STANDARD TIME VOL.1 (COLUMBIA)

WYNTON MARSALIS (1986/5/29,30,9/24,25)

STANDARD TIME VOL.1


【パーソネル】

WYNTON MARSALIS (tp) MARCUS ROBERTS (p)
ROBERT LESLIE HURST V (b) JEFF WATTS (ds)
【収録曲】

(01-03) CARAVAN / APRIL IN PARIS / CHEROKEE
(04-06) GOODBYE / NEW ORLEANS / SOON ALL WILL KNOW
(07-09) FOGGY DAY / THE SONG IS YOU / MEMORIES OF YOU
(10-12) IN THE AFTERGLOW / AUTUMN LEAVES / CHEROKEE
【解説】 ( 2014年04月27日更新 / 連載 1,119回 )

 ( 前回 までの粗筋) 二条城と平安神宮を散策し、夜は青蓮院門跡のライトアップで青色発光ダイオード欲を満たした。 ということで京都@春旅の2日目です。 この日のスケジュールは こんな感じ 。 昼メシを食い終わるまでに写真6ページ分を費やす予定なので、あまり深入りせずに、浅いところで適当に軽く流しておこうと思うんですが、宿を出て、地下鉄東西線で蹴上に移動。 京都には何だか無駄に奥が深そうな地名が多かったりするんですが、 「蹴上」 と書いて 「けあげ」 と読むこのエリアは、源義経に縁 (ゆかり) があるんだそうで。 ほれ 。 ちょっと服が汚れただけなのに、しかも犯人…というか、犯馬はウマなのに、従者9人を惨殺、平家の武者を耳削ぎ&鼻削ぎ。しかも反省の色、皆無。 義経くん、パネぇぇぇぇぇ。 ま、これはあくまでも一説であって、他にも 刑場説 というのもあるようですが、いずれにしろ、何らかを蹴り上げるという事象があったのは確かなようでありますが、蹴上でアゲ♂アゲ♂EVERY騎士(ナイト)。 とまあそんなことで、まずは 南禅寺 です。


< 南禅寺 (その1) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ここはさほど桜に期待していたワケではなく、どちらかというと 水路閣 のほうが注目ポイントだったんですが、桜のほうもたいへん綺麗に咲いておりました。 でもって、三門、デケぇぇぇぇぇ。 日本三大三門のうちの1つらしいんですが、あとの2つは知恩院の三門と、水戸の黄門かと。 で、ここの三門はどれくらい立派なのかというと、ここに登るだけで500円取られちゃうレベル。 石川五右衛門が 「絶景かな、絶景かな。」 と大見得を切ったのがこの三門の上だと言われておりますが、言われているだけで、嘘らしいっすけどね。 今回、拝観料をケチって門を通過するに留まったので、上からの眺めが如何ほどのものなのかは定かでありませんが、桜とのコラボ具合はなかなか。 満開をちょっとだけ過ぎた 「散り初め」 な状況だったんですが、美しい日本語ですよね、散り初め。 「ちりはじめ」 ではなく、 「ちりそめ」 と読まないと情緒が感じられないんですが、永谷園のマーボー散り初め〜♪ 節を付けて歌うと和田アキ子の顔が浮かんで来てしまって、最悪です。 余計なことは考えずに、散りゆく花びらに無情の心を感じて欲しいところですが、個人的には (写真・上から2番目) のワビサビ感が、けっこうお気に入り。  (写真・下から2番目) の、銀閣寺っぽい建物との絡みもいいですよね。 …とか思っていたら、オフィシャルサイトの 今月の表紙 と、モロに被っておりました。 写真を撮るのが趣味な人って、誰でも趣向が同レベルなんですな。 ま、この銀閣寺っぽいやつの正式名称が火頭窓だと分かったのは収穫でありましたが、いつかギャルと一緒に京都に行く機会があったりしたら、「 “ひあたままど” が禅堂ならではの佇まいだよねー。」 そう、さりげなく知識の豊かさを自慢することが出来ますな。 で、 (写真・いちばん下) が、お目当てだった水路閣なんですが、これもまあ、誰が撮ってもこんな感じになっちゃうという。 寺の境内にこんなのがあるというのが何とも斬新なんですが、で、南禅寺は写真5枚では収まりきれなかったので、続く。


