FLUTE FEVER (COLUMBIA)

JEREMY STEIG (1963/10)

FLUTE FEVER


【パーソネル】

JEREMY STEIG (fl) DENNY ZEITLIN (p) BEN TUCKER (b) BEN RILEY (ds)
【収録曲】

(01-04) OLEO / LOVER MAN / WHAT IS THIS THING CALLED LOVE / SO WHAT
(05-07) WELL YOU NEEDN'T / WILLOW WEEP FOR ME / BLUE SEVEN
【解説】 ( 2015年12月06日更新 / 連載 1,190回 )

  ( 前回 までの粗筋 ) 修学院離宮を参観して、夜は小雨が降る中、二条城の金魚のヤツを堪能した。 …ということで、2日目です。 今回の旅の行程表は これ 。 当初、この日はメシを食わずに朝早く宿を出て、嵐山もしくは大原を散策。 で、夜は永観堂のライトアップ (晩飯付き) に行く。 そんな予定だったんですが、曇り時々雨だか、曇り一時雨だか、曇り後雨だか、そんなパッとしない天気予報を見て、こりゃ、アカンな…と。 夜に雨の中を歩き回るというのもちょっとアレなので、永観堂は (昼飯付き) のプランに変更して、朝は宿でゆっくりメシを食ってから出発することにして、で、午前中の行き先として考えたのが 瑠璃光院 。 ここは時折、思い立ったようにしか一般公開しないし、公開したらしたで、拝観料が 2,000円という、超ぼったくり価格だったりするんですが、それならそれで、空いていて、いいんじゃね? そんな気がするし、地下鉄→京阪本線→叡山電鉄と、乗り換えが面倒ながら、電車だけで行けるのもいいし、何より 「るりこういん」 という名前の響きが、ちょっぴり “ロリっ娘” っぽくて、いい♪ そんな気がします。 で、ここは拝観開始が10時からなので、受付が始まる前に、しょぼいスポットならもう1件くらい挟めそうなんですが、ということで、 蓮花寺 も組み入れてみることにしました。 「れんげじ」 という名前の響きが、ちょっぴり “ゲジゲジ” っぽくて、いい♪ そんな気がするのが、ここを選んだポイントなんですが、 “額縁庭園” で人気があったりもするようです。 …とまあ、そんなプランを立ててみたものの、いざ、その日の朝になってみたら、午前中はわりと曇りベースで何とかなりそうな天気だったりしたので、こっち (↓) 方面まで足を延ばしてみることにしました。


< 京都大原三千院 (その1) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 京都、大原、三千院〜♪ 燦然と輝くデューク・エイセスのヒット曲 「女ひとり」 を口ずさみながらバスに揺られること、約25分。 これは国際会館駅前からの所要時間で、京都駅からだとバスで1時間くらい掛かったりするんですが、いