BREAK THROUGH (ARGO)

GENE SHAW (1962/10/11)

BREAK THROUGH


【パーソネル】

GENE SHAW (tp) SHERMAN MORRISON (ts)
JAMES TAYLOR (p) SIDNEY ROBINSON (b) BERNARD MARTIN (ds)
【収録曲】

(01-04) AUTUMN WALK / AD'S BLUES / MARJ / SIX BITS
(05-08) THE THING / TONIGHT / OUR TUNE / IT'S A LONG WAY
【解説】 ( 2014年12月07日更新 / 連載 1,145回 )

 今日はグリースについて考えてみたいと思います。 エー、ウソー、ヤダー、カワイイー♪ ぶりぶりぶりっこ Rock'n Roll、ぶりぶりぶりっこ Rock'n Roll、可愛いこぶりっこ、いいこぶりっこ、ぶーりぶりぶり Rock'n Roll、わかっちゃいるけど、憎めないんだ〜♪ それは 「紅麗威甦 (グリース)」 ですな。 だいたい合っているんですが、僕が考えてみようと思っているグリースとは、ちょっと違います。 「横浜銀蝿」 の弟分なんでしたっけ? それならそれで、もうちょっと弟分っぽい名前にしたほうがよかったような気もするんですが、 「横須賀鉄蛆」 とか。 蛆は蠅の子供であって、弟とは違うんですが、蚊のほうが蠅の弟分という感じだったりしますかね? が、「鉄蚊(てつか)」 だと何となく、手付かずの大自然みたいなイメージになっちゃうので、ちょっぴり足利尊氏を彷彿させる 「鉄蛆(てつうじ)」 のほうを選んでみました。 そもそも杉本哲太は 「紅麗威甦」 なんて難しい漢字、何も見ないでちゃんと書けるんっすかね? 少なくとも僕は無理です。 急にサインを求められたりしたら、 「紅りいす」 とかで誤魔化しちゃいそうなんですが、何でもいいけどグリースって、ちょっぴり栗石 (ぐりいし) に似てますよね。 地盤固めなんかに使うグリグリした石っすよね。 正確には栗石 (くりいし) と、濁らずに発音するようなんですが、通称 「ぐり」 。 カチ割ってグリグリにした奴は、割栗石 (わりぐりいし) 。 これだとちょっと、悪いグリースっぽくなったりするんですが、悪くなったグリースは取り替えなければなりません。 ということで、取り替えましょう。

 この度、某取水場でポンプの分解整備の監督の仕事をやることになったんですが、その中に電動弁駆動部の整備というのが含まれております。 電動弁というのは電気で動く弁。 そういったものだったりするんですが、その駆動部というのはモーターとギアを組み合わせたようなもので、ギアのところにはグリースがコテコテに入っていたりします。 で、今回、それも取り替えることになっているので、メーカーの人に使用銘柄を聞いて、「こういうのを使わせて貰いまっせ。」 と、役所に書面でお伺いを立てたところ、「グリースは駆動部だけしか替えねーの? 減速機のほうはどうすんの?」 そんな答えが返って来ました。 なるほど、よく見ると今回の整備対象物は駆動部−減速機−バルブ。 そういう構成になっていたりするんですな。 電動弁というのは弁のほうは弁メーカー、電動のほうは駆動部のメーカーが作っていて、それを組み合わせるというシステムになっているんですが、今回、整備をお願いしているのは駆動部のメーカーのほう。 で、中間の減速機は弁メーカーのほうの管轄になっているみたいです。 「ま、グリースくらいならついでに替えちゃいますけど。」 そう言って貰えたんですが、駆動部と減速機、果たして同じグリースを使っていいものかどうか、そこのところが問題だったりします。 ま、いいんじゃねーの? 個人的にはそんな気がするんですが、お役所の人というのは 「多分、大丈夫だと思います。」 というのでは、なかなか納得してくれなかったりします。 「多分じゃ困る!」 とか言われて、根拠となる資料の提出を要求されることになっちゃいます。 ま、気持ちは分からんでもないんですけどね。 例えば化学兵器テロが発生して、毒ガスの種類を聞かれたりした場合、「多分、タブンだと思います。」 とか適当なことを言って、実はそれがソマンだったりしたら、「すまん」 では済まない話ですからね。 ま、グリースの場合、間違って栗石を入れたりしない限りは、そんな大事にはならないような気もするんですが、でもまあ、せっかくだし、この機会にちょっとグリースについて調べてみようかな。 そんなふうに思った次第でありまして。

