SWINGING MACEDONIA (ENJA)

DUSKO GOYKOVICH (1966/8)

SWINGING MACEDONIA


【パーソネル】

DUSKO GOYKOVICH (tp,flh) EDDIE BUSNELLO (as) NATHAN DAVIS (fl,ss,ts)
MAL WALDRON (p) PETER TRUNK (b) CEES SEE (ds)
【収録曲】

(01-03) MACEDONIA / OLD FISHERMAN'S DAUGHTER / JUMBO UGANDA
(04-06) THE GYPSY / MACEDONIAN FERTILITY DANCE / BEM BASHA
(07-08) SAGA SE KARAME / WEDDING MARCH OF ALEXANDER THE MACEDONIAN
(09-10) THE NIGHTS OF SKOPJE / BALCAN BLUE
【解説】 ( 2014年03月23日更新 / 連載 1,115回 )

 子供の頃はあまり好きではなかったのに、大人になって大好物になったものがあります。 牛乳とチーズがそれなんですが、いや、今でも 「そのもの」 はそんなに好きではなくて、牛乳は出来ることならミルメークかミロを入れて飲みたいところだし、チーズは6Pよりも断然、8P派だったりするんですけど。 8Pチーズなら1回あたりの割り当てが少なくて済むからハッピーなんですが、鋭角の部分を 60°も食いたくはなくて、45°もあれば十分。 チーズにもいくつか種類があるんですが、僕的なランキングでいうと、四角いチーズ<6Pチーズ<8Pチーズ<棒状のチーズ<スライスチーズという順でマシになっていきます。 四角いチーズというのは こういうヤツ なんですが、ベビーチーズというのが正規の名称なんっすかね? とにかく、こいつは駄目です。 ベビー界の中でも最低ランクと言ってよくて、ベビーチーズ<ベビーコーン<ベビーカステラ。 そんな順序になるんですが、ベビーチーズのどこが駄目って、どこからカジっても同じくらいチーズなところが最悪。 6Pチーズか8Pチーズなら、鋭角の先っちょの部分なら、ほんのちょっとだけチーズなだけで済みますからね。 固まりが小さいほど、あまりチーズらしさを感じずに食べることが出来るような気がします。 ま、6Pチーズの場合、マシなのは最初のほうだけで、食べ進むにつれてだんだん太くなって、最終的には、四角いチーズの辺にちょっぴりRが付いてるだけやんっ! そんな結果に終わっちゃうのが難点なんですが、ちなみに 雪印の6Pチーズ は 108グラム。 煩悩の数だけ重さがあるんですが、1Pあたりだと18グラムっすか。 で、QBBのベビーチーズは4個入りで60グラム。 1ベビーで15グラム。 四角いほうが3グラム軽いんですな。 こうなってくると、総重量の少なさを選ぶか、鋭角に刹那的な快楽を求めるかで、大いに悩むところなんですが、それはそうと 「6Pチーズが出来るまで」 が、ちょっと意外。 丸い円盤状のチーズを切って6等分しているのかと思ったら、1Pずつ型に入れて作るんですな。 なら、わざわざあの形にする必然性は無いような気もするんですが、ま、雪印も何らかの考えがあってやってるんだろうし、とまあそんなことで、今日は 『八面六臂な6Pチーズ』 。 そんなテーマでお届けしようと思います。 ま、とてもそれだけで1回分を賄えるとは思えないんですが、駄目だったら 『6Pチーズとフロッピー』 とか、適当に話を広げることにして。