< 南禅寺 (その2) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、水路閣の上に登ってみると、 (写真・いちばん上) みたいになっておりました。 おお、水路じゃん♪ 今でも現役として絶賛活躍中の模様。 あ、写真のISO感度が無駄に1600になっちゃってますが、青蓮院のライトアップ撮影の際に感度を上げて、そのまま戻すのを忘れていました。 これでよく写真を台無しにしちゃうんですが、夜の室内撮影で、ISOを上げたまま下げ忘れるのですが、なんかいい対策方法はないですかね? まさにこれ。 ベストアンサーがけっこう嫌なヤツなんですが、ま、それ以外の回答も似たり寄ったりなんですけど。 その位の事を出来ないやらないのなら、液晶に付箋紙 『ISO確認』と書いて貼って置きましょう。 ま、これしか無いっすよね。 付箋に手書きではあまりにも恥ずかしいので、磯野カツオのシールを貼るとか。 磯野→ISOの確認。 あ、そうや! それで気付く可能性はあると思うんですよね。 ん、カツオ? 今日の昼はカツを食おうか。 そっち方面に思考がいっちゃうかも知れませんけど。 花沢さんのほうが 「磯野くーん」 という声が脳内再生されて効果的かも知れませんが、で、続いては方丈だじょー。 ここのお寺は境内を徘徊するだけなら無料なんですが、三門に登ったり、方丈に入ったりするには銭を取られるという、そういうシステムだったりします。 門だけに500円の価値は見出せなかった僕でありますが、せっかくなので方丈には入ってみることにしました。 方丈とは、禅宗寺院建築で本堂、客殿、住職居室を兼ねるもの。ほー。 あまり多くを期待していたワケではないんですが、思ってた以上に広くて立派で、見応えは十分。 500円の価値はありますな、こりゃ。 ま、国宝らしいので、当然かも知れませんけど。 回廊みたいになっているのが回鍋肉好きには嬉しいし、枯山水の庭なんかもありまっせ。 龍安寺ばかりが有名になっているんですが、京都のそこらじゅうの寺にあったりするんですよね、枯山水。 海星高校時代に 「ヨゼフ・カラサンスの歌」 を歌わされた身としては、とても他人事とは思えなかったりするんですよね、ヨゼフ・枯山水。 その他、唐破風の大玄関なんてのもあったりするんですが、背後には山が迫り、京都の町外れ感を強く実感することも出来たりして、なかなか充実した時間を過ごすことが出来ました。 で、散策の軌跡はこんな感じっす。

  【南禅寺散策の軌跡】 (←Click Here!!)

 標高が無駄に高くなっているところは、恐らく誤差ではなかろうかと。 蹴上駅から歩いて、ざっくり回って2キロ強、1時間強のお手軽散策コース出有りますな。 今回は別料金なのでパスしちゃったんですが、水路閣の近くの南禅院というところも庭園が立派みたいだし、無駄にクソ高い湯豆腐も有名だし、今回は諸般の都合により別行程となりましたが、インクラインや琵琶湖疏水と絡めるのはお鉄板、平安神宮にも歩いて行けないことはないし、哲学の道を経由して銀閣寺まで歩いてもいいし、便所に行けば金隠しはあるし、いやあ、蹴上、なかなかよかったっす。

 で、今回の僕は、ここから地下鉄&1駅だけ京阪に乗って、高台寺エリアに移動することにしたんですが、何故かというと昼メシを予約したのがその付近だからなんですけど。 で、祇園四条駅から高台寺に向かうに際し、ちょっぴり寄り道して桜の名所らしい祇園白川に行ってみました。


< 祇園白川 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 町家が連なり、白川が流れ、石畳の道が続いています。舞妓さんの姿が見えることもあり、京都の情緒を楽しむには一番のスポットです。 春には、料亭などが建ち並ぶ白川の流れに沿って、ソメイヨシノなどの桜並木が続きます。 by どっかのサイトより無断で勝手にコピペ。 舞妓さんの姿も、イカの姿フライの姿も見ることは出来ませんでしたが、ま、後者はイカを持ってイカなかった僕が悪いんだし、で、桜のほうは見頃にぎりぎり間に合った感じ。 こちらも散り初めなんですが、水辺の桜名所では “花筏(はないかだ)” が風情を高めてくれたりするので、普通に満開よりもいいかも? 花イカダの姿フライ。 季節限定で売り出してみると、イーカも? ちなみにここ、写真だと静かな古都の風景が楽しめるっぽく見えるかも知れませんが、実際は人大杉で雑然としまくりなので、そのつもりで。 で、ここから八坂神社を経由して高台寺まで行く場合、途中、 石塀小路 というところを通過するのがオススメです。


< 八坂神社〜石塀小路〜高台寺公園 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 よしもと祇園花月の前の交差点付近は人でごった返しておりましたが、いつもこんな感じなのか、桜がちょうど見頃の時期だからなのかは不明。 で、信号を渡った先が八坂神社なんですが、これはまあ、普通に神社といった感じで、桑名の立坂神社よりちょっとだけマシといったレベル。 いや、さすがにそれと比べるのは間違ってますか。 オバマくんと安倍晋三クンが行った銀座の寿司屋 「すきやばし次郎」 と、永谷園の 「すし太郎」 を比較するようなものですかね? ま、とにかく人が多かったんですが、で、続いては石塀小路。 こちらのほうはわりとひっそりしておりましたが、黒人系の若い兄ちゃんが一人で歩いて、バシバシと写真を撮りまくったりしておりました。 で、日本人に 「ココ、ベリー・ワンダフル!」 とか話しかけたりして、至極ご満悦な様子でありました。 黒人兄ちゃんの心の琴線にも触れるんですな、京都っぽい風情。 喜んで貰えたようで、日本人として、ちょっと嬉しいっす。 で、小路を抜けると高台寺前の 「ねねの道」 に出るんですが、こちらのほうは観光客が歩きまくりで、雑多な雰囲気が。 舞妓コスプレのギャルの姿も多く、人力車なんかも走り回っておりますぜ。 カップルやら、アベックやら、ペヤングやらが人力車に乗ってニヤけているのは非常にムカつくのでやめて頂きたいんですが、幼女姉妹が乗ってたりするのは心が和みますなぁ。 人力車の兄ちゃん、「この辺は“ねねの道”って言うてね、豊臣秀吉の奥さんのねねさんという人がこの辺に住んでたんやよー。クレヨンしんちゃんのネネちゃんと同じ名前やねー。」 とか、ちゃんと幼女バージョンの解説をしていて、ちょっと関心しました。 ただ、親がケチっていちばん短いコースにしたようで、幼女姉妹はちょっと物足りなそうにしてましたけどね。 2名様プラン・30分コースで9,000円、45分コースだと13,500円。 ま、最短でも乗せて貰えただけ、十分に幸せですな。 兄ちゃんのほうも体力勝負で大変そうですが、それだけ貰えればヤル気も出ますわなー。 幼女とお話しだって出来ちゃうしー。 電動アシスト人力車とか、そういうのがあればちょっとやってみたいような気が。 あ、所要時間約10分、2名で3,000円というお手軽なコースもありますな。 幼女が乗ってたのはこれだったのかも? で、バイトとしての実情は こんな感じ である模様。  体力よりもコミュ力ですかぁ。 僕には到底、務まりそうもありませんなぁ。 ま、体力もゼロに等しいので、どっちに転んでも駄目なんですけど。


< 高台寺 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、続いては高台寺です。 以前にも行ったことがあるんですが、えーと、 ここ っすか。 内容が無いよう。 そう思わずにはいられませんが、写真もショボいっすなー。 ま、構図的には似たようなものなんですけど。 で、ここも南禅寺と同様に方丈庭園というのがあって、それがヨゼフ・枯山水となっているんですが、しだれ桜がちょうど見頃でありました。 例の銀閣寺っぽいアレもありますな。 その他、 観月台と開山堂とか、臥龍廊とか、何年か前に行った時から特にお変わりもないようで、何よりでありますなぁ。 けっこう起伏があって、上のほうからは下界を眺められる仕掛けになっていたりして、こういうところが東山の寺っぽくて、いいですなぁ。 とっても広大な高台寺…という程ではないんですが、ちゃんと高台にはあるので、納得。


