HOMECOMING (MAINSTREAM)

ART FARMER (1971,1972/6/4)

HOMECOMING


【パーソネル】

ART FARMER (flh) JIMMY HEATH (ts,ss,fl)
CEDER WALTON (p) SAM JONES (b) BILLY HIGGINS (ds)
WARREN SMITH (prc) JAMES FORMAN-MTUME (conga)
【収録曲】

(01-03) HOMECOMING / CASCAVELO / SOME OTHER TIME
(04-05) BLUE BOSSA / HERE'S THAT RAINY DAY
(06-07) CASCAVELO (Live) / LET'S BOOM CHITTY BOOM (Live)
【解説】 ( 2013年12月15日更新 / 連載 1,103回 )

 冬ですなぁ。 ついこの前まで 「ぴぃ夏」 だったのに、あっという間にクソ寒くなってしまって、やりきれません。 ヤリキレナイ川の辺りは、もっとクソ寒いんでしょうなぁ。 …と思って北海道夕張郡由仁町の気温を調べてみたら、朝9時の時点で−9.0℃。 やりきれませんなぁ。。。 僕の部屋は9.5℃もあるので、ぜんぜんマシだと言えるかも知れませんが、それはそうと、 「ぴぃ夏」 って、何? そう疑問に思われた人がいるかも知れませんが、これはアレです。 下請けの電気屋さんが着ていたTシャツっす。 椰子の木が生えた南の島っぽいところに、ピーナッツが落下傘降下する絵が書かれておりました。 なんで落下傘? …と、ちょっと疑問に思ったんですが、ああ、落花生と掛けてるワケですな。なるほど! で、調べてみたら、ありました。 ほれ 。 夏夏夏夏、ココナッツ〜、愛愛愛愛、アイランド〜♪ そんな歌は聞いたことがあるんですが、 「ぴぃ夏」 というのは初めて見ました。 なかなか可愛いとは思うんですが、工事写真を撮らなければならない現場監督の立場としては、この背中を見るたびに 「ぴぃぴぃぴぃぴぃ、ぴぃ夏〜♪」 というメロディが頭に浮かんできて、ちょっと困ります。 語呂は今ひとつよくなかったりですけどね。 で、そうこうするうちに秋になって、 「茄子茄子茄子茄子、秋茄子〜♪」 とか歌っているうちに、あっという間に冬になって、冬の歌は、えーと…、特に思い浮かびませんな。 春になれば、 「春になれば〜♪」 という歌があるし、 「永谷園のマーボー春雨〜♪」 もあるしで、和田アキ子も安泰なんですが、いやあ、春が来るのが待ち遠しいですなぁ。 とまあそんなことで、今日は個人的な春レジャー計画について書いてみたいと思うんですが、来年の4月には淡路島にいってみようか? そんなふうに思ったりしております。 よさ気な宿を探した結果、その所在地が淡路島だったというのがその理由なんですが、その宿というのは ここ なんですけどね。 海辺のオーベルジュ っすかぁ。 オーベルジュって、個人的には 「お便所」 ほど好きではなかったりするんですが、フランス料理がさほど好きではない僕としては、まだ便所飯のほうがマシなような? が、部屋と風呂にはめっちゃソソられるものがあるんですよね、ここ。 春レジャーは、年度末によく頑張った自分へのご褒美 (笑) という事で、月曜日に有給休暇を取る予定なんですが、日曜日泊だと、お一人様でもわりとお値打ちに露天風呂付き客室に泊まることが出来ます。 この宿でいうと、 これ 。 スパテラスぅぅぅ♪ 天照大神 (あまてらすおおみかみ) ゆかりの淡路島なら、スパテラスやろ? そんな説得力に溢れたルームだったりするんですが、バルコニーが広くて、よさそうですなぁ。 渚のバルコニーで待ってて、ラベンダーの、夜明けの海が見たいの、そして秘密〜♪ この “秘密” のところに大いに想像力を駆り立てられるんですが、あんなことやら、こんなこと。 ああん、そんなことまでぇ♪