 そもそもチーズとは何か。 そういうところから話を進めてみようと思うんですが、チーズというのはアレです。乳製品です。 乳パッドというのも乳製品に入るのかというと、それはちょっと違うような気がするんですが、 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令 。 そんなのがあるみたいです。 無駄にクソ長くて、今日はこれをコピペするだけで乗り切れそうな予感で、明るい光が見えてきたような気がするんですが、一言で 「乳」 といっても、いくつかの種類がある模様。 すなわち、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいう。 なまちち、うしちち、とくべつうしちち、なまやまひつじちち。 あ、違いますな。 山の羊と書いて、山羊 (やぎ) っすな。 なまやぎちち。 日本では圧倒的に 「うしちち」 が有名なんですが、スイスでは 「やぎちち」 がメジャーだというのは 『アルプスの少女ハイジ』 で、周知の事実。 ユキちゃんという、妙に和風な名前の小ヤギとか、いましたよね。 アルプス一万尺、小ヤギの上で、アルペン踊りを、さあ踊りましょ♪ 動物保護団体の人に叱られそうな小ヤギ虐待歌でありますが、ちなみにあれ、28番まであるんだそうですな。 しかも、元歌はアメリカ民謡。 スイス、関係ねぇぇぇぇぇ。 どれくらいアメリカンなのかというと、原題が 「ヤンキードゥードゥル」 だと言うんだから、筋金入りのヤンキーでありますな。 で、ドゥードゥルと言えば、アメリカのニワトリの鳴き声が 「クック・ア・ドゥードゥル・ドゥー」 だったりするんですが、もしかしたら山羊も何の関係もなくて、ニワトリの歌だったりするとか? …と思って調べてみたら、違ってました。 “doodle”=(考えごとをしながら) いたずら書きをする。 そんな意味なんだそうです。 ほぉ。 そう言えばホレス・シルバーに 「ドゥードリン」 というファンキーな名曲があるんですが、タイトルは 「電話をしながら、いたずら書きをする」 といった意味。 そんな解説を見たような記憶があります。 が、 Wikipedia を見ると、それとも関係はなくて、ここでの “doodle” は 「まぬけ」 という意味である模様。 マヌケなヤンキーが、子馬に乗ーって♪ ここまでは 「アルプス一万尺」 の節で歌えますが、町へ行ーった、ほにゃはにゃにゃ、ヘイっ♪ 意味のない掛け声を追加しないと、後が続きません。 日本ではペリー提督が黒船で来航して上陸する際に、行進曲として演奏されたのが最初なんだそうです。 無駄に歴史的だったりするんですな。 で、その後、不明の作者によって29番まで歌詞が付けられることになるんですが、2番以降はまったく知られてなかったりしますよね。 昨日見た夢、でっかいちいさい夢だよ、のみがリュックしょって、富士登山、ヘイっ♪ わりと意味不明。 語呂的には7・7・7・5で、都々逸風なのかと思ったら、甚句形式だと書かれていますな。 甚句って、ちょっぴりジンクピリチオン配合で、抗菌効果に期待出来そうなんですが、甚句形式のうちのジャンルのひとつが都々逸。 そういう位置付けになるようですな。

 で、何の話でしたか? 小ヤギのユキちゃんだけ、どうして和風の名前なのか? そういう話でしたよね。 もしかしたら誰でも知ってる一般常識なのかも知れませんが、僕は知らなかったので、その回答をドヤ顔で書かせて頂くと、原作では 「シュネーヘッピー」 という名前なんでしゅねー。 ここまではフグ田タラオでも知ってる話。 で、ヘッピーのほうは何だかよく分からないんだけど、シュネーは 「雪」 という意味なんでしゅねー。 で、 「山羊のシュネーヘッピーちゃんがいなくなっちゃったのぉ。。。」 とか、いちいちハイジに言わせるのも面倒な話なので、シュネーちゃん = 雪ちゃんで、ええやん。 …というのが模範解答であるようですが、で、ハイジと言えば、クララ。 足が不自由で車椅子生活を余儀なくされている可哀想なギャルっすよね。 足が不自由って、スキーでコケて左下腿骨でも骨折したのかと思ったらそうではなく、どうやら病気らしいんですが、どういう症状なのかというと、恐らくは立ちくらみ。 クララという名前からして、駄目っすよね。 ケロロという名前に改名すれば、ケロっと治りそうなんですが、クララ = くる病説というのもあるようで、なるほど、語呂的にはそれも合点がいきますな。 『ためしてガッテン』 でもやってたみたいなんですが、 ほれ 。 ビタミンDの不足からくる病。 くる病というはそういうアレらしいんですが、漢字で書くと佝僂病。 何だか、妖怪っぽい字面なんですが、 「ノートルダムのせむし男」 も同じ病気である模様。 差別用語認定されて 「ノートルダムの鐘」 などという、超無難な名前になっているようですが、主人公はカジモトという名前なんですよね。 ノートルダムなのに、どうして和風な梶本? …と思ったら、正しくはカジモドなんですな。 よく見たらテンテンが付いてました。 それで思い出したんですが、横浜のオクトーバーフェストで見た 「アイスパイン」 という看板。 売り切れで食べられなくて、ずーっと冷凍パイナップルみたいなデザートだと思っていたんですが、昨日テレビを見ていて、それが肉料理であることが発覚しました。 パイン (半濁点) じゃなくて、バイン (濁点) やったんかぁ! 僕の賢いイメージに汚点が付く前に、濁点に自力で気付けて何よりでありましたが、とまあそれはそうと、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳。 ここまで話が進んで、続いては殺菌山羊乳と生めん羊乳。 殺されちゃうのは山羊チャンではなくて、菌チャンのほうだと思うんですが、ぱっと見、ちょっとドキっとしちゃう字面でありますな。