< 圓徳院 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、続いては圓徳院です。 ここはまあ、高台寺のオマケみたいなものなんですが、専門用語では 「塔頭」 というんですな。 いつかギャルと一緒に京都に行く機会があったりしたら、「 ここは “たかだいでら” の “とうあたま” なんだよねー。」 と、またひとつ披露する知識が増えました。 どんどん賢くなりますなぁ。 お寺自体はさほど大きくはなさそうなんですが、予約している飯屋とは同一境界内みたいなものだし、予約時間までまだ間もあったので、覗いてみることにしました。 存在が地味なので観光客も少なく、縁側みたいなところに座って、のんびりと庭を眺めることが出来ます。 係のお姉さんに 「お時間はありますかぁ?」 と聞かれて、 「え? あ、まぁ。」 と、明快な回答をしたところ、 「もしよろしければご案内をさせて頂きますが。」 との事だったので、お願いすることにしました。 懇切丁寧で、なかなか興味深いお話であったように思うんですが、緊張して、あまり詳しくは覚えておりません。 庭が2ヶ所あるんですが、南のほうはシンプルなカラサンス風で、北のほうは男性的で、ホセ・ルイス・イズルンっぽい感じ。 そんな、海星高校の卒業生でなければ分からん事を言われても困るんですが、男性的というより、顔がコンパクトなことで有名でしたしね、イルズン神父。 「シャベッテイル人ガ、少ナク、アリマセーン。」 とか、流暢な Excite翻訳日本語を喋っておりました。 で、この北庭の佇まいが最高レベルだったんですが、特に建物の中から眺めると、より一層、趣があります。 さすが、国の名勝に指定されているだけのことはありますなぁ。 南禅寺をうろうろしていた頃は、時おり傘が必要になるような天候だったんですが、ここに来て青空も見えてきて、いやあ、よかったっす。

 ということで、ランチタイムっす。 予約していたのは 京料理 高台寺 羽柴 というところ。 観光客向け臭が強く感じられる店のような気がしないでもないんですが、僕は観光客なワケなので、特に問題がなし。 ただ、クチコミを見る限りではギャル向けの店っぽくて、その点がちょっと気がかりだったんですが、中に入ってみたら確かにギャルまるけでありますな、こりゃ。 おっさん含有率は10%くらい。 2人掛けのテーブル席に案内されたんですが、右隣の4人掛けテーブルは “女女女男” という、うらやま怪しからん構成。 僕のすぐ横の席と、斜め前の席と、その隣の席がギャルでありました。 右隣の2人掛けテーブルはギャル2人組。 で、右の怪しからん集団はすぐに去っていって、今度はそこに、着物姿のケバ系ギャル4人組がやってきました。 麻原彰晃でなくても浮いちゃうような状況なんですが、予約を入れた時点で覚悟を決めていたので、わりと平静でいられました。 オトナになりましたなぁ。僕も。 で、今回注文したのは 【自家製豆乳付き】自家製京生ゆば使用!当店名物「とろとろ湯葉御飯」が味わえる 「京ゆば膳」 \2,160 という奴なんですが、一休レストランから予約を入れると、サービスでメニューに豆乳が投入される模様。 ということで、最初に登場。

一休さんサービス@自家製豆乳

 無駄にお洒落なグラスに入ってますな。 ま、味は普通に液状豆腐だったんですけど。 で、本体のほうはこんな感じです。

3種のソースでいただく自家製くみあげ湯葉&粟麩二色田楽 包み湯葉揚げ出し&とろとろ湯葉御飯

 左が 「3種のソースでいただく自家製くみあげ湯葉&粟麩二色田楽」 で、右が 「包み湯葉揚げ出し&とろとろ湯葉御飯」 。 おお、京都っぽい♪ で、もう一品。

湯葉グラタン

 湯葉グラタン。 食べようとして、写真を忘れたのに事に気づいて、慌てて撮ったので、ちょっとババちい感じになってしまいましたが、純和風な湯葉と、とろとろチーズとの取り合わせが絶妙で、グラタン・モンカー3世のトロンボーンでも聞きながら楽しみたいところでありますな、こりゃ。 お値段のほうも金銭感覚がマヒマヒな身にとっては超リーズナブルに思えてしまうし、ちなみに、少し前まではサービスの1品が豆乳ではなく湯葉デザートだったようで、そっちのほうがよかったような気もするんですが、ま、 「自家製バリウム付き」 よりはいいかと。 とまあそんなことで、この話はあと3回くらい、続く♪