 ま、僕の場合、誰も待っててはくれないので、余計な想像力を働かすだけ無駄なんですが、海を眺めながらの露天風呂。いいっすよね。 ただ、サントピアマリーナを眺めるハーバービュータイプのほうは、ちょっと微妙なような? お湯に浸かってのんびりしていたら、サントピアマリーナに係留されているヨットの戸塚宏と目が合っちゃいそうで、ちょっと嫌。 ヒロシくんはいないとしても、辛坊治郎とは目が合うかも知れなくて、辛抱たまらんっ! ここはやはりオーシャンビュータイプのお部屋で紀淡海峡を眺めながら、辛坊くんの忌憚のない意見に耳を傾けたいところでありますが、で、 海辺の湯巡り というのもいいっすよね。 ここ、ホテルニューアワジのグループなんっすな。 東海地方の住民にとっては、琵琶湖温泉・ホテル紅葉に比べると、知名度はさっぱりだったりするんですが、関西人にとっては 「有馬兵衛の向陽閣」 と同じくらい有名らしく、えーと、 これ っすか。 正直、インパクトは今ひとつっすな。 出来としては こっち のほうが断然いいっすよね。気分が高揚します。 で、 こっち のほうも、無駄にテンション高過ぎぃ。 俺、オトナになったら絶対、はだか天国に行くんだ! そう、心に誓わずにはいられませんが、その夢が叶えられることがないまま、倒産しちゃいました。 子供の頃に連れていってくれなかった父さん、どうしてくれる!? ま、トーサンのピーナッツチョコで手を打ってもいいんですが、で、一方、ホテル・ニューあ〜わ〜じ〜♪ こちらのほうはまだ健在のようで、というか、洲本温泉だけでもニューアワジまるけ過ぎぃ。 どうやら経営が傾いたホテルや旅館を軒並み傘下に収めているようなんですが、専用グラスボートを利用してグループ宿の温泉を巡れるというのはいいっすなぁ。 専用グラスボートというリゾートな響きとは裏腹に、写真を見る限りではショぼい屋形船にしか見えなかったりするんですが、 この 無駄に充実したクチコミを見る限りでは、ちゃんと海の中が見えるようですな。水中が見えるグラスボートなんですが、時間も一瞬だし、めぼしい魚もいないのがご愛嬌。クラゲはいっぱいいましたけどっ! ま、クラゲが見えれば問題はないんですが、カップル向けホテル!? …というのが、ちょっと気になりますなぁ。 「甘茶でかっぽれ」 とか、踊らされるんすかね? だとすれば、ちょっと嫌ですなぁ。。。

 ということで結局、ここはやめることにしたんですが、いや、かっぽれが理由というワケではなくて、ただ何となく。 洲本温泉って、確かにオーシャンビューっぽいんですが、 これ を見る限りではテトラポットとか防波堤とかで、ちょっと微妙な感じが。 アワジの一員なら、 こっちのほう がいいんじゃね? そんな気がしたので、こっちのほうに変更することにしました。 元は違う宿だったのが、経営が傾いたところでアワジに乗っ取られた感が半端なかったりするんですが、 景観 には期待が持てそうな気が。 残念ながら露天風呂付き客室は確保することが出来なかったんですが、あんなのは正直、1回入ればそれで納得しちゃいますからね。 勿体ないから3回くらい入って、それで何とか元が取れる感じなんですが、だったら貸切露天風呂でも、よくね? そんな気がしないでもないので、予約してやりましたぜ、 プライベートガゼボ 。 ちょっぴりダボハゼっぽくて、あまりお洒落なネーミングとは思えないんですが、 「まんてん」 と 「ゆうあみ」 、2つのタイプがある模様です。 2名様利用¥3,150円。 お一人様利用でも大丈夫っすか? そう、恐る恐るお尋ねしたところ、特に問題は無さそうだったんですが、無論、お一人だからと言ってお値段が半額にはならないんですけど。 時間制限が1時間なのと、湯上りの休憩場所として「カナディアンガゼボ」「オービットラブシート」「足湯ゾーン」があります。 …という、ガゼボスペースが利用出来るのは嬉しいんですが、これは 「まんてん」 と 「ゆうあみ」 の共有スペースっすよね? 僕は21:15〜の 「まんてん」 を押さえたんですが、21:30から 「ゆうあみ」 を利用する、ゆうくん (仮名) & あみちゃん (仮名) と、被っちゃうような? ま、僕も本名は、ゆうくん (略称) だったりするので、ダブルゆうくん&あみちゃんで、3Pだねっ♪ そういう展開でも一向に構わないんですが、もしかしたら向こうのゆうくんはめっちゃ構うかも知れないし、となると 「オービットラブシート」 を占領されてしまって、ぜんぜん使えないという事態も懸念されます。 もしそうなったら、夜にはライトアップされ、ロマンチックなシチュエーションを演出してくれる足湯ゾーンを占拠して、旅の語らいを独り言でぶつぶつと呟いてやるぅ!  気味悪がって逃げ出してくれたりしたらラッキーなんですが、で、お料理のほうはというと、 このプラン をチョイスしました。

 いつ見られなくなるか、分かったものではないページでありますが、 ☆島の恵みをあなたの好みで選べる 「島会席 at シェフズテーブル」 【旬房 海楽-KARAKU-】 というやつです。 僕は基本的に、宿で出された料理はあまり好きではないものでもとりあえずは食い尽くすというのを信条としているので、 「海老しんじょう」 とかでも食べなければならなくなっちゃうんですが、いや、普通に食えるからぜんぜん問題はないんですけどね、海老しんじょう。 「海老死んだじょー」 とかだったらちょっと嫌なんですが、ま、しんじょうだって死んじゃってるから、似たようなものではあるんですけど。 で、このプランの場合、前菜・吸物・そしてその日にあがった新鮮なお勧めのお魚をまずはお造りで。 ここまでは選択の余地がないんですが、小鍋は予約の時点で2種類からチョイス出来るみたいです。 今の時期だと [A] 淡路島3年とらふぐてっちり鍋 [B] 淡路牛しゃぶしゃぶ鍋…のどちらか。 [B] は通年固定のようで、 [A] のほうの春バージョンは現時点では不明なんですが、サカナ系であるのは確実。 ちなみに淡路島3年とらふぐというのはアレです。 通常は2年育った時点で食われちゃう運命にあるらしいトラフグに延命処置を施し、3年間真心を込めて育てたものなんだそうです。 肉系だと若鶏とか、子牛とか、子羊とか、若いうちに食べちゃうほうがよさ気だったりするんですが、サカナはそうでもないんですかね? 淡路島のブランドらしいので、ちょっと食べてみたいような気もするんですが、春には恐らく桜鯛とかになっちゃうだろうし、ここはひとつ、淡路牛しゃぶしゃぶ鍋で、ヨロシク! で、続いてはメイン料理をチョイス。 ちょっと安い “カジュアル” のほうだと1品しか選べないんですが、無駄に小金を貯め込んでいる僕は当然、2つ選べるほうのプランを選びました。 差額は1,050円なので、メインといっても正直、あまり大した料理ではなさそうな気も? 全部で15種類ほど用意されているようですが、海老の塩焼とか、旬魚の煮付とか、鱚の天麩羅とか、確かにちょっと微妙。 で、今、気がついたんですが、安くないほうにある淡路牛のステーキ (フィレまたはサーロイン) が、安いほうには無いんですな。 1,050円ケチらなくて、大正解♪ で、もう1品は淡路牛ロースのポトフにするか、鶏の赤ワイン煮にするか、ちょっと迷うところではあるんですが、両方とも食うっ! で、淡路牛のステーキは捨てるっ! そういう大胆な選択もあったりするんですが、大丈夫か、さば君。気は確かか?

 実を言うと僕は洲本温泉のアワジ軍団での湯巡りを見捨てたワケではありません。 日帰りプランも充実しているんですよね、ここ。 例えば、宿泊を見捨てた “島花” だと、 これ 。 シエスタプランとか、スペシャルデイユースプランとかは、お一人様では駄目っぽいんですが、メシ食って、風呂に入るだけなら大丈夫。 3つの温泉に入れて、グラスボートも堪能出来そうなんですが、見れるとしてもクラゲだけみたいだし、ランチプランだと飯の中身もちょっと微妙かと。 で、ニューアワジ本家のほうだと、 これ 。 “島花” の風呂は諦めなければなりませんが、あまり大したことは無さそうだし、飯の選択肢の多さに大いにソソられるものがあります。 お食事処 そのものがいくつかあるんですが、ジャズが流れるオープンキッチンのダイニングで淡路島の旬の料理とお酒が気軽に楽しめる 「バル淡道」 。 ほぉ。めっちゃよさ気ですなぁ。 ば…バルタン道 (どう) ? 何だかバルタン星人としての生き方を極める行為や、それを基本とした様式と芸道。 そんな世界を彷彿させますが、 「淡道」 と書いて 「あわじ」 と読ませたい模様です。 「バル淡路」 では捻りがないと思ってしまったんですかね? ま、僕としてはジャズさえ流れてくれていれば、 たんどうでも、あわみちでも、もこみちでも何でもいいんですが、どうせなら 日帰りカジュアルプラン (バル特別懐石+入浴券) にしてやるぅ! お値段は6,800円。 安い宿なら2食付きで余裕で泊まれちゃいますな。 ま、このお値段では夕食が魚の煮付だけでも文句は言えないところなんですが、こちらのほうはお泊まり無しの1食付きでこのお値段なので、食わせて頂けるものはさすがに豪華。 普通にディナーコースっすよね。 昼間っから贅沢してんじゃねぇ! そんな内なる声が聞こえてきたので、ちょっぴり自粛して、 (一汁三菜膳+入浴券) のほうにしておきました。 一汁三菜膳。 名前からして、ご飯と、味噌汁と、白菜と、ザーサイと、チンゲンサイ。 そういったメニューでも文句は言えないんですが、前菜と、季節の三種盛 (造り) と、淡路牛の石焼。 十分っすな。 というか 5,300円って、これでも十分に昼間っから贅沢過ぎますよね。 (淡路島牛丼+入浴券) で十分な気もするんですが、ま、ここは勢いで押し切っちゃいましょう。 ちなみに風呂の部の料金は1,500円みたいなので、それを差し引いた分がメシ代ということになります。 こいつを初日の昼に持ってくれば、2日目の夜はステーキ無しでもいっかぁ。 そんな気がしないでもないんですが、果たして “淡路牛の石焼” というが如何ほどのものなのか、乞うご期待♪ 固くて、イカほどの噛み切れなさだったりしたらちょっとショックなんですけど。

 で、 淡路島牛丼 もどこかで押さえておきたいところですよね。 いかにも最近になって出来たパチモンご当地グルメっぽいんですが、何年か前に食べた こいつ は美味しかったっす。  淡路ハイウェイオアシスにある 「みけ家」 というところのヤツ。 今回はまた違ったのを食べてみたいところなんですが、明石で玉子焼き (明石焼き) も食べてみたいし、加古川の 「かつめし」 も美味しそうだし、姫路おでん…は、別にどうでもいいんですが、淡路島だと あわじ島バーガー も捨てがたいし、で、淡路と言えば、粟島のゆるキャラで “泡姫ちゃん” というのがいるんですが、それに対抗して “泡爺 (あわじい)” とか、作らないんっすかね? …とか思っていたら、既にかなりの数が存在している模様です。 ほれ 。 うーん、どれもこれも。。。 ワケがわからんところにリンクが貼ってあったりするしぃ。 で、明石だと こんなの が。 あかし玉子焼ひろめ隊のキャラ、その名も 「ひろめちゃん」 。 明石でも、玉子焼きでもなく、そっから名前をとったんかいっ! で、本州四国連絡高速道路の わたるくん というのも、かなり微妙。 明石海峡大橋、瀬戸大橋、しまなみ海道で、色違いのヤツが3匹いるようなんですが、性格は少し照れ屋で控えめです。困った人を見かけると助けずにはいられません。どんな障害があっても創意工夫し頑張るみんなの縁の下の力持ち (橋脚だけに!!) です。 うまいっ! で、 『わたるくん ゆめのかけはし』 という絵本も読んでみたんですが、お船さんも、お魚さんも、わたるくんに簡単に論破され過ぎぃ。。。 そんな気がしないでもないんですが、みんな、人がいい…というか、船がいいというか、魚がいいというか。 ま、世の中、根っから性悪なヤツなんていない。そういうことなんすかね? 渡る世間に鬼はなし (わたるだけに!!)です。 とまあそんなことで、おしまい♪

 ということで、今日はアート・ファーマーっす。 渡る世間に水野晴郎なし。 そう言われても、にわかには信じがたい容姿の持ち主として有名なんですが、よーしパパ、晴郎ヒゲ、生やしちゃうぞ。 そんなノリで、あんな容姿になっちゃったんでしょうな。 ま、ジャズマンって大抵、晴郎ヒゲを生やしちゃってるんですけど。 晴郎来い、早く来い、歩き始めたみぃちゃんが〜♪ (以下略) 春を待っていたのに、やって来たのが晴郎だったりすると、みぃちゃんは大泣きでしょうが、で、今日はそんなファーマー晴郎の 『ホームカミング』 というアルバムを取り上げてみたいと思います。 1971年の吹き込み。 今回、ジャケ絵を先に片付けたんですが、僕の絵心の無さを差し引いても、ずいぶんオッサン臭くなっちゃいましたな。 『ホームカミング』 というタイトルからすると恐らく、しばらく活動拠点をヨーロッパに移していて、久しぶりに帰国したか、あるいはホモであることをカミングアウトしたか、どちらかなのではないかと思われますが、僕としては後者の説を支持したいところです。 『』 にもちょっと似てますもんね、晴郎。 で、これ、サイドマンがなかなか興味深かったりするんですが、フロントはジミー・ヒースを加えた2管編成。 ファーマーとゴルソンのコンビはジャズテットなんかで超お馴染みなんですが、同じく編曲を得意とするジミ・ヒーとの絡みがどのような結果をもたらすのか、乞うご期待! で、リズム隊はシダー・ウォルトンサム・ジョーンズビリー・ヒギンズという無難な堅実路線だし、ちょっと気になるのはパーカッションとコンガが入ってたりすることなんですが、ま、枯れ木も山の賑わいだと思えば、そんなに気にならないだろうし、とまあそんなことで、では演奏を聞いてみることにしましょう。

 1曲目、ファーマーのオリジナルで、アルバム・タイトル曲の 「ホームカミング」 。 打楽器軍団の暗躍もあって、なんとも賑々しいジャズ・ロック調の仕上がりとなっておりますな。 テーマそのものはシンプルながら悪くはなくて、で、ソロ先発はジミー・ヒース。 テナーではなくソプラノを吹いているのが、けっこう新鮮。 わりとアグレッシブだったりして、オッサン化して、若干キャラ・チェンジした模様でありますが、で、続いてファーマーくんが登場。 全編でフリューゲルホーンを吹いているんですが、独特の哀感があって、悪くないっすよね、この楽器。 海老は死んでも、フリューゲルホーンの私は、オランダの空に否定的だった。 山下洋輔の本で見たのが、僕とフリュゲホンとの出会いだったんですが、ちなみにこのポエムのようなものは 「ABCDEFGHIJKLMNO」 を日本語に訳したものでありますな。 KLMオランダ航空っすか。 …とか言ってるうちにピアノのソロが始まったんですが、シダーくんのシダ植物的な弾きっぷりが、いつもながらにコケティッシュだったりして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 良くも悪くも70年代的な仕上がりだったりして、これやこの、良くも悪くも分かれつつ、良くも悪くも逢坂の関 by 蝉丸。 で、次。  「カスカベロ」 。 これは恐らく春日部市民のテーマ曲だと思うんですが、あまり埼玉っぽくはない、ラテンのフレーバーが感じられる作品だったりしております。 演奏のほうでは相変わらず賑やかし舞台の暗躍が目立つんですが、いや、暗いところで踊っているワケではなく、普通に表舞台で目立っているんですけど。 ソロ先発はファーマーなんですが、気合いが漲っていて、超張本勲状態。 某 「CDジャーナル」 のデーターベースによると、来たるべきフュージョン時代を予感させる軽快な 「2」 。 そういう位置付けになるようですが、続くジミー・ヒーのソプラノ・サックスも何だか、はっちゃけちゃっていて、シダーのピアノもなかなかにテンションが高くて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ま、賑やかではありましたな。

 こんなの、僕が期待していたファーマーじゃないっ! そう、お嘆きの貴兄もおられようかと思いますが、お待たせ! ファーマーが本来持つフレージングの美しさを湛えた 「3」 。 そのように書かれているので、ここは大いに期待していいんじゃないかと思うんですが、歌物ナンバーの 「サム・アザー・タイム」 。 いきなりソプラノ・サックスで始まるので、意表を突かれて、うひょー。 そういう状況だったんですが、その後すぐにファーマーが出て来て、本来持つフレージングの美しさを湛えてくれることになるので、安泰。 保守派のティーパーティーな僕としては、こういうのが安心モードで、心が落ち着きます。 何だか微妙に音程が不安定だったりもするんですが、金属パイプ製のはしごを横方向にほぼ水平に設置しぶら下がりながら手を伸ばして移動する遊具は、うんてい。 ということで、次です。 今日のレビューはいつにも増してヤル気が感じられないんですが、長い人生、たまにはそういうこともよくあります。 で、次。  「ブルー・ボッサ」 。 ケニー・ドーハム作の超有名曲でありますな。 敢えてライバルの楽曲を取り上げるところにファーマーの並々ならぬ意欲が感じられますが、演奏そのものの出来は並々。 ま、いいとこ、並の上レベル? ちょっと速めのテンポ設定と、チャカポコなパーカッション&コンガのお陰で、この曲の持つ哀感が薄れてしまって、あ、いかん。 そんな気がしないでもなりません。 ソロ先発はファーマーで、続いてジミー・ヒースが登場するんですが、ここでは素直にテナーを吹いておりますな。 この人、日本ではカシューナッツと同じくらい過小評価されている気がするんですが、少なくともテナーを吹かせてもクドくないという点では、ゴルソンよりもマシだし、オッサン化してちょっぴりパワフルになったりしているし、サイやヒョウと同じくらい再評価してもいいんじゃなかろうかと。 とか言ってるうちにシダーのピアノが出て来ましたが、こうして各自のソロを聞いている分には、ぜんぜん悪くない出来だったりしますよね。 ラテン味強化版として見れば、いいかも? 最後、かなりクドいサム・ジョーンズのピチカート・ソロがフィーチャーされたりして、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 オリジナルのフォーマットではこれがラス曲ということになるんですが、歌物ナンバーの 「ヒアズ・ザット・レイニ−・デイ」 。 これまた冒頭から、かなりクドいサム・ジョーンズのピチカートが出て来て、そこにファーマーがフリュゲホンで絡むという、そういうアレだったりするんですが、基本、オーソドックスな仕上がりなので、ま、安心モードかと。 フリュゲ、テナー、ピアノの順で各自のソロがフィーチャーされ、でもって、テーマに戻って、おしまい。 そういうアレだったりするんですが、で、CDだとこの後、おまけ曲が2つほど出てくることになります。 ヤル気のない今日の僕にとっては嫌がらせとしか思えなくて、ま、オマケだから無かったものと思って無視してもいいんですが、手抜きさ加減にちょっぴり罪悪感を覚えたりするのであと一息、さ、頑張りましょう。 本編が1971年夏の吹き込みであるのに対し、オマケのほうは1972年。 (6) と (7) はボーナス・トラックで 『Heidelberger Jazztage1972』(MPS) から。 そういうアレであるようなんですが、春日部市民のテーマ曲がライブで再演されることになります。 何だかこっちのほうが音質がよくて、完成度も高いような気がするんですが、気のせい? チャカポコな奴らがいないからっすかね? ちなみにヒース君もいないようで、ファーマーくん+リズム隊3名。 そういうシンプルな編成である模様です。 あ、微妙にパーカッションが入ったりもしてますかね? いずれにしろ、ファーマーの伸びやかなラッパを堪能出来る仕上がりとなっておりまして、続くピアノの人のソロも普通にいい感じ。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 ということで、ラストっす。  「レッツ・ブーム・チッティ・ブーム」 はシェリー・マンのオリジナル。 チャカポコの他に、オルガンやら、たくさんの楽器やらが入ったオーケストラ物だったりするんですが、ファンキーというより、ファンクな空気が漂いまくっていて、何だかめっちゃいい感じ。 こんなの、僕が期待していたファーマーじゃないっ感は半端無かったりするんですが、こういう微妙に電化マイルスっぽい農民も、ちょっと悪くないかもー?

 とまあそんなこんなで、おしまい。

【総合評価】 何気なく買って聞いてみたら、凄ぇぇぇ良かった。 そんな記憶があったので、今回、喜び勇んで取り上げてみたんですが、改めて聞き直してみたら、そんなでもなかったかも? 何か他のアルバムと勘違いしてたんっすかね? ま、ぜんぜん駄目というワケではなくて、そこそこ普通だったりするんですが、まったく期待していなかったオマケの2曲が意外と悪くなかったので、トータルすると、引き分け。 そんな1枚でありました。


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