ROYAL FLUSH (BLUE NOTE)

DONALD BYRD (1961/9/21)

ROYAL FLUSH


【パーソネル】

DONALD BYRD (tp) PEPPER ADAMS (bs)
HERBIE HANCOCK (p) BUTCH WARREN (b) BILLY HIGGINS (ds)
【収録曲】

(01-03) HUSH / I'M A FOOL TO WANT YOU / JORGIE'S
(04-06) SHANGRI-LA / 6 M'S / REQUIEM
【解説】 ( 2013年11月24日更新 / 連載 1,100回 )

 ( 前回 までのあらすじ ) カインズホームの駐車場でソーセージを蒸した。 …ということで、2013年・秋旅レポ (最終回) です。 2泊3日の行程で、初日だけは天気がよさそうなものの、後の2日間は何とも微妙。 そんな予報だったんですが、2日目の夕方までは何とか持ちました。 そこから翌日の昼過ぎくらいまでは駄目っぽいんですが、となると美術館とか、博物館とか、映画館とか、痴漢とか、サバ缶とか、語尾に “かん” が付く系で何とかしなければならないんですが、幸い、長野というところはそういう類いの施設がけっこう豊富だったりします。 かなり微妙なものも少なくないんですが、数だけは揃っているというか。 で、天気予報を見る限りでは南のほうほどマシそうな気がするので、とりあえず諏訪の辺りで何とかすることにしたんですが、と、その前に、2日目の宿泊地である穂高温泉郷で紅葉の写真を撮ってみることにしました。


< 穂高温泉郷の紅葉 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 いいよね、紅葉って。気分が高揚するよね。 そう、コヨーテも言っておりましたが、犬科で色盲っぽい生き物の分際で、生意気に紅葉の美しさが分かったりするんですかね? かく言う僕もバリバリの赤緑色弱だったりするので、他人様と同じように紅葉が鮮やかに見えているのか、甚だ疑問だったりするんですが、とりあえず撮影地は しゃくなげ荘 の駐車場付近です。 朝の時点では傘が要らない程度の小雨だったんですが、雨に濡れた様もなかなか風情があって、悪くはないっすよねー。 (写真・上から2枚目) とか、明らかに道路の左の木が緑色で、右側の木の葉っぱがオレンジっぽく見えるので、僕の色弱の程度は意外と弱いのではないかと安心したんですが、 これ を見る限り、テスト1は黄色の四角しか見えないし、テスト2は黄色い丸しか見えないし、やっぱり、ぜんぜん駄目なような気がしないでもないんですけど。 で、 (写真・ちょうど真ん中) はアレです。 八面大王足湯 。 よりによって、こんな趣味の悪い足湯にしなくてもいいんじゃないかと思うんですが、この辺りで大王くんが八面六臂の活躍でもしたんですかね? ちなみに 「臂」 というのは腕の事なんだそうで、顔が8つに腕が6本。 タコ以下、イカ以下で、腕の数に関しては千手観音の足下にも及ばないんですが、足は2本しかないので、足下はぜんぜん大したことがなかったりするんですけどね、千手観音も。 六臂というのは、どうやら阿修羅とかの三面六臂とゴッチャになっちゃった模様なんですが、顔が8つもあるのに、6Pチーズ。 分けるのに揉めそうですなぁ。 で、 (写真・下から2番目) はアレです。 ベンチの上に幼女の忘れ物らしいハンカチが落ちていたので、それを前ボケに配してみましたぁ。 …という作例です。 何だかよく分からないところが微妙に芸術っぽくて、個人的にはお気に入り♪ で、 (写真・いちばん下) はアレです。 何だか薄暗かったので、とりあえずフラッシュを炊いてみましたぁ。 そういう作例です。 ライトアップっぽくなって、これはこれで、いいかな? そんな気がしないでもありません。

 ということで、諏訪に移動〜。 天気は微妙〜。 思ったよりは回復が早そうで、もしかしたら “カン系” 以外のスポットにも行けるかも知れませんが、とりあえずはネットで探してみて、いちばん小マシそうな気がした 諏訪市博物館 というところを覗いてみることにしました。 前日のアートヒルズのガレた美術館が800円だったので、それくらいは覚悟して1000円札を握りしめていたんですが、お値段は300円と、とってもリーズナブルでありました。 特別展示は 「岩波茂雄とその時代」 というので、誰? …と思ったら、岩波書店の創業者のようですが、展示そのものにさほど特別感はなくて、辻本茂雄のほうがまだマシだったような? が、常設展示のほうは意外と充実しておりました。 撮影禁止なのがちょっと残念なんですが、桂きん枝も撮影禁止だったりする昨今、ま、しょうがないかな…と。 蝶のコレクションとか超充実していたし、土器もたくさんあって、ドキドキ♪ 縄文式土器、凄ぇぇぇぇ! 長い縄で模様を付けたりしたんだと思うんですが、縄文時代の長縄クンは立派な人物だったんでしょうな。 昭和や平成の時代になって、すっかり落ちぶれてしまったんですが、とまあそんなことで、博物館は以上っす。 で、ここ、諏訪大社の近くだったりするんですよね。 今まで何十回と諏訪に来たことはあるんですが、いつも通過するばかりで、諏訪大社がどこにあるのか気にしたこともありませんでした。 一口に諏訪大社と言っても4つほど種類があって、上諏訪と下諏訪に分かれているのは知っていたんですが、博物館に近いのは上社の本宮というものであるようで、いい具合に雨もあがってくれたことだし、せっかくなのでちょっとだけ覗いてみることにしました。


< 諏訪大社・上社本宮 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ここ っすか。 「ほんぐう」 ではなく、 「ほんみや」 と読むのが正解のようですが、いやあ、さすがになかなか立派なものでありますなぁ。 博物館の余興くらいにしか考えてなくて、クルマに一眼レフを置いて来てしまったので、コンデジでの撮影になりますが、適当極まりないコメントのうち、 (写真・下から2番目) は 「御柱」 でありますな。 御柱〜、俺の肩を〜、抱きしめてくれ〜♪ その読み方が正しくないのを日本人の多くが知ってるくらいメジャーになっちゃいましたが、おんばしら。 「乳母氏ら」 って、 “ATOK” ではぜんぜん正しく変換出来なかったりするんですが、 「うば」 じゃなくて、 「おんば」 って読むんっすかね? …と疑問に思っていたら、乳母日傘 (おんばひがさ) という用例が出て来て納得したんですが、乳母車は 「うばぐるま」 だし、日本語って難しいっすなぁ。。。 で、御柱は こうやって おっ立てるようなんですが、ほほぉ。 これは結構スゴそう。 木落としとか毎年のように死者が出るし、一度ナマで見てみたいものでありますなぁ。 7年に1度でしたっけ? 調べてみたら満6年間隔ということで、次回は2016年になるようですが、それまでとても待ちきれないので、ナマの 「かなまら祭り」 で我慢しようかと。 ちなみに本宮のメインっぽい建物は現在修理中だったりして、ちょっとアレなんですが、七五三参りで着飾った幼女の姿もあったりして、なかなかよかったっす。 3歳児や5歳男児は別にどうでもいいんですが、数え年7歳(満年齢6歳になる年)を「帯解きの儀」とし、女の子が行う。 ほう、どれどれ、おじさんが帯を解いてあげようかぁ? …って、いやあ、なかなか楽しそうな儀式でありますなぁ。

 ということで、諏訪大社は終了。 このまま雨は降らずに何とか持ち堪えそうな雰囲気なので、八千穂にまで足を伸ばしてみることにしました。 途中、余力があれば 横谷渓谷 も覗いてみたいところでありますな。 以前、乙女滝から大滝展望台まで歩いたことがあるんですが、なかなかいいところなんっすよね。 横谷観音のあたりは紅葉も綺麗っぽいので、今回はそっち方面を攻めてみようかと。 諏訪から国道299号線、通称メルヘン街道を走って、 柏木博物館 の駐車場に到着〜。 アイドルはAKB48の柏木由紀よりもモーニング娘。のゴマキ派、こどもの日は 「かしわ餅」 よりも 「ちまき」 派である僕としては、あまりソソられるものがない館なんですが、舘ひろしのほうが、まだマシ? 高校生の頃まで、ガチで 「やかたヒロシ」 だと思っていたのは内緒なんですが、化石と鉱物を展示している館なんですな。 意外と楽しそう? もし雨が降っていたらここでも覗いてみようかと思っていたんですが、現在、リニューアル準備に伴い全面休館している模様。 そのまま、おニューにならずに廃業に追い込まれる予感が半端無かったりするんですが、この先にあるらしい駐車場が空いているかどうか分からないので、とりあえずここにクルマを止めて、歩いて観音まで行ってみることにしました。


< 横谷渓谷の上のほう > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 実にいい感じの紅葉ロードを歩いて、5分ほどで駐車場に到着〜。ガラガラっすなぁ。 この先にあるらしい駐車場が空いているかどうか分からないので、とりあえず柏木博物館にクルマを止めて、歩いて観音まで行ってみることにした自分を責めたい気持ちで一杯でありますが、そうこうしているうちに、けっこう強めの雨が降り出してきたりもして、ああん。。。 大丈夫かと思って、クルマに傘を置いて来ちゃったんっすよね。 観音は諦めて戻ることにしたんですが、するとちょっと雨が小降りになってきたので、とりあえずクルマで先の駐車場まで行ってみることにしました。 すると雨がやんだので、観音まで歩いてみることにしました。 その結果、おおぉぉぉぉぉ♪ 観音そのものはショボくて、論じるに値するようなものでは無かったんですが、展望台からの見晴らしが、凄ぇぇぇぇぇ♪ 滝を上から見下ろすという構図はなかなか斬新だし、近くの山の木々の色付き具合も見事。 諦めて引き返さずに大正解でありましたが、絶妙にお天気が何とかなってくれる感じでありますなぁ。 日頃からお便器を愛でているお陰かも知れませんが、とまあそんなことで、メルヘン街道を更に奥へと進んでいくことにします。 途中、 白駒池 の近くを通るんですが、霧が出て来て見通しが悪そうなので、今回はパス。 わりと有名なので、一度は行ってみたいと思っているんですが、なかなか野望を果たせずにいるんですよね、白駒池。 わりと有名なわりに、ATOKでは 「白子米毛」 としか出て来なかったりするんですが、とまあそんなこんなで、八千穂高原に到着〜。 スキー場があったりするところですよね。 長野県内の全スキー場制覇! …を目指して、すぐ近くの小海リエックスには行ったことがあるんですが、八千穂は未体験のまま引退を余儀なくさせる羽目になってしまいました。 行けなかったところは地味なところばかりなので、どんどん潰れちゃってるみたいなんですが、ここはまだしぶとく生き残っている模様。 そんなゲレンデを横目にしながら、 八千穂自然園 に到着〜。 今年の開園は11月5日までということで、店じまい寸前。 今の時期、花は何にも咲いてないだろうし、紅葉の盛りも過ぎちゃった模様で、あまり多くは期待出来そうにもないんですが、とりあえず昼メシ時で腹も減っていたので、 ここ に入ってみることにしました。 事前の調査の結果、 これ がめっちゃ美味そうなので楽しみにしていたんですが、えーと、 「ヤツガネ丼」 って言うんですかね? その正体は (フワトロ信州豚角煮丼) であるようなんですが、まず最初にレジのところで食券を購入するシステムのようであります。 オバチャンに 「メニュー、ありますかぁ?」 と尋ねたところ、壁に掲げられた木の札を指さして、 「ここにあるものなら出来ますけどぉ。」 というご返答。 で、何があるのか見てみたんですが、ん? ヤツガネ丼というのは、見当たらないような? うーん・・・。

 蕎麦系のメニューの他に 「ソースかつ丼」 があって、これは一応、長野のご当地グルメなので、かなりソソられるものがあったんですが、本場は駒ヶ根のほうですからね。 コマガネとヤツガネ。 韻を踏んでいていい感じではあるんですが、わざわざここで食べる必然性はないような気もしたので、この店でしか食べられなさそうな 「山女魚唐揚丼」 というのにチャレンジしてみることにしました。 僕は基本的に魚介類の類いはあまり好きではなかったりするんですが、サカナ系のソソられなさ具合と、ご当地系のソソられ具合を比較した場合、後者が上回ることが多いんですよね。 サカナでも唐揚げなら何とかなるような気がするしぃ。 「じゃ、えーと、この、 “やまおんなざかな” のカラアゲ丼って言うのを…。」 僕はたいへん賢いキャラなので、そういう間違いを犯して大恥をかくという事態は避けられたんですが、 「山女=ヤマメ」 ならともかく、 「山女魚=ヤマメ」 というの読み方は無理がありますよね。 どう考えても 「魚」 が余計なんですが、かと言って山女を唐揚げにして食べるワケにもいかないしぃ。 席に座ってあれこれと苦悩していたんですが、そうこうしているうちに注文の品が到着しました。 ほれ 。 おぉぉぉぉ! 頭がぁぁぁ! 顔がぁぁぁぁ! 口がぁぁぁぁ! 僕はサカナの何が嫌かって、皮とか頭とかの部位が苦手なんですが、これはモロに山女魚たんの顔の部分を唐揚げたものではありませんかぁ。。。 ま、事前の調査でそれは分かっていたんですが、それでも 「ご当地系を食いたい欲」 に負けちゃったんですよね。 で、これ、見た目はちょっとグロいんですが、お味のほうは、なかなか。 カラっと唐揚がっているので、頭も骨も気にならずにバリバリとイケちゃいます。 甘辛いタレが美味しいし、下に敷かれたキャベツとの相性も抜群。 店のオバチャンは売店の売れ残りのリンゴを 「お口直しにどうぞ。」 と言ってサービスしてくれたし、なかなかいいお店でありますなぁ。 ちなみにロッジ…ではなく、ロッヂなので宿泊も可能。 ついでに、隣接する自然園の管理もやっている模様ですが、とまあそんなことで、散策開始〜。


< 八千穂高原 (その1) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 自然園の入場料は300円。 ロッヂに置いてあった八千穂高原のパンフを持参すると50円ほど割引きになります。 パンツを持参しても何のサービスも受けられないので注意が必要ですが、シーズンオフということもあってか、客は誰もいませんなー。 人がいない代わりに熊が出そうな気配が半端無かったりするんですが、園内マップを見ると 「熊穴」 なんてのがあったりするしぃ。 ビビりながら熊除けの鈴をチリンチリンさせながら歩いたんですが、白樺林がなかなかいい感じ。 紅葉とのコントラストも楽しめます。 これで天気がよければ最高に気持ちがいいんでしょうが、霧が出ていたりしても、なかなか神秘的だったりするんでしょうけど。 園内は手付かずの自然が残っている感じで、哲和くんも満足。 それでいて、遊歩道や看板がきっちりと整備されていて、なかなかよく出来ていると思います。 時間と体力に合わせて3つのコースが設定させているんですが、1.5km、50分の 「青の小径」 というのがお手頃でいい感じです。  しばらく歩くと急に水の音が聞こえてきて、 “飛竜の滝” というのが登場。 何だか飛竜頭が食べたくなってきちゃいますが、滝と言っても直瀑ではなく、いわゆる渓流瀑と呼ばれるタイプで、規模的には地味地味。 写真でよく紹介されるのは、もう少し下にある 「もみじの滝」 のほうなんですが、なるほど。 こちらも規模的にはプチレベルながら、なかなか絵になりますなぁ。 もう少し下流の渓流っぽいエリアも、心が洗われますなぁ。 で、その先を更に進んでいくと、


< 八千穂高原 (その2) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 (写真・いちばん上) の 「遊亀湖」 というところに出ます。 小学生の頃、遊亀 (ゆき) という名前のギャルがいたんですが、思春期を迎えて、この名前はかなり嫌だったのではなかろうかと、心中をお察し致します。 あだ名はまんま 「カメ」 だったしぃ。 もしかしたら亀田クンと恋に落ちて、亀田遊亀という名前になって、亀山に住んでいたりするかも知れませんが、で、この遊亀湖、モロに人工物っぽくて、景観的には今ひとつ。 お天気のほうも、だんだんパッとしなくなってきちゃったしぃ。 霧が出て来て (写真・上から2番目) みたいな、いい雰囲気も味わうことが出来たんですが、ついには雨も降り出してきて、ああん。。。 ま、すぐに管理棟まで戻ることが出来たので、大事には至らなかったんですけど。 で、しばらくすると雨も止んだので、近くの白樺林の中を歩いて、八千穂レイクというところまで行ってみることにしました。 が、思ったよりもクソ遠いし、ずーっと下り坂で、帰り道が半端ない上り坂になっちゃうのが確実なので、引き返して、クルマで再びレイクを目指すことにしました。 遊亀湖はショボかったんですが、こちらのほうは思ってた以上に立派でありまして、この時だけ奇跡的に青空が広がったりして、旅の最後を飾るには、なかなかよい結果となりました。 とまあそんなことで、メルヘン街道を下って山梨県側に抜けて、今回の旅は、おしまい。 そこから桑名までが思っていた以上にクソ遠くて、長距離運転で疲労困憊しちゃいましたが、思った以上に天気のほうも何とかなってくれたし、中房温泉の地獄蒸し以外は 「当たり」 の企画ばかりだったし、夏の宮津やら、天橋立やら、城崎温泉やらの時よりも満足感は高くて、そんなこんなで、以上っす。

 ということで、今日はドナルド・バードっす。 今年の2月にお亡くなりになっていたことが判明した追悼記念 (?) ということになろうかと思いますが、日本でのこの人の取り扱いって、ちょっと微妙だったりしますよね。 超一流というワケではなく、1.33流くらいのキャラということになろうかと思うんですが、もっと2流っぽいヤツを聴いてる俺、カッケェ♪ そんな風潮があったりして、バード辺りを褒めると馬鹿にされそうな気配が半端無かったりします。 下手に長生きしてフュージョンなんかに走っちゃったのもマイナス要素ではないかと思うんですが、でもまあ、萌え茄子尿素よりはマシだと思うし、死んじゃったんなら、もう許してやってもいいんじゃないか? そんな気がしないでもなくて、とまあそんなことで、今日は 『ロイヤル・フラッシュ』 というアルバムを取り上げてみたいと思います。 最近、ポーカーとかやったことがないので、それがどういう役なのか忘れてしまいましたが、えーと、 ここ に説明がありますな。 そんな役、無いやんっ! …という事実が判明した次第でありますが、ロイヤル要素が “10-J-Q-K-A” でストレート成分を含有しているので、ロイ・スト・フラ = ロイ・フラ。 そのように考えていいんっすかね? ま、僕としてはジャケ絵を書く際に文字が少ないほうが楽なので、別に不満はないんですが、で、これ、面子的にはなかなか興味深いものがあったりします。 バリトン・サックスのペッパー・アダムスが入っているのは、準構成員のようなものなので、さほど珍しくはないんですが、ピアノがハービー・ハンコック。 バードとハンコックの出会いは、 ここ に嫌というほど詳しく書かれているので、暇な人は読んでみるといいと思うんですが、なかなか興味深いものがありますなー。 で、本作はこの話から10ヶ月ほど後に吹き込まれた次第でありますが、生粋のハード・バッパーであるバードが、若手ばりばり@ハンコっくんから刺激を受けて、どのような変貌を遂げるのかが鑑賞のポイントでありますが、とまあそんなことで、では1曲目。

 まずはバードのオリジナルで、 「ハッシュ」 。 このタイトルを見るとどうしても、あら、こんなところに牛肉が♪ …という 「ハッシュドビーフの歌」 が頭に浮かんでしまうんですが、冷蔵庫の中で存在を忘れられているような牛肉って、それ、腐ってんじゃね? そんな気がしてならないんですが、ま、肉は腐りかけがいちばん美味しいとか言いますからなぁ。 ハイエナとか、それ専門だし。 で、ドビーフではない、ただの 「ハッシュ」 はというと、シャッフルのリズムが印象的なCのブルース。 そういう作品であるようですが、ゴスペルっぽさが半端無くて、日本人のウケは決してよろしく無さそうな雰囲気がフンプンと漂っております。 せっかくハービーを入れたのに、このザマか。 そんな落胆ムードで一杯でありますが、ま、あの兄ちゃんも 「ウォーターメロン・マン」 とか、喜んでやっちゃうタイプだったりしますからね。 バードの 「フュエゴ」 が大丈夫な人なら耐えられるに違いなくて、で、バード、アダムス、ハービーと続くソロは、どれもなかなかの仕上がり具合。 見た目、インテリ白人銀行員風のアダムスがバリバリとバリサクを吹く様は何とも言えずカッコいいし、若きハンコっくんの反抗期的なソロも秀逸。 ま、ファンキー路線も悪くはありませんな。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 歌物バラードの 「アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー」 。 個人的にはビリー・ホリディの歌と、リー・モーガンの演奏の印象が強かったりする曲なんですが、ここでのバードの吹きっぷりは、ソー・クール。 そうくるかぁ。 そう、感心しちゃうような仕上がりだったりするんですが、ワン・ホーンで淡々と哀しい恋の歌を奏でておりますな。 ちなみに、ここではアダムスくんはお休み。 ハービーのソロもフーチャーされなくて、正直、ちょっと単調だよね。 そう、タンチョウヅルが生意気なことを言っておりますが、町長が単調だと文句を付けるのならまだ分かるんですけど。 とまあそんなこんなで、次。 バードのオリジナル、 「ジョージーズ」 。 タイトルはセントルイスにあるライブ・スポットの名前なんだそうですが、山本譲二とかが常時出演するんですかね? で、曲の出来としては、作曲家としてのドナルドの魅力が発揮された野心作の一つと言えるだろう。 そう、原文ライナーでレナード・フェザーくんが評しておりますが、ジョージ・ラッセルの提唱する 「リディアン・クロマティック・コンセプト」 の影響が云々…という、小難しい話も。 リリアンを編み編みするクロマティの顔が浮かんで来てしまいましたが、凡庸なハード・バップとは一線を画した斬新な仕上がりでありますな、こりゃ。 テーマの後、バード、アダムス、ハービーの順で参加者各位のソロが披露されるんですが、ハンコっくんの完成度、パネェ! ハンコ食ってる場合じゃねぇ! 昔、 「ハンコください」 というお菓子がありましたよね。 …というのを、ハンコっくんでふと思い出したりしたんですが、とまあそんなことで、次。 これまたバードのオリジナルで、 「シャングリラ」 。 何だか、しゃんとしたゴリラみたいで、あまりいい印象が無かったりするんですが、シャングリラって、理想郷でしたっけ? サンガリアのパチモンでは無いっすよね? この曲を仕上げるにはずいぶん時間がかかったよ。ドラムスをリズムのキープだけに使うという、ありきたりな手法から脱したかったんだ。ここではむしろ、パーカッションがあって 初めて作品が成り立つというような、そんな使い方をしてみた。 そう、バードくんが語っているようですが、知的クールなハービーのイントロに続いて、わりかしファンキーなテーマが登場するという、そういうアレだったりします。 で、確かにビリー・ヒギンズのタイコの叩きっぷりは、ただの4ビートとは一線を画しておりますな。 ソロ先発はバードで、なかなかに新主流派風でモーダルなムード。 続くアダムスは普通にバリバリなんですが、それに続くハービーがやっぱり凄くて、で、バードが再登場して、けっこう盛り上がるソロを披露してくれたりして、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、しゃんとしておりました。