 で、今日はウイントン・マルサリスっす。 僕がジャズを聴き始めたのは1985年頃だったのではないかと記憶しておりますが、当時は喜んで 『スイング・ジャーナル』 を買ったりしてましたなぁ。 そこで全面的に大プッシュされていたのが、このマルサリスとマンハッタン・ジャズ・クインテット (笑) だったんですが、マルサリスの持ち上げられ方には高校生心にもちょっと胡散臭いものを感じ取ってしまい、以来、ちょっぴりオッサン臭くなってしまった今現在でも、手を出さずにいたりします。 ウイントン・マルサリスでググると、Wikipediaの次に 「なぜ、ウィントン・マルサリスは嫌われんですか?」 という質問が出てきたりするんですが、ジャズは基本的に一期一会なのでベストもチョッキもありません。 この回答に不本意ながら、ちょっとグフっとなってしまいました。 で、個人的には、一度も聞いたことがないのに雰囲気だけで毛嫌いしてるモードが絶賛継続中だったりするんですが、THE PERFECT JAZZ COLLECTION 25 ORIGINAL ALBUMS というセット物を瀬戸物感覚で買ってみたところ、ウイントンの 『スタンダード・タイム VOL.1』 が入っていたので試しに聞いてみたところ、意外と悪くないような気がしないでもなかった。 そんな感慨を抱く結果に終わったので、せっかくなので取り上げてみようかな? …と。 全部で12曲も入っていて、ちょっと面倒だったりもするんですが、今回は先行してジャケ絵のほうを仕上げてしまったので非常に気は楽だし、とまあそんなことで、軽く流しつつ適当に仕事を片付けて、もっと楽になってしまいましょう。

 ということで、1曲目、 「キャラバン」 。 きゃー、ウマ きゃー、ロバ きゃー、ラバ ん〜♪ 個人的に好きなジャズ曲名俳句のひとつでありますが、適度にエキゾチックなピアノとベースとタイコによるイントロに続いて登場するマルサリス君は、なかなかいい感じだったりします。 根はオーソドックスなのに、微妙にフリーな香りがするあたり、さすがは新伝承派の旗手でありますな。 もはや 「E電」 並みの死語になっちゃってますけどね、新伝承派。 「E電」 の選考に関わったお陰で小林亜星の評判は地に落ちた感があるんですが、サントリー・オールドの 「恋は遠い日の花火ではない」 の曲が小林亜星の作だと知って、ちょっぴり見直しつつある自分がいたりします。 「夜がくる」 というのが正式名称なんですな。 もともとは 「人間みな兄弟」 というタイトルだったみたいですけど。 で、演奏のほうはというと、テーマに続いてマルサリスのソロが出て来て、抜群のテクニシャンぶりを披露して下さいます。 適度に味もあるし、嫌われる要素はどこにもない気がするんですが、続くマーカス・ロバーツのピアノ・ソロも、なかなかの充実ぶりだと思います。 いい感じにヤーサンのボスっぽく成長しておりますな、 4年ほど前のマカ・ロバ 。 とまあそんなこんなで、テーマに戻って、おいまい。 8分を超える熱演でありまして、マルサリス、悪くないじゃん。 というか、いいじゃん、普通に。

 で、次。  「エイプリル・イン・パリ」 。 日本名 「パリの四月」 っすな。 いいですよね、パリ。 パリパリ湯葉とかが美味しそうな気がするんですが、個人的にこの曲そのものはさほど好きではないので、あまり期待は持てません。 で、マルサリス君はコイツをどのように料理してくれているのかと思ったら、わりと速いテンポで、それなりにやってくれてました。 ソロ・パートは小難しいノリのリズムでテクニシャンぶりを発揮していて、で、続いてマカ・ロバのピアノが出て来て、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ま、こんなもんでしょうな。 で、次。  「チェロキー」 。 個人的にぜんぜん好きではない曲なので、まったく期待は持てないんですが、ロバーツが背後で地味に弾くテーマのメロディをバックに、マルサリスがミュート・トランペットで縦横無尽なソロを繰り広げるという、かなり斬新なアレンジが施されております。 結果、2分23秒という、ほんのちょっとしたプチ小品であるにも関わらず、無駄に緊張感が高い仕上がりになっておりまして、好き嫌いは別にして、野心的な仕上がりであるのは間違いありません。 デイル・ヤシーン事件以来の野心作。 そう評価する人がいるのも不思議ではないんですが、いや、何となく 「ヤシーン」 でググってみたらそんなのが出て来たので、とりあえず書いてみたんですけど。 本当は 「新造人間キャシャーン」 の親戚筋みたいなキャラを期待してたんですけどね。 「野心戦隊ヤシーン」 とか、そんなのが無いかと期待したんですが、とまあそんなこんなで、次。 ゴードン・ジェンキンス作の 「グッドバイ」 。 ベニー・グッドマン、日本名・ベニー良男くんの楽団のエンディング・テーマとして知られている曲ですが、名前はグッドマンなのに、性格は悪かったそうですな。 で、これはバラードだったりするんですが、マルサリスの吹きっぷりは極めて冷徹で、マイルスをより知的にしたような感じだったりします。 性格悪そうな雰囲気が節々から伝わってくるんですが、で、マーカス・ロバーツが見た目とは裏腹なインテリジェンスなピアノでそれに続いて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 悪くなかった。そう言っていいと思います。

 で、次。 ホーギー・カーマイケル作の 「ニュー・オーリンズ」 。 個人的にはあまりよく知らない曲だったんですが、 「いそしぎ」 の亜流っぽいメロディだったりして、で、バラードの連チャンでありますか。 ま、ソロ・パートに入るとテンポが速くなるので、間延びしちゃうようなことはないんですが、60年代マイルスっぽい作風であると言っていいと思います。 で、続く 「スーン・オール・ウイ・ノウ」 はマルサリスのオリジナル。 ミディアム・ファストのなかなか調子のいいナンバーです。 お調子者キャラではないだけに、ちょっと意外な気もするんですが、こういうのも悪くないじゃん。 そんな気がします。 で、続いてはガーシュインの 「フォギー・デイ」 。 オーソドックスに小粋な感じに料理しております。 ちょっぴり小賢しく感じられたりもするのは、お人柄でありましょうか。 ということで、次。  「ザ・ソング・イズ・ユー」 。 『スタンダード・タイム』 だけに、これでもかというほど歌物ナンバーが登場するんですが、演奏のほうはというと、まずまず以上のレベルは担保されていると言っていいのではなかろうかと。 で、次。  「メモリーズ・オブ・ユー」 。 ピアノの無伴奏ソロで、気分転換にちょうどいいっす。

 残すところ、あと3曲。 僕のヤル気は着実に削がれておりますが、さ、頑張りましょう。  「イン・ザ・アフターグロウ」 はマルサリスのオリジナル。 ミュート・トランペットによるしみじみとしたバラードが展開されております。 いいと思います。 で、次。  「オータム・リーブス」 。 マイルスへの挑戦状。 そう受け取っていい選曲かと思いますが、かなりのアップ・テンポで挑発的に仕上げていて、長髪的な武田鉄矢もびっくり。 で、ラストです。  「チェロキー」 。 ちょっと褒めたら調子に乗って、また最後に持ってきちゃいましたか。 いや、CDオマケの別テイクなのかも知れませんけど。 いずれにしろ、特に論調するようなこともなくて、とまあそんなことで、今日は以上っす。

【総合評価】 雰囲気だけで毛嫌いしていたんですが、聞いてみたら意外とよかった。 そう、最初のほうに書いたとおりのアレだったりするんですが、12曲すべてを聞き通した結果、途中でちょっと飽きてきて、ま、絶賛するほどではないかな? そんな評価に落ち着いたりもしたんですが、テクニックは素晴らしいし、そのものずばりのジャズ本流なのに、何かが足りないんですよね。だから心に響かないんでしょうね。 このベストアンサーが、なかなかいい線をいってるのではないかと。 とまあそんなことで、トランペット編は今回で一区切り。 次回からはアルト・サックス編をお届けしようと思いますので、ヨロシク☆


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