 殺山羊と言えば、ユキちゃんも殺されちゃう寸前まで追い詰められたことがあるんですが、また話をそっちに戻して、第14話 「悲しいしらせ」 。 「ユキちゃんが殺される!?」ある日、ハイジはペーターからそう聞かされて大きなショックを受ける。あまり大きくもならず乳の出も悪いユキの命は、この夏限りだというのだ。どうしようもない事だと諭すおんじの言葉もハイジの耳には入らない。何とかユキを助けようと考えるハイジは、おんじから乳の出が良くなる草があると聞かされ、危険もかえりみずに必死に野山を探し回るのだが……。 こういう場合、名前というのは大切ですよね。 「シュネーヘッピーちゃんが殺される!?」 だと、ま、それもやむなし。 そんな気がしちゃうんですが、ユキちゃんだと一転、可哀想に思えてしまいます。 そもそもユキちゃんって、まだ小ヤギですよね。 あまり大きくならず、乳の出が悪いのも当然でありまして、そんな理由でいちいちヤギ鍋にされていては、貧乳ギャルの立場がありません。 おんじから乳が大きく見えるパッドがあると聞かされ、危険もかえりみずに必死にアマゾンを探し回らなければならなくなっちゃいますが、 「盛姫」 でググると幸せになれるかも知れません。 カスタマーレビューは星1つだったりするんですけど。 「効果なし」 肌がかぶれるし、効果は見えないし、ただのパットとしてつかうのなら良いのでは? By 清水紀美子。 キミコちゃん、カワイソス。。。 で、殺菌山羊乳に続いては、生めん羊乳。 何故ここに、いきなりウドンが? …と思ったら、生麺の羊の乳ではなくて、 「めん羊」 の生の乳なんですな。 めん羊などという面妖なヒツジがいるという話は聞いたことがあるんですが、羊の乳はそのまま飲むには適さないものの、チーズの原料としてはけっこうメジャーなんだとか。 …と、ここでようやく本題のチーズが登場しましたが、一口にチーズと言っても、いろんな種類がありますよね。ひとくちチーズとか。 例の 「乳なんちゃらに関する省令」 によると、ナチユラルチーズ及びプロセスチーズに分類されるそうですが、乳を固めて発酵熟成させたのがナチュラルで、そのナチユラルチーズを粉砕して、加熱溶融して、乳化したものがプロセスチーズ。 6Pチーズとか、ディズ・イズ・ザ・これぞ典型的なプロセスチーズと言えそうなんですが、砕いて融かして固めると言うことは基本、どんな形にもなりますよね。 マルチーズのチーズとか、松本智津夫のチーズとか。 にもかかわらず、あの6Pチーズの形にした雪印の意図は ここ に書かれておりました。 プロセスチーズって、その製造プロセスからして、いかにもパチモン臭いので、せめて見た目だけでもナチュラルチーズっぽく見せたかった。そんだけ。うーん。。。

 ハイジねたで引っ張れるだけ引っ張っておいて、正解だった。 そう思わずにはいられない、あっけない幕切れでありましたが、とまあそんなことで、八面六臂というより、シュネーヘッピーだったチーズのお話は、おしまい♪

 とまあそんなことで、今日はダスコ・ゴイコヴィッチです。 スイスでも日本でもヤンキーでもなく、ボスニア人。 レアっすな。 ボスニアって、どこだったっけ? …と思って調べてみたら、旧ユーゴスラビアであることが判明したんですが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争とか、ありましたよね。 バルカン半島にある国で、バルタン星人によって占領されたとも伝えられておりますが、ウルトラマンによって征伐された模様。 そんな国に生まれたダスコたん、本コーナーには2回目の登場になりますが、1回目は ここ 。 この人を語る上で欠かせないジャズ俳句がきっちり紹介されていて、これを書かれちゃうと、他にはなにもネタがなくて、今日の僕はとっても困ってしまうんですが、東欧人って、苗字に “ヴィッチ” が付く人が多いですよね。 調べてみたら 「〜の子供」 とかといった意味らしいんですが、東洋人のサバくんが東欧人の子供を産んだりすれば、サバノヴィッチになるわけですな。 ニックネームは 「サノバビッチ」 で、決まり♪ とまあそれはそうと、今日はゴイコの息子のダスコくんの 『スウィンギン・マケドニア』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、マケドニア。 世界史の時間に習ったような気がしますな。 カチドニアの反対語でしたっけ? ナイジェリアがあって、アルジェリアもあるんだから、勝ち負けがあっても不思議ではないんですが、「高ぇよ。ちょっとマケドニア。」 そんなことを言ってくる客ばかりで、商売をやりにくそうな土地柄でありますなぁ。 東ヨーロッパのバルカン半島中央部にあたる地域なんだそうで、 地図 を見ると、わりとボスニアの近く。 で、カリーニングラード州という、豚の背脂が隠し味のカレーが好きなクリーニング屋みたいな州があることに気付いたんですが、ロシアの飛び地なんですな、ここ。 で、今話題のクリミアはどこにあるのかと思ったら、 ここ 。 もしここがロシアに編入されちゃったら、ダブル飛び地状態になるんですかね? スケールの大きな大垣市みたいで、凄ぇぇぇぇ! ちなみに大垣市は こんな状態 なんですが、オマケの旧・上石津町 (左側の飛び地) のほうがデカいんですな。 飛び地の問題は深入りするとなかなか面白そうなので、いつか 「飛び地とビッチ」 といったテーマの論文を書いてみようと思うんですが、とまあそんなこんなで、では1曲目から聞いてみることにしましょう。

 まずは準タイトル・ナンバーの 「マケドニア」 。 誰が書いたのかよく分からないライナーノートによると、異国情緒を漂わせた印象的な4分の5拍子のナンバーなんだそうですが、いいですよね、異国情緒。 少なくとも 「イカ食う場長」 よりはソソられるものがあるんですが、何かイカ臭そうですもんね、そんな場長。 で、ここまで書いて気付いたんですが、このアルバム、僕の持ってるCDには “enja” のロゴが入っているんですが、原盤は独フィリップスである模様。 以後、色んなところから再発されて、その都度、色んなジャケットが使われた模様ですが、今回はCD仕様でお届けしたいと思います。 抽象画風で意味不明。 こんなの、うまいも下手もないので、模写する身としては気が楽なんですが、で、曲の出来はというと、確かに異国情緒が漂っていて、印象的でありますな。 印度象的な異国ではなく、琥珀色のバルカンな香り。 バルカンと言えば、サンバルカンという特撮モノもありましたな。 1たす2たす、1たす2たす、サンバルカーン♪ 答えは9バルカンだと思うんですが、で、演奏のほうはというと、3管のアンサンブルが1+2以上の効果を出していて、なかなか秀逸。 エディー・ブスネロという、不細工ギャルに睡眠を促すような名前のアルトと、ネイサン・デイビスという、姉さん系のマルチ・リード奏者が入っているんですが、姉さん、ここではテナーを吹いている模様。 なかなか凝った曲作りがなされているんですが、でもって、ソロ先発はダスコくん。 どちらかというとヘロヘロ系なんですが、それがいい味になっているし、ペーター・トンクルという、ハイジに出てくる山羊飼い少年っぽい名前のベースも、なかなか強力。 で、続くネイサンのソロはけっこうモーダル系なワイルド風だったりして、60年代モノらしさを醸し出してくれてます。 終盤、そこに2管が絡んで来て、燃え上がるヨーロッパの火薬庫@ファイアー! そんな展開になりかけて、で、その後、マル・ウォルドロンのピアノ・ソロが登場します。 地味渋通好みなメンツの中では、唯一メジャーであると言っていいキャラなんですが、この人の “黒い情念” なスタイルは東欧の空気にもぴったりマッチ。 エキゾ妖しげな雰囲気を醸し出して、で、最後はアンサンブル・パートで大いに盛り上がって、フェードアウトしつつ、おしまい。 いきなり最初で、お腹いっぱいになっちゃう感じで、いやぁ、ファイアー!

