラ」 。 ビクター・ヤングの作品なんですが、 「でら、いいでかんわー」 と、名古屋人のヤングにも概ね好評。 日本語に訳すと 「とてもいいので駄目です」 といった感じになろうかと。 いいからアカンというのも何だか変な表現なんですが、文句があるなら名古屋人に言って貰うとして、で、これ、哀愁味を帯びた、めっちゃ日本人好みの曲調だったりしております。 ブラウニーというと、翳り成分皆無の陽性キャラ、でも、夭逝しちゃったね。 そんな印象が強いんですが、アルバムの冒頭にマイナー調の曲を持って来たのは、ちょっと意外。 貽貝というのも、食べてみたら意外と美味しかったりしたんですが、「デライラ」 はご存知、ビクター・ヤングの作になる映画主題歌で、エキゾチックな中近東のムードを漂わせる。 ブラウン=ローチ・クインテットの合奏部 (ブラウニーはカップ・ミュートを付けて吹く) の卓抜さはどうだろう。 バンドが一糸乱れぬ協調ぶりを発揮していたことがこの1曲でよく判る。 編曲に巧みにそったランドのソロ、ブラウニーはオープン・ホーンでソロを吹き、パウエルのピアノ・ソロも上出来だ。 ローチはホーン奏者との掛け合いのあとマレット (トム・トムを中心に) でつづき、後半でシンバルを駆使、華麗なドラム・ソロをしめくくる。 そう、日本語ライナーで油井正一センセイが書いているような演奏が繰り広げられることになります。 一糸乱れぬ。 まさしくそういった感じなんですが、いいっすよね。 一糸纏わぬ、山本譲二 (無修正) 。 ブラウニーも参加したアート・ブレイキーの 『バードランドの夜』 がハード・バップの始まりであるかのように言われておりますが、アレなんかはまだビ・バップの要素が強くて、それに比べると、このプレイは遙かに “ハード” だったりします。 ここでいう “ハード” というのは、イカしたとか、洗練されたとか、そういう意味だったりするんですが、アレンジが凄く洗練されていて、イカしてます。 ちょっぴりファンキーな香りも感じられたりするし、ランドとブラウニーのソロも絶妙。 で、油井センセイもおっしゃっておられるように、リッチーのソロが中近東で習近平なムード全開で、意外と悪くなかったりします。 で、各自のソロの後、 tp→ds→ts→ds の4バースでいい感じに盛り上がって、で、最後にタイコのソロがあって、テーマに戻って、おしまい。 正統派ハード・バップのお手本といっていいような、そんな仕上がりでありました。

 で、次。 ほとんどハズレのない本アルバムにおいて、唯一、ちょっぴり怪しい 「パリジャン・ソロウフェア」 。 リッチーの兄、バド・パウエルの作品なんですが、 「ソロウフェア」 というのは日本人には発音しにくいので、 「パリの大通り」 とか、そんな邦題が付けられることがあるんですが、ブラウニー君たちは冒頭、楽器を使って街の雑踏を巧みに表現しております。 ラッパで車のクラクションのような音を鳴らしたり。 この試みが洒落ていると言えば洒落てるし、はっきり言えば、変。 おかげで全体としての印象が悪くなってしまっているんですが、曲そのものは普通だし,演奏の出来としては、群を抜いて抜群。 ウン・ポコ・ローコ = ちょっと変なのは最初だけなので、我慢して貰うしかありませんが、テーマ部の合奏に続いて、ランドのソロが登場。 淀みのないフレージングと、ノリのいいドライブ感が聞き物です。 続くブラウニーは歌心満載の美しいソロを披露してくれて、で、リッチーのちょっぴり貧乏臭いピアノを挟んで、 tp→ds→ts→ds の絡みがあって、最後はローチのソロで締め。 基本的に前曲と同じパターンではあるんですが、ま、王道っすからね。 黄土色が嫌いではない僕としてはぜんぜん大丈夫だし、とまあそんなことで、ウン・ポコ・ローコな雑踏パートに戻って、おしまい。 いや、ぜんぜんハズレなんかではありませんでした。

 で、次。  『ザ・ブルース・ウォーク』 。 作曲者としてブラウニーの名前がクレジットされておりますが、ソニー・スティットの作になるブルースで、この演奏が世に出るまでは 「ルース・ウォーク」 で知られていたものだ。 そう、油井センセイが指摘しております。 それに新曲名をつけ、作曲者にブラウンの名をクレジットしたのは、疑いもなくプロデューサーの仕業であろう。クリフォードの性格からいって、彼にはそんなことが出来るはずがない。 先生はブラウニーに最大限の信頼を置いている模様でありまして、クリフォードの曲をスティットがパクったと憶測していた模様です。 失礼なオッサンですな。 ちなみに僕はライナーノートの解説を丸パクリしてたりするんですが、これも疑いなくプロデューサーの仕業でありましょう。 ま、僕がプロデューサーも兼務しているワケなんですが、それはともかく、演奏のほうは、凄ぇぇぇぇぇ! シンプルな2管のユニゾンによるテーマに続いてブラウニーのソロになるんですが、途中でランドが絡んでくるくだりは超スリリング。 続くランドのソロでは立場が逆になるんですが、これまたドライブ感が半端なく、ホレス・シルバーのフレーズを使ってみせるパウエルのピアノ・ソロもいい。 あ、このくだりは油井センセイの解説をパクれとのプロデューサーの指示に従いました。 泣く子と地頭には勝てません。 で、この演奏の神髄はこの先にあったりするんですが、管楽器の合奏とドラムスの掛け合い、ローチのソロに続いて、ブラウニーとランドのチェイスに突入。 4小節交換に始まり、それがやがて2バース、1バースへとヒートアップしていくんですが、1小節交換なんて、始めて聞きましたぜ。 で、その勢いのままナチュラルにテーマに戻って、おしまい。 いやあ、圧巻でありました。

 で、次。 ブラウニーのオリジナル、 「ダフード」 。 名前はちょっぴり、だっふんだ。 なんですが、アラビア語で “David” の意味なんだそうで、デヴィット鰈くんはアラビアでは 「だっふんだ鰈」 になるんですな。 カレイ踏んだった、カレイ踏んだった、カレイ踏んづけたったら、ぺったんこ♪ ま、最初から平ぺったいのでさほど問題はないものと思われますが、曲のほうはアレです。 デヴィット風。 曲調ならびにアンサンブルのボイシングにタッド・ダメロンの作風がしのばれる。 そう、御大が指摘しておりますが、言われてみれば確かに駄目論の香りがするような気がします。 ソロ先発はブラウンで、第2コーラスの冒頭、ディジー・ガレスピーの得意のフレーズを引用しているそうですが、僕にはよく分からなくて、で、そのあとリッチー、ランド、ローチとソロが続いて、テーマに戻って、おしまい。 で、続いてもブラウニーのオリジナルで、女医…、いや、 「ジョイ・スプリング」 。 僕はすけべビデオでも女医モノはさほど好きではなく、断然、看護婦派だったりするので、辞書の最後に女医が出てくるのは不本意でならないんですが、ま、日常の生活で 「ジョイ」 なんて片仮名は使う機会がありませんからね。 優先順位が低いのはやむを得ないんですが、台所洗剤はジョイよりも緑の魔女オートキッチン派だ。 それくらいしか使い道が無いんですが、で、曲のほうはというと、明るく正しい正統派のハード・バップ。 そういったところでしょうか。 テーマうんぬんより、ここではブラウニーのソロがただひたすら素晴らしくて、日田市の須原氏も絶賛。 あらかじめ作曲されているかのような。 よくそんな形容が使われるんですが、アドリブでよくこんなメロディが吹けるものでありますなぁ。 僕なんか譜面通りにも吹けないし、キリストの絵も踏めんし、もう散々だったりするんですが、ピアノのソロを挟んだ tp→ds→ts→ds の4バースも歌心満載で、最後はローチくんがブラシの妙技を披露して、でもって、テーマに戻って、おしまい。 一聴すると何気ない小品のように聞こえるんですが、なかなか奥が深いっす。

 ということで、次。  「ジョードゥ」 。 常道のファンキー・チューンと言えるデューク・ジョーダンのオリジナルっす。 …と、ここまで書いて気が付いたんですが、今まで僕が引用していた解説って、油井センセイの日本語ライナーではなくて、ダン・モーガスターンという人が書いた原文ライナーの日本語訳だったんですな。全体をよく見ていなかったので、勘違いしていました。 ということは、スティットのパクリだとか言ってたのはダン君だったワケですな。 『芸能界本日モ反省ノ色ナシ』 とかいう暴露本も書いているし、あまり大した奴ではなさそうですよね、ダン池田。 そういうことなら安心して勝手に引用出来るんですが、ブラウン=ローチ・クインテットはリラックスしたテンポでこの名曲の持ち味を余すところなく捉え、類希な名演を残した。 ただ、ここでは、ランド、パウエル、ローチ、それにローチとホーン奏者による掛け合いが無残にもカットされてしまっている。 そんな裏事情が暴露されておりますが、レコードの収録時間の関係で編集が入っちゃったんでしょう。 ま、酋長に襲撃に入られるよりはマシだと思って諦めるしかありませんが、確かにブラウニーのソロの後、いかにも不自然な感じでテーマに戻って、おしまい。 そういう展開だったりするんですが、ノー・カットのコンプリートな演奏は 『モア・スタディ・イン・ブラウン』 というCDで聴けるので、よろしくね♪ そういうことだそうです。 それにしても、メロディックに歌うが如きブラウニーのトランペット・ソロ、なんという美しい響きであろう。 これこそ黄金のサウンドの極致を示すものだといっていい。 そう、ダンさんも絶賛。 で、ラストっす。  「ホワット・アム・アイ・ヒア・フォー」 。 エリントンの作品で、 『ここにいるのは何故?』 という邦題が付いております。 3分04秒という短い演奏で、ちょっとあっさりし過ぎている感はあるんですが、ランド、ブラウン、リッチーの順で各自の充実したソロが披露されて、最後はローチがきっちりと締めて、でもって、テーマに戻って、今日のところは、おしまい。

【総合評価】 完成度、高ぇぇぇぇ。 そんな1枚でありました。 オススメ♪


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