 減速機にはどういうグリースを使えばいいのか。 答えは簡単です。 取扱説明書を見たら、書いてありました。 エッソスタンダードEPグリーススペシャル(EP0〜00相当) だそうです。 普通 (スタンダード) なのか、特別 (スペシャル) なのか、はっきりしろ! そう言いたくなっちゃうネーミングなんですが、 “EP” というのもよく分かりませんな。 「海老ピラフ」 の略? 確かにピラフはそこそこ油っぽかったりするので、潤滑性はあるのかも知れませんが、海老とか、いらなくね? そんな気がしないでもありません。 僕は海老がそれほど好きではなかったりするので、尚更です。 チキンピラフにしろって! そう思わずにはいられませんが、とりあえず根拠となる資料を探そうとネットで調べてみたところ、これといった情報がヒットしません。 どうやら名前が変わっちゃってるっぽい? 仕方がないので網を広げて 「エッソ グリース」 でググってみたんですが、何故だかモービルのサイトがいちばん上に出てきちゃいました。 エッソとモービルって、まったくの別物だと思っていたんですが、エッソ (Esso) は、エクソンモービルおよびその関連会社によって使用される商標名。 ほぉ、そうだったんですか。 モービルくんには 「エクソン」 というブランドもあるんですが、何だかクソみたいだという理由で、日本での展開は見合された模様です。 ま、確かに 「ええ糞、ん〜♪」 とか、そんな俳句ばかりを作られちゃいそうですよね。 エッソなら 「エー、ウソー」 で、ぶりっこっぽくて、好感度もアップ。 とまあ、そんな裏事情が分かって、それなりに有意義だったりしたんですが、肝心のグリースに関しては何の役にも立ちません。 そういえばグリースとブリーフって、ちょっとだけ似ているよな。 そんな事実に気が付いたので、試しにブリーフで画像検索してみたんですが、違う! 僕が見たかったのは こんなの じゃないっ! 慌てて検索ワードに 「女子」 を追加してみたんですが、半分くらいは意に沿わない画像だったりして、うーん…。

 気を取り戻して、グリース。 とりあえずモービルくんに、電動弁の減速機用なんだけどぉ、スタンダードEPグリーススペシャルの替わりとして使えるのを、オ・シ・エ・テ☆ そういった趣旨のメールを送ってみることにしたんですが、その結果、そのグリースはとってもスペシャルなので、代替品は無い。 詳しいことは日本ギアに聞け。 そんな返答でありました。 使えないヤツですなぁ、モービル。 山蛭 (ヤマビル) のほうがまだ役に立ちそうなんですが、血を吸わせる治療法とか、あったりしますからね。 手の切断を救ったのはヒル1400匹 。 こんなニュースもあったりするんですが、ミ○ズ1000匹ならともかく、ヒル1400匹というのは、ちょっと嫌っすなぁ。。。 ちなみに、回答者として名指しされた日本ギアというのは電動弁の駆動部を作っているメーカーなんですが、僕の知る限り日本でこれを作っているのは、ここと西部電機の2つしかなかったりします。 で、今回の現場で使われてるのは西部電機の製品だったりするんですよね。 グリースもそこの人が替えてくれることになってます。 その銘柄を 「ニチギ」 に聞くというのも、筋違いな話ですよね。 筋を違えると整体に通わなければならなくなったり、洗脳されたりして、話が面倒になってくるので、ここはきっちり筋を通したいところです。 じゃ、 「セイブ」 の人に聞けばいいじゃん。 そう思われるかも知れませんが、当然、それはいちばん最初の段階でやっております。 僕が直接聞いたわけではないんですが、「駆動部と同じで大丈夫なんじゃないっすかねぇ、多分。」 そういった返答だったようです。 「ニチギ」 のほうの調べも既についていたりするんですが、ぶっちゃけ、例のエッソの銘柄でググると、上から4番目くらいに これ が出てくるんですよね。 BA型。 何だかベスト・アンサーっぽいっすなぁ。 EBI型なら、何だか海老っぽくて、今ひとつ僕の好みではないんですが、これならきっと大丈夫。 グリースの話は9ページの潤滑のところに出てきます。 いいっすよね、潤滑。 豚カツ、海老カツと並ぶ “世界3大カツ” のひとつですよね。 アンタ、海老はあまり好きじゃないって言うてたやん。 そう思われるかも知れませんが、僕の趣向と世間の動向とは、乖離があるということで。 ま、僕の場合、海老の頭とか、ヒゲとか、脚とか、殻とかが駄目なだけなので、剥き身になってる海老カツなら、ぜんぜん大丈夫だったりするんですけど。

 で、この適用可能な代替グリース一覧表なんですが、エッソのスタンダードEPグリーススペシャルだけがカルシウム複合で、その他はすべてリチウムとなっております。 そもそも、石けん基って、何や? そこからして、まったくもって理解不能なんですが、詳しいことは ユカちゃん に聞いて下さい。 潤滑油のほかに、増ちょう剤というのが入っているようなんですが、そんなことして大丈夫なんっすかね? 増長して、つけ上がって、傲慢で尊大なグリースになっちゃたりするんじゃないっすかね? 増長天 みたいになっちゃったら目も当てられないんですが、グリースをつけ上がらせる要因としては、石けん系と非石けん系、2つのタイプがあるようです。 僕のイメージとしては石けん系が世の中を席捲しているように思えるんですが、で、石けん系の中にもいくつか種類があるようです。 カルシウムとリチウム、どちらのほうが優れているのか、素人の僕にはまったく見当が付かないんですが、リチウムは電池になりそう、カルシウムは歯と骨が丈夫になりそう。 そんな感じがして、ま、どっちもどっちかなと。 で、弁メーカーにもメールで問い合わせてみることにしたんですが、その返答がこちらです。

お問い合わせ頂きましたグリースの件ですが、大変申し訳ございません。
取扱説明書に記載の「スタンダードEPグリーススペシャル」は平成25年7月頃より
下記へ変更となっております。

 ◆名  称 : EPギアグリース
 ◆種  類 : カルシウムグリース
 ◆メーカー : コスモ石油ルブリカンツ(株)


 “ルブリカンツ” などという、微妙に “鰤(ぶり)カツ” っぽい名前の会社が新たに登場しました。 鰤カツって、そんなカツ、あらへんやろ〜。 そう思ったりもしたんですが、調べてみたら普通にありました。 ほれ 。 「かつや」 にあるんですな。 岡田克也もウカウカしてはいられません。 うちの選挙区なんですけどね。 ウカウカしていたら、羽化しちゃうかも知れませんが、羽根が生えた岡田克也。 ちょっと嫌ですなぁ。 で、この鰤カツ屋さんはコスモ石油の子会社か何かだと思うですが、EPギアグリースっすか。 「極圧 (EP, extra pressure) 」 と名づけられたグリースは高い圧力や負荷がかかる場合のためのものであり、うんぬん。 ほぉ、海老ピラフじゃなかったんですな、EP。 で、石けん基はカルシウムのようです。 歯と骨が丈夫にする道を選んだんですな。 で、このメーカー名とEPグリースで調べた結果、 “コスモグリースダイナマックスEP−0” という、とってもダイナミックで極圧なのが出て来たんですが、この名前、ニチギの一覧の中にもありましたよね。 ちなみに 「セイブ」 の電動弁駆動部で適用可能なグリースの銘柄は ここ の13ページにあります。 この中で今回は日本グリース(株)の “ニグタイト LYW No.0” というのを使わせて貰いまっせ。 そんな書類を出していたりするんですが、いいですよね、ニグタイト。 ちょっぴり 「肉体派」 みたいで。 これも 「女優」 という言葉を付加して画像検索しないと、意に沿わないものばかりが出てきちゃうんですが、で、一覧の中には “コスモグリースダイナマックスEP−0” の名前もあります。 エッソのスペシャルな奴は、コスモのダイナミックな奴で代替可。 コスモのダイナミックな奴は、肉体派で代替可。 故に、エッソのスペシャルな奴は、肉体派で代替可。 三段論法でそういう結論が導かれるんですが、ただ問題なのはダイナミックな奴と肉体派がカルシウム系ではなく、リチウム系であるという点。 混ぜなければ大丈夫っぽいんですが、弁屋さんはカルシウムだと断言してますからね。 減速機にリチウムなコスモのダイナマックスなんちゃらを使っても大丈夫なのか? その代替のニグタイトでもいいのか? そんな疑問をぶつけてみることにしたんですが、この時点で消息が途絶えました。 いつまで待っても返事が来ません。 しびれを切らしてシビレフグを…とか、やってる場合じゃなくて、電話で問いただしてみたんですが、相手の営業の兄ちゃんは調子だけはいいんですが、ぜんぜん答えを出してくれなくて、うーん。。。