 で、次。  「オールド・フィッシャーマンズ・ドーター」 。 ゴイコヴィッチのファンにはおなじみの名曲で、これが初演なんだそうですが、前回取り上げた 『アフター・アワーズ』 にも入ってましたな。 書きたかったことを先に言われちゃったので、今回はさらっと流しておこうと思うんですが、ピアノとフルートのイントロに続き、繊細なミュート・トランペットでテーマが奏でられる。 そういうアレだったりする模様。 で、前回も書きましたが、ここでのダスコは思いきり50年代マイルスでありまして、パクリじゃない。リスペクトしているんだ。 そんな声が聞こえてきそうな気がしますが、最後のほうにちょろっと出てくるブスネロのアルトのネイサンのフルートも いいお飾りだったりして、とまあそんなことで、おしまい。 お腹いっぱいでも、豚バラは別腹。 そんな話は聞いたことがないんですが、軽いデザート的な仕上がりで、なかなかでありました。 で、次。  「ジャンボ・ウガンダ」 。 東欧から一転、アフリカンな世界が展開されることになるんですが、ライナーノートではディジー・ガレスピーからの多大な影響がうんぬん。 そんなことが書かれているんですが、アフロ・キューバンで、お風呂吸盤プレイ。ああん、そんなとこぉ♪ そんな世界が展開されていて、何より。 ダスコのソロは短いながらもハキハキした覇気が感じられ、続くテナーのネイサンは燦々とした輝きが感じられ、マルのまるで丸美屋のようなピアノが続いて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ミディアム・ファスト → ミディアム・スロー → アップ・テンポ。 ここまで、なかなかいい流れできております。

 ということで4曲目。  「ザ・ジプシー」 。 本アルバムで唯一のスタンダードである模様ですが、エディ・ブスネロのアルトをフィーチャーしたバラードとなっております。 チャーリー・パーカー直系のストレートな吹きっぷりが、梨汁ジプシー。 ちなみにダスコとネイサンはお休み。 気分転換としては、こういうのもアリだと思います。 続いてはマケドニア・シリーズ第2段、 「マケドニアン・ファーティリティ・ダンス」 。 マケドニアンなんですが、作曲したのはヤンキーのマル・ウォルドロン。 “Fertility” という単語の意味が分からないし、さっきので読み方が合っているのか自信もなかったりするんですが、調べてみたら肥沃、多産、繁殖力。 そういった意味であるようです。 豊年祈願ダンス。 ホーネンのサラダ油を手に踊り狂ったりするんでしょうか? フィンランドあたりにいそうですよね、ホーネン。 ググってみたらキルシ・ティルホーネンとか、イルポ・ティルホーネンとかはいたんですが、で、曲の出来はというと、なかなかやねん。 ライナーノートにはエキゾチック路線を象徴する1曲とありますが、で、演奏のほうはというと、コルトレーン風のデイビスを短くフィーチャーしている模様。 その後はアンサンブルっぽいパートで大いに盛り上がって、一転してピアノの無伴奏ソロになって、唐突な感じで、おしまい。 アルバム中盤はプチ小品っぽいのが目立ちます。