 で、次。 またまたバードのオリジナルで、 「シックス・エムズ」 。 正しい読み方はよく分からなかったりするんですが、オープニングでは、ハービーが 4/6のリズムを設定した後、ホーン・セクションが登場し…と、この辺りにタイトルの意味するところが発現されているような気がしますな。 で、以下、最初はユニゾン、次には10度の音程で、きわめてシンプルで感動的なテーマを提示する。 ドナルドとペッパーは、控え目ながらも確固たる自信に満ちてソロを展開するが、うんぬん。 そう、レナードくんが書いておりますが、ドナルド・バードをドナルドと略されると、どうしても例の鳥のキャラが頭に浮かんできちゃいますよね。 ま、バードと略しても普通に鳥なんですけど。 ハービーのソロもまた、混ざり物のないダウンホームなブルースの雰囲気を漂わせている。 そうも書かれているので、 「スイカ男」 みたいなのかと思ったら、それよりは都会派アーバンなので大丈夫だったんですが、ま、わりと全般的にアーシーな作風ではありますな。 ということで、ラスト。  「レクイエム」 はハービーのオリジナル。 「鎮魂歌」 っすか。 無駄に語呂がいい日本語の代表格なんですが、その他には 「墾田永年私財法」 とか。 途中に 「ん」 が2つほど入ると全体的にイケる感じなんですが、「検便は勘弁」 とかもいいっすよね。 で、曲のほうはというと、 「鎮魂歌」 というタイトルにふさわしい作品であるにもかかわらず、陰鬱な印象を与えることはない。 まずピアノとホーン・セクション、続いてホーン・セクションとリズム・セクションが、クエスチョン&アンサーあるいはコール&レスポンスと呼ばれる形式でテーマを提示する。ドナルド得意のゆるやかにつながった、自由奔放に流れるフレーズと力強いサウンドは、うんぬん。 そういった演奏が展開されることになるんですが、バード → アダムス → ハービー。 ソロ・パートは毎回このパターンばかりなんですが、全然あきませんな。 大阪弁で言う 「あきまへん」 ではなくて、純粋に飽きません。 流麗な歌心 → バリバリなバリサク → クールなファンク。 この流れが鉄板と化しております。 それに加えて今回はブッチ・ウォーレンのピチカートもフィーチャーされていたりして、でもって、テーマに戻って、おしまい。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】 ドナルド、ぜんぜん悪くないぢゃん。 で、ハービーって、やっぱり凄ぇぇぇ! そう、再認識させられる1枚でありました。 ペッパー・アダムスもペッパー警部みたいに邪魔をしたりしないし、オススメ♪


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