 公式見解は諦めて、同じグリースで大丈夫っ! いや、多分…。 その方向で書類を提出することにしたんですが、役所に向かってクルマを走らせている途中で、電話が掛かってきました。 「駆動部と減速機とは、やっぱり別物です。うちではリチウム系のグリースは使ったことがありません!」 って、マジかよ? いやあ、危ないところでした。 もう少しで、役所に大嘘を付いちゃうところでした。 ギリギリのタイミングでしたが、明確な答えを出してくれて、ありがとう♪ じゃ、具体的には何という銘柄を使えばいいのか、その回答をお願いしたんですが、そこでまた消息が途絶えました。 しびれを切らして電話をすると、相手の営業の兄ちゃんは調子だけはいいんですが、(以下同文)。 空しく時間だけが過ぎていき、このままだと役所の人もプッツンしちゃいそうです。 度重なる電話攻撃 + 「金曜日までには何とかしろ!」 の最後通牒メール。 で、ようやく答えが返ってきました。

お問い合わせを頂きましたWG減速機グリースの代替品について、
メーカーに確認が取れましたのでメール致します。

<グリース代替品>
 1)コスモグリースダイナマックスEP-0 【コスモ石油ルブリカンツ梶z
  (以下3銘柄)


 リチウムやんっ! 僕が最初に言うたヤツやんっ! 駆動部と減速機は別物だという、あの力強い断言は何だったのか? 無駄に過ぎてしまった、この2週間の意味は? 弁メーカーの弁明がちょっと楽しみだったりするんですが、どう落とし前を付けてくれるんだ、ベン! でもまあ、こうして1回分のネタになったことだし、「さすがサバさん。グリースにもお詳しいですね!」とか、おべんちゃらを言ってくれたら、ベンはチャラにしてもいいかと思うんですが、とまあそんなことで、おしまい♪

 ということで、最近買ったCDシリーズです。 先週、ジャケ絵を書くのが面倒で先延ばしにしちゃったアルバムを、頑張って取り上げてみたいと思うんですが、ジーン・ショウ 『ブレイク・スルー』 。 ぜんぜん聞いたことのない名前でありますな。 リーダーだけでなく、サイドマンを含めたメンバー全員と、収録曲のすべてにまったく馴染みがないという稀有な1枚だったりするんですが、ジャケットのセンスも、ちょっとどうかと。 「ブレイク・スルー」 だから窓ガラスをぶち破ってみたんだと思うんですが、そういうことは尾崎豊で卒業して欲しいところでありますなぁ。 夜の校舎、窓ガラス壊してまわるわ、盗んだバイクで走りだすわで、実にロクでもないユタカだったりするんですが、ギャルのユカタとかも脱がしまくったりするユタカだったんでしょうなぁ。 好きな外国はユカタン半島だったり、就職先は中央油化タンだったり。 無茶してたわりには、結構いいところで働いていたりするんですが、「若い頃は “紅麗威甦” に憧れていたんっスよね。今はこうしてグリースを売ってますけど。」 とか、セールストークしているんでしょうなぁ。 で、このジーン・ショウくん、個人的にはまったくよく知らなかったりするんですが、その筋ではそこそこアレだったりするようで、岡崎正通クンが書いた日本語ライナーによると、50年代の後半にチャールス・ミンガスの一味として地味に活躍していた模様です。 『メキシコの思い出』 とか 『イースト・コースティング』 とかに参加してるっぽいっすな。 これ っすか。 クラレンス・ショウとクレジットされておりますが、これがジーン君の本名であるぽいっす。 で、これ、岐阜営業所に転勤になった頃に書かれたものっぽいんですが、週3回の更新とか、マカイゲレンデでウインドサーフィンとかやっていたんですなぁ、当時の僕。 で、中身のほうはまともに読み返す気がしないので、ショウ君について触れられているかどうかは不明なんですが、とりあえずまあ、こっちのアルバムでも聞いてみることにしますかぁ。

 1曲目、ジェームス・テイラーのオリジナルで、 「オータム・ウォーク」 。 日本名 「秋に魚(うお)食う」 っすな。 秋に食う魚と言えば断然、秋刀魚だったりするんですが、僕はアレが今ひとつ好きではありません。 何がよくないって、丸ままの姿で焼かれて出てくるところがアレなんですが、頭とか、ハラワタとか、キモくって最悪です。 肝もキモいっすよね。 バイオテクノロジーの技術を駆使して、内臓が無いぞう。 そんなサンマを開発してくれれば、食べてみるにヤブサカではないんですが、ちなみに作曲者のジェームス・テイラーというのは、このアルバムでピアノを弾いている人ですよね。 ググってみると、アメリカのシンガーソングライターとか出てくるんですが、多分、別人でありましょう。 「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第74位とか、とてもそんな人気がある人だとは思えないし。 元祖アシッド・ジャズの巨頭、ジャズ・ファンク・グループのジェイムス・テイラー・カルテット (JTQ) とかも出てくるんですが、これも別モンっすかね? 日本語ライナーを見ても、リーダーと脇役の全員がシカゴニアンらしい。 そんな情報しか得られなかったりするんですが、なんかちょっとアレっすよね、シカゴニアン。 何だか鹿がゴネているみたいで、あまりいい印象がありません。 が、曲の出来のほうは、実に日本人好みな哀愁味を帯びたマイナー・チューンに仕上がっていたりして、でら絶品。 昔、 「デラべっぴん」 というスケベな雑誌があったと記憶しておりますが、いや、いいっすな、こりゃ。 トランペットが吹く主旋律にテナーが絡む形でテーマが演奏されるんですが、でもって、続いてショウくんのソロが登場。 枯れたような黄昏たようなトーンは、ドーハムとマイルスの中間っぽい雰囲気だったりして、寂しさ満載で、とっても抒情的だじょー。 そんなプレイが展開されております。 続くシャーマン・モリソンとやらのテナーはわりとパワー系だったりして、コントラストの妙が楽しめます。 ちょっぴりコルトレーンっぽいスピリチュアルさが感じられたりして、で、続くジェームス・テイラーのリリカルなピアノもなかなかの出来栄え。 シカゴ派というと、ゴリゴリなゴリ押しのイメージがあるんですが、こういう控えめな人たちもいたりするんですなぁ。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 いや正直、あまり多くは期待できないと踏んでいたんですが、いい意味で裏切られました。 この先が楽しみです。

 ということで、次。 ショウくんのオリジナルで、 「ADズ・ブルース」 。 これはアレです。ブルースっす。 ADが何を意味するのかはよく分からんのですが、あなご丼? 鰻丼の、かなりレベルが下がった弟分。 そんな感じだったりして、さほどソソられるものがない丼だったりするんですが、曲のほうもちょっぴり能天気な空気が漂っていたりして、ちょっとアレでありますな。 …とか思っていたら、アレなのはイントロだけで、本テーマに入ったらわりといい感じになったりしたんですが、いい意味でのB級ファンキー・チューンって感じ? で、ソロ先発はジーン・ショウ。 彼の音色はどこかにほの暗い哀感を漂わせていて、聴く人の心の奥にまで深く入り込んでくる。 決して明快なスタイルではないものの、黒人ジャズならではのブルース・フィーリングと独特の翳りをもつ “語り口” は、いちど耳にしたら忘れることができないほどの強い印象を残してくれる。 そう、正通クンが絶賛しておりますが、同感です。 「銅管って、銅で出来た管だよね?」 とか言われたら、同感せざるを得ないのと同じくらい、同感です。 で、続くテナーとピアノの人もいい感じのソロを聞かせてくれて、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。いやあ、なかなかでした。 で、次。 そろそろハズレが来るような気がする。 疑い深い僕は、ヘンな期待を持ってしまったりするんですが、これまたジーン・ショウのオリジナルで、 「マージュ」 。 名前からして饅頭に捧げたオマージュだと思われますが、ちょっぴりボサノヴァっぽい、わりと小粋な仕上がりになっておりました。 いや、これまた悪くないっすな。 ショウのトランペットはわりと流暢な感じ。 続くモリソンのテナーはわりと酋長だったりします。 酋長と言えばジャポニカ学習帳なんですが、キモいとか言われて、表紙から虫が消えちゃったそうですな。 僕も虫はちょっと虫が好かなかったりするので別にいいんですが、で、以下、軽快なピアノのソロが続いて、セカンド・テーマの合奏パートみたいなのがあって、でもって、本テーマに戻って、おしまい。

 で、次。  「シックス・ビッツ」 。 作曲者にはカール・デイビスという名前がクレジットされておりますが、小唄小唄した香田晋。 そんな感じの小粋なナンバーだったりしております。 代表曲は 「酒場の金魚」 っすよね。 で、ソロ先発はジーン・ショウ。 いつもこのパターンで、ちょっとマンネリな気がするんですが、意外と自己主張が強い酋長だったりするんですかね? ま、部族をまとめていくには、そういうタイプじゃないと無理な気はするんですが、で、これ、三拍子なんっすかね? 5拍子のようにも聞こえるんですが、名前が 「シックス・ビッツ」 だから、6拍子? 変拍子なのは間違いないんですが、突拍子もなく変というワケではなく、普通に楽しむことは出来ます。 続くシャーマン・モリソンのソロは、かなりコルトレーンな吹きっぷりだったりして、なかなか笑えます。 どういうキャラなのかは不明なんですが、ググってみると、Sherman-Morrisonの公式 - 機械学習の 「朱鷺の杜Wiki」 とか、ワケのわからんのが出てきたりします。 共分散行列の逆行列の逐次更新などに有用なんだそうです。 僕には無用な公式っぽいっすな。 で、以下、テイラーくんの小粋なピアノが続いて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ここまで、大きなハズレはないんですが、そろそろソロの順番くらいはちょっと変えたほうがいいような?

 ということで、ここからB面となります。 新たな気持ちで臨みたいと思いますが、まずはショウ君のオリジナル、 「ザ・シング」 。 名前からして布団とか枕とかに捧げられたものではないかと思われますが、心地よい眠りを誘われるような、穏やかなバラードだったりします。 B面の頭にスローなのを持ってくるとか、ちょっと意外ですな。 …とか思ったら、すぐにテンポが速まって、目が覚めてしまったんですが、ちょっぴりミンガスな世界を感じさせる、そういったアレでありますな。 ソロ先発はやっぱりトランペットなんですが、かなりフリーなアプローチが垣間見られたりして、退屈さはありません。 続くモリソン君の健闘も光ります。 テイラーのピアノもいつになく前衛風な全英オープンだったりするんですが、とまあそんなこんなで、テーマに戻って、おしまい。 で、次。  「トゥナイト」 。 あ、収録曲のすべてにまったく馴染みがないと書きましたが、これだけは例外。 ミュージカル 「ウエスト・サイド物語」 からのナンバーでありますな。 昔、 「トゥナイト」 という、たまにスケベだったりする深夜テレビがありましたが、この 「トゥナイト」 は、なかなか面白いアレンジが施されておりますな。 ショウのソロはちょっぴり “おちゃらけ” が入っていたりするんですが、モリソンのコルトレーンなソロも聞けるし、テイラーのピアノは小粋だし、またしてもソロの順序がこのパターンだったりするんですが、欠点といえばそれくらいだし、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。  「アワ・チューン」 はジャック・ディジョネットのオリジナル。 モーダルな雰囲気の、なかなかの佳曲だったりします。 テーマとショウ君のソロを行き来するような感じで演奏が進められて、以下、テナー、ピアノとソロが続いて、テーマに戻って、おしまい。 ということで、ラストっす。 4曲目にも出てきたカール・ビッツとかいう人の作で、 「イッツ・ア・ロング・ウェイ」 。 これ っすかね? いや、これは 「イッツ・ア・ロン毛で、しぇー」 っすな。 こんな幸せそうな笑顔になれるのなら、危険ドラッグも悪くないんじゃ? そんな誤解を与えかねませんよね。 いや、さすがにこれは引きますか。 で、曲のほうはというと、リラックスした寛いだムードの阿部寛。 そういった感じのアレでありまして、で、テーマに続いて、テイラー君のピアノが登場。 お、ここに来て、ようやくソロの順序を変えましたか。 酋長にも心の余裕が生まれたようですが、以下、テナー、トランペットと、いつもとは逆の順序で充実したプレイが展開されて、とまあそんなことで、テーマに戻って、今日は以上っす。

【総合評価】 こういうのを 「隠れた名盤」 と言うんでしょうな。 つべこべ言わずに、聞け! そう言いたくなる出来だったりして、超オススメ♪


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