 で、次。  「ベム・バシャ」 。 近年も頻繁に取り上げているゴイコヴィッチの代表作のひとつである模様。 タイトルからして、馬車に乗った妖怪人間が現れそうな作風であるものと推測されるんですが、ベースのイントロで始まり、続いてフリューゲルホーンで印象的なメロディが奏でられる。迫力のある演奏ではないが、心に残る小品。 そういったアレである模様。 楽器からくる先入観もあるんでしょうが、ちょっぴりアート・ファーマーを彷彿させる農民。 そんな仕上がりだったりして、で、確かにその旋律は心に染みるものがあります。 戦慄的な前立腺肥大。 そういった旋律ではないんですが、源氏パイはサンリツ。 で、ちょっぴりネイサンのテナーがフィーチャーされたりもしております。 この人の事は寡聞にして紀文だったりするんですが、ちくわ好きの僕としては気になる存在だったりして、もしリーダー作があるようなら、一度聞いてみようか。 そんなふうに思ったりもしたんですが、ということで、次。  「サガ・セ・カラメ」 。 これもエキゾチック路線とのことで、ここに来てやや一本調子になってきた感がないでもないんですが、ネイサン・デイビスのソプラノ・サックスが新鮮でありまして、いや、なかなかのやり手でありますな、この姉さん。 で、次。  「ウェディング・マーチ・オブ・アレキサンダー・ザ・マケドニアン」 。 この曲のどこが 「アレキサンダー大王の結婚行進曲」 なのか理解に苦しむが。 そんなことを書かれてしまっておりますが、そうそう、マケドニアといえばアレキサンダー大王。 そう、世界史で習ったような気がします。 マケドニアで負けそうにゃ。 そんな歴史があったのではないかと思うんですが、よくは覚えておりません。 で、曲のほうはというと、確かにアレキっぽくないし、マーチですらなかったりするんですが、ホレス・シルバーを思わせる曲想は、いたって普通のストレート・アヘッドなアヘアヘアへ。 そう書かれている通りの仕上がりだったりします。 エキゾ路線にやや食傷気味だったので、いたって普通なのが、かえって新鮮。 ゴイコのソロも味があるし、途中からホーンが絡んできて3管ジャズ・メッセンジャーズな雰囲気を醸し出したりもして、で、続くネイサンのテナーはちょっぴりフランク・ヘインズ風で、ヘイヘイ♪ で、地味にベースのピチカート・ソロもフィーチャーされたりして、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、実に正統派っすなぁ。

 で、次。  「ザ・ナイト・オブ・スコピエ」 。 軽快なピアノのイントロに続いて、フルートとミュート・トランペットのハモリで印象的なテーマが演奏される。 そういったアレだったりするんですが、ちなみにスコピエというのはマケドニアの首都なんだそうです。 ちょっぴり底冷えのするスコピエ。 そんな空気が漂っているんですが、マイルス風のダスコのソロと、ジェームス・スポールディング風のフルートのソロと、痛風なベースのソロがフィーチャーされて、テーマに戻って、おしまい。 プチ小品ながら、なかなかでした。 ということで、ラストっす。 これもゴイコヴィッチの代表作のひとつであるらしい 「バルカン・ブルー」 。 バルカンと言えば琥珀色のイメージが強いんですが、ブルーなバルカンというのも悪くないかも知れません。 バリカンで青々と丸刈りに出来そう? 演奏のほうはアップ・テンポなので、さほどブルーな雰囲気は感じられなかったりするんですが、オーソドックスでハード・バピッシュで、トランペット、テナー、アルト、ピアノの順で参加者各位のソロがフィーチャーされて、とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】 最初の1曲でけっこうお腹いっぱいになっちゃったし、全部で10曲というのはちょっと多過ぎるような気もするし、実際、中盤はエキゾチック責めでちょっとメゲかけたりもしたんですが、終盤になって持ち直しました。 3管編成で、うち1人がマルチ・リード奏者なのでバラエティに富んだ演奏が楽しめ、そのネイサン・デイビスの出来も素晴らしく、ブスネロくんも不細工なりに頑張ってくれております。 ダスコのプレイもジャスコが好きな人なら楽しめるだろうし、ゴー!行こうビーチへ 、ゴー!ゴー!


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