STITT GOES LATIN (ROOST)

SONNY STITT (1963/11/6)

STITT GOES LATIN


【パーソネル】

THAD JONES (tp) SONNY STITT (as,ts)
CHICK COREA (p) LARRY GALES (b) WILLIE BOBO (ds)
CARLOS "PATATO" VALDES (bongo,bongo) OSVALDO "CHIHUAHUA" MARTINEZ (cowbell,maracas,jawbone)
【収録曲】

(01-03) ARE YOU LISTENING / AMIGOS / MY LITTLE RED SUEDE SHOES
(04-06) RITMO BOBO / I TOLD YOU SO / CHIC
(07-08) SENOR JONES / AUTUMN LEAVES
【解説】 ( 2014年05月11日更新 / 連載 1,121回 )

 ( 前回 までの粗筋) インクラインを散策し、 「岡崎桜回廊十石舟めぐり」 と 「妙心寺退蔵院 春のお食事付き特別拝観・夜の部」 を堪能した。 …ということで、京都@春旅もいよいよ最終日です。この日のスケジュールは こんな感じ 。 土日は道路が大渋滞&バスもダダ混みで、ダダもうんざり。 そういった状態であるに違いないので、地下鉄とかで行けるところばかりをチョイスしたんですが、そういえば先日、のんびりと野球観戦していたみたいですな、ダダ。 ほれ 。 ま、この後、警備員に連行されちゃったんですが、「やだー、もっと野球みたいー!」 と、ダダをこねておりましたな、ダダ。 …と、余計なダダを出したおかげで、話がグダグダになっちゃいましたが、平日なら大丈夫かも知れないね。 そんな気がしないでもないので、バスに乗って銀閣寺方面に行ってみることにしました。 …と、その前にインクライン。 前日は人が多過ぎて、情緒もへったくれも無かったので、早朝に再訪してみることにしたんですが、幸い、宿はすぐ近くに取っているしぃ。 朝食開始が6時30分からということなので、それに間に合うように6時前に外に出ることにしたんですが、その時間なら人っ子一人いなくて、桜の花を独占出来ること、間違いなし。


< 早朝のインクライン > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、到着しました。 ……。 人っ子やダダっ子こそいなかったんですが、人っ大人はちらほらおりますな。 あと、犬っ子とかも。 でもまあ、 前日参照 と比べれば、ぜんぜん空いているし、ローアングルで写真を撮ってもパンチラ狙いだと誤解される心配もないし、ま、いいんじゃないっすかね? ちなみに前日には岡崎疏水で十石舟というのに乗ったんですが、実際に運用されていたのは三十石舟であった模様です。 で、その実物だか、パチモノだかが展示されているんですが、桜の引き立て役くらいの価値はあるような気がするし、近くの 蹴上発電所 も、なかなか味があったりするし、とまあそんなことで、インクラインは以上です。 で、続いては 銀閣寺 。 蹴上駅から地下鉄に乗って三条京阪駅まで行って、荷物をコインロッカーに預けて、そこからバスで行くことにしたんですが、銀閣寺に行くには銀閣寺前か銀閣寺道、どちらかのバス亭を利用することになります。 銀閣寺前は銀閣寺のすぐ前なので便利なんですが、銀閣寺道のほうはちょっと離れたところにある道だったりするので、利便性は今ひとつ。 僕の行程で行くと、いい感じの路線が 「前」 ではなく、「道」 のほうにしか止まらなくて、ちょっと不満なんですが、おまけに平日なのにぜんぜん空いてはいなくて、結構な混み具合だったりもしました。 ギャルとかも多数。 ま、合法的にオサワリ…とまではいかないものの、息づかいが感じられるレベルの接近戦にはなるし、道そのものは混んでなくて、時間的は順調だったのでよかったんですが、とまあそんなことで、 「道」 に到着〜。 結論から先に行ってしまうと、 「前」 ではなくて 「道」 のほうで、大正解でありました。


< 哲学の道(銀閣寺道〜銀閣寺前) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 バスを降りれば〜、桜ァァァ並木ィィィ♪ この部分は狩人の 「コスモス街道」 の節で歌って頂きたいんですが、ま、ちょっぴり語呂は悪かったりするんですけど。 とまあそんなことで、 哲学の道 。 銀閣寺前が出発地点であると僕は認識していたんですが、銀閣寺道のところから既に哲学は始まっていたんですな。 一緒にバスを降りたオバチャンが 「哲学の道って、こんな街中にあったんやぁ。」 といった感想を述べておられましたが、確かにちょっと意外な感じ。 哲学的な思索にはあまり相応しくなさげな空気が漂っていたりするんですが、桜そのものは非常に綺麗でありました。 とにかく、満開っ♪ …というか、実は既に 「落花盛ん」 な状況であったようなんですが、 (写真・ちょうど真ん中) のあたり、水面が真っ白になっちゃってました。 何かと思ったら、夥 (おびただ) しい数の桜の花びらが。 もう、小尾忠志 (おび・ただし) クンもびっくりの夥しさでありますな。 木の板で水の流れが堰き止められていて、その手前が 「花びら湖」 みたいになっております。 花筏 (はないかだ) なんてレベルじゃねぇ! ハナイカとかいう巨大なイカがいて、そいつの死体が漂着したら 「ハナイカだ!」 で、こんな感じになるんじゃないかと思いますが、それにしてもここの桜は半端ないっすな。 個人的にはインクラインよりもポイントが高かったんですが、で、 「哲学の道」 にしばし別れを告げて、お土産屋さんの並ぶ坂道をズンズン進んで行って、銀閣寺に到着〜。


< 銀閣寺 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ここはよく 「がっかりスポット」 と言われたりしますが、金閣寺は金ピカなのに、銀閣寺のほうはちっとも銀ピカではなくて、つまらん。 そんな話をよく耳にするんですが、それとは逆に、あの 「ワビワビ感」 がええんや! そんな意見も少なくありません。 通ぶりたい痛風持ちのオッサンほど、銀閣寺を持ち上げようとする傾向にあるんですが、個人的な意見を言うと、正直、ちょっと微妙かな? …と。 写真を見ても、あまりソソられるものが無いんですよね。 桜の名所というワケでもなさそうだし、ま、今回は 「哲学の道」 のオマケということで。 ここまで来て見ずに帰るというのも、ちょっと後悔しそうだしぃ。 ということで、覗いてみました。 入口から入ってすぐのところに、いきなりな感じで銀閣クン登場。 ……。 実物を目の当たりにしても、やっぱり微妙。 思ってた通りのガッカリっぷりなので、ちょっぴり変な笑みがこぼれたりもするんですが、侘びというか、寂びというか、謙虚というか、質素というか。 しょぼい。その表現が一番しっくりくるんですが、ただ、銀閣寺にあるのは銀閣だけではありません。 便所に行けば金隠しがあったりもするし、僕が 「その他の建造物」 で片付けちゃった (写真・上から2番目) の右側のほうの奴は “東求堂” という名前で、どうやら国宝に指定されている模様。 銀閣に更に輪を掛けて地味なんですが、東山文化の原点なんだそうです。 そうとも知らずに軽く流しちゃった僕は減点モノでありますが、ま、少年隊は東山紀之よりも植草克秀派だし、植草なら克秀よりも一秀のほうがミラーマンだったりするので、東山にはちょっと疎かったりするんですよね。 …とまあ、そんな僕でも、ちょっといい。 そんなふうに感心しちゃったのがここの庭なんですが、プリンで有名な 銀沙灘 と、オーソドックスな池泉回遊式の庭園と、起伏のある苔庭っぽいところの3タイプ。 境内は思ってた以上に起伏があって、ちょっとした山道だったりするんですが、ちなみにこの苔庭っぽいエリアは西芳寺 ( ← 通称 「苔寺」) をモデルにしたものらしいです。 なるほど、どうりでコケっぽい筈です。 コケティッシュな魅力…というのは、ちょっと違うかも知れませんが、 ここ を見るとどうやら、ウマスギゴケというのが主成分のようですな。 食うと美味すぎるコケ…ではなく、馬っぽい杉苔のようですが、「銀閣寺の大切な苔」 「ちょっと邪魔な苔」 「とても邪魔な苔」 の展示、見落としてしまいましたなぁ。 邪魔者扱いされて、ここまでコケにされて、コケとしても憤懣やるかたないに違いありませんが、でもって、展望台から見下ろす銀閣が絶景♪ ということで、トータルで見ればぜんぜん 「がっかり」 なんかじゃなく、ガッツリ楽しめる…とまでは言いませんが、500円ならぜんぜんお値打ちではなかろうかと。 なお、年2回の東求堂の特別拝観は追加料金が1,000円もするようで、ここでガッポリと儲けている模様です。


< 哲学の道(銀閣寺〜法然院) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、再び 「哲学の道」 に戻って、そこから南に下りました。 相変わらず桜が綺麗なんですが、特に書くことはありません。 で、続いての目的地は 法然院 です。 オフィシャルサイトが地味っすな。 法然院サンガからのご案内 とか、怪しい新興宗教の香りも、ちょっぴり。 そう言えば 「京都サンガ」 って、国破れて山河ありとか、いちに〜サンガリア、に〜に〜サンガリアとかとは関係無くて、何かの仏教用語が名前の由来なんでしたっけ? で、ここ、境内には年中、タダで入ることが出来るんですが、伽藍内には春と秋と大晦日、1年のうち、2週間と1日しか入れない模様です。 で、今回、ちょうど春の特別公開の期間だったので、せっかくなので覗いてみることにしました。 雑踏パネェ 「哲学の道」 から山側に進んでいくと、一転して静謐なムードが漂いまくるようになるんですが、で、そうこうするうちに、到着〜。


< 法然院 (プロローグ) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ワビサビ感全開の茅葺き屋根の山門が、いい味を出しておりますな。 そこを抜けた先にある白砂壇も、なかなかにアーティスティック。 で、特別に入れて頂ける伽藍の内部はどうなのかというと、ガランとしておりますな。 …といったことはなくて、どちらかというと雑然。 みつをっぽい標語があちこちに展示されていたりもします。 こんなところにも怪しい新興宗教っぽさが感じられるんですが、法然院だけに開祖は法然でんねん。 専ら阿弥陀仏の誓いを信じ 「南無阿弥陀仏」 と念仏を唱えれば、死後は平等に往生できるという専修念仏の教えを説き、のちに浄土宗の開祖と仰がれた。 そんな坊主でありますな。 佇まいとかは禅寺っぽいんですが、浄土宗なんですな。 で、ここは 「椿の寺」 として有名なんだそうで、さすがに桜ばかりだとちょっと飽きてきちゃうので、アクセントとして行程に組み込んでみたという側面もあるんですが、果たしてその実力の程は? (写真・いちばん下) に、その一端が窺えようかと思いますが、諸般の事情により、この続きはまた、次回。 で、ここまでと、この先ちょっとの散策の模様は、こんな感じになりました。

  【銀閣寺〜哲学の道@散策の軌跡】 (←Click Here!!)

 法然院の後、レーガン大統領に縁 (ゆかり) があるっぽい 霊鑑寺(れいがんじ) というところを覗いて、その先のところからバスに乗って祇園に向かったんですが、銀閣寺道から3.7キロ、見学時間を含めて、2時間強の散策でありました。 普通、2 キロを超えると歩くのが嫌になっちゃうんですが、ぜんぜん大丈夫でしたな。 銀閣寺が “プチ山” 状態になっているのが断面図から窺えるかと思いますが、とまあそんなこんなで、来週の最終回に、続く♪

 ということで、今日はソニー・スティットっす。 この人はですね、前回紹介したチャーリー・パーカーと演奏スタイルが極めてよく似ていたので、「パーカーのコピー」とか、「スティット聴くならパーカー」とか言われて、とっても馬鹿にされた。…という幼児経験を持っている人です。ま、本人いわく「パーカーの演奏を聴く前から今のスタイルで演奏していた。」とのことでありまして、パーカーのコピーよばわりされるのは心外だったようですが(中略)、このツラい幼児体験がトラウマとなって、スティットは一時期アルトを吹くのをやめて、テナーばかりを吹いておりました。これが俗に言う 「スティット一時期アルトを吹くのをやめて、テナーばかりを吹いてた事件」 でありますが…、と、ここまで、どっかのサイトに書いてあったのをそのままコピペさせて頂きましたが、えーと、 ここ っすな。 そういえばこんなコーナーもありましたなぁ。 読み返してみると激しくウツになっちゃう黒歴史でありますが、今日は 『スティット・ゴーズ・ラテン』 というアルバムを取り上げてみたいと思います。 前回 がパーカーのラテン物だったので、それに対抗する形になるんですが、録音年とか選曲とか雰囲気とか、ぜんぜん違うタイプだったりするんですけど。 「スティット一時期アルトを吹くのをやめて、テナーばかりを吹いてた事件」 を乗り越えて、アルトとテナーの両方を吹くようになってから、そこそこの年月が経過しての吹き込みでありますな。 この人のリーダー作はワンホーン物が絶対多数なんですが、こいつはトランペット入りでありまして、その分、ちょっとだけ書くことが増えそうなんですが、ま、肝心のトランペッターがサド・ジョーンズだというのがちょっと問題なんですけど。 サド・ジョーンズって、ちょっとだけ 「佐渡情話」 に似てるよね。 それくらいしか書くことがなかったりするんですが、ピアノが当時はまだ新人だったチック・コリアだというのは、注目点かも知れません。 で、ラテン物らしく、カルロス “パタート” ヴァルデスのコンガやボンゴ、オズヴァルト “チワワ” マルティネスのカウベルやマラカスやジョウボーン(?)が入ってたりするんですが、何だか可愛い名前でありますな、チワワ・マルティネス。 ちなみにこのジョウボーンとかいう楽器、スペイン語では 「キハーダ」 という名前で、詳しくは Wikipedia 参照。 キハダマグロではなくて、ロバや馬の下あごの骨なんですな。 趣味悪ぃぃぃ。 「与作」 や 「中央フリーウェイ」 が気になるところでありますが、与作は木を切る〜、カーッ♪ そんなのありましたっけ? その検証はとりあえず置いといて、では、スティットのプレイに耳を傾けてみることにしましょう。

 1曲目、 「アー・ユー・リスニング」 。 前回のパーカーの奴は有名なラテン曲が数多く取り上げられていたんですが、こっちのほうはスティットのオリジナルが中心となります。 この人、基本的に単純なリフ系のブルースしか作らないイメージがあるので、その点がちょっと心配なんですが、聞いてみたら案の定、そんな感じのアレでありました。 岡崎正通クンも日本語ライナーで、シンプルなリフ・ブルースで、スティットがたっぷりした感じのブルース・ソロを吹いている。 そんなふうに書いております。 ゆったりしたテンポのチャカポコで、何とも牧歌的な空気が漂っているんですが、2管のユニゾンによるテーマに続いて、スティットのちょっぴりルー・ドナルドソンっぽい雰囲気のソロが展開されております。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 サド嬢とチッコリは添え物っぽい扱いだったんですが、この後、彼らに活躍の場は与えられるのでしょうか? ということで、次。  「アミーゴス」 。 友達の複数形っすかね? 志摩スペイン村の宿泊施設が 「シーズン・イン・アミーゴス」 だったりするんですが、ストップ・ザ・シーズン・イン・アミーゴス、心潤してくれ〜、いつまでも、このままで、いたいのさ〜♪ いやあ、夏っすなぁ。 で、このスティットの曲はというと、とってもトロピカーナな仕上がり。 トロピカ。 ちょっぴり、新鮮なマグロの脂身っぽいっすな。 回転寿司で何周もしているうちに、乾燥してトロカピになっちゃったりするんですが、2管の絡みによるテーマに続いて、サド嬢のソロが登場。 これがなかなかいい味を出しておりまして、ちょっぴりサドに目覚めかけたりもしたんですが、で、続くチック・コリアのシンプルなピアノも、なかなか。 最後を締めるスティットは余裕綽々、時折、倍テンポを交えたりしながらバップなフレーズを繰り出しておりまして、とまあそんなこんなで、テーマに戻って、おしまい。 ラテンっぽくて、よかったな。 そんなアレでありました。

 で、続いては 「マイ・リトル・レッド・スエード・シューズ」 。 何故だか途中が赤くなっておりますが、パーカー作のよく知られた 「レッド」 抜きのあの曲であります。 パーカー・スタイルと酷似していると言われるのを嫌っていたスティットであるが、 (中略) パーカーの作品はいずれも彼のフェイヴァリット・ナンバーなのである。 そう、岡崎正通が書いておりますが、何事にも精通している正通クンのことなので、多分そうなんでしょう。 トランペットとアルトの掛け合いで演じられるテーマ部の処理がなかなか面白く、続くサドのソロが、これまたなかなかいい感じ。 日本では、名前でいじられる以外は今ひとつ不人気なサド君なんですが、再評価しなければならないサイヒョーカ009(ゼロゼロナイン)。 そんな気がしないでもなくて、で、オーソドックスでケレン味のないアルトのソロが続いて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ちょっぴり垢抜けない感はあるんですが、底抜けに能天気で、ま、よかったんじゃないでしょうか。 で、続いてはスティットのオリジナルで、 「リトモ・ボボ」 。 限りなく九州地方では放送禁止っぽいタイトルなんですが、ドラマーのウィリー・ボボにちなんだものとは言え、もうちょっと配慮が出来なかったものかと。 でもまあ、飛騨高山のほうに行けば普通に 「さるぼぼ」 が溢れたりしているし、それほど配慮する必要はないのかも知れません。 で、曲のほうはというと、これはほぼ、ボボでありますな。 ちなみに “BOBO” というのはポルトガル語で 「馬鹿」 という意味なんだそうですが、馬鹿に出来ない、いい感じの仕上がりだったりして、スティットにしては上出来と言えるのではなかろうかと。 2管の絡みによるテーマに続いて、サド、チック、スティットの順でソロがフィーチャーされるんですが、どれも甲乙つけがたい出来となっております。 甲虫と乙姫だったら、わりと簡単に甲乙つけられるんですけどね。 何でもいいけど乙姫って、どうして真ん中ランクの名前を付けられているんですかね? ちょっと不思議に思ったので調べてみたんですが、乙姫 (おとひめ) : 姉妹のうちで、妹の姫のことをいう。 ほぉー。初めて知った、この事実! ということは、甲姫というネーチャンがいるんですな。 甲イカというイカがいるんだから、甲姫がいても別に不思議ではないんですが、とか言ってるうちに、パーカーションな人々がフィーチャーされるパートが出て来て、でもって、テーマに戻って、おしまい。 なかなか乙な出来であった。 そう評価していいと思います。

 で、次。 スティットのオリジナルで、 「アイ・トールド・ユー・ソー」 。 ちょっぴりゴスペル風の雰囲気が漂うナンバーで、ニグロ・スピリチュアルの 「ウェイド・イン・ザ・ウォーター」 からメロディを借りている。 そういったアレであるようです。 どこかで聞いたことのあるような曲だと思ったら、そういうことなんですな。 それって、パクリなんじゃね? そんな気がしないでもないんですが、パクリじゃなくて、リスペクトしているだけなのかも知れないし、そしてスティットとジョーンズのソロが絡み合いながら進行してゆくという演出が面白い。 …と、そっちのほうに主眼があるわけなので、ぶっちゃけ、テーマなんて飾りのようなものだと思って頂ければよろしいかと。 で、スティットとジョーンズのソロが絡み合いながら進行するのに続いて、チックが登場するんですが、これがなかなかの出来映えだったりして、とまあそんなこんなで、テーマに戻って、おしまい。 かなり凝った作りだし、適度に哀感もあったりするので、ああ、いかん。 そんなことはぜんぜん無くて、いやあ、よかったっす。 で、次。  「チック」 。 スティットもそろそろ、曲名を考えるのが面倒になってきた模様でありますが、リラックスしたリフ・ナンバーで、ブリッジ部分のメロディも 「マイ・リトル・スエード・シューズ」 を思わせるものがある。 そういったアレである模様です。 またしてもリスペクトっすか? 略して、またペクト。 そんな略語を作ってみたところで、活用する機会はさほど多くは無さそうですが、テーマの後、サド、チック、スティットの順で、各自のソロが披露されます。 でもって、テーマに戻って、おしまい。

 僕もそろそろ、レビューを書くのが面倒になってきた模様でありますが、続いては 「セニョール・ジョーンズ」 でありますか。 物事に精通している正通クンが、メンバーの名前が付けられたオリジナルが2曲とか書いていて、 「ん?」 と思ってしまったんですが、サド・ジョーンズのことなんですな、セニョールは。 サドと言ってくれないと、ぜんぜんピンと来ないんですが、シンプルで陽気なメロディを持ったブルースである模様。 スティットはアルトではなく、テナーを吹いております。 意識してなかったので書くのを忘れていたんですが、 「アイ・トールド・ユー・ソー」 も、そうだった模様。 で、テーマそのものはというと、マジでシンプルなブルースでありますな。 各自のソロの出来はぜんぜん悪くないので、アドリブの素材としてはこれで十分なんでしょうけど。 とまあそんなこんなで、ラストっす。 ラテン物なのに、ちょっと意外な選曲で、 「オータム・リーブス」 。 「枯葉」 っすな。 私の私の彼は〜、枯葉♪ ちょっぴり字足らずなんですが、枯れたオトコが好きなんですな。 渋い趣味だと思います。 で、これ、スティットが奏でるメロディにジョーンズが絡んでゆくというテーマから、メンバーのソロがリレーされて、スティット流 “ラテン・バップ” というべき、印象的なエンディング・ナンバーになっている。 そう、正通クンが正しく書いている通りのアレだったりするんですが、アルトだけでなくテナーのほうもお上手だし、サドくんはジョーンズだし、とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】 基本的に正統派な作品が多いスティットにしては、ちょっぴり異色作なんですが、遺書臭くはなく、明るく能天気な仕上がりなので、 何も考えずにお気軽に楽しむことが出来る足軽。 そんな1枚でありますな。 サド嬢が意外といい味を出してくれてるし、チックのピアノも良好だし、ラテン野郎共もそんなに耳障りではなく、普通にハード・バップとして楽しめる感じだったりして、アミーゴ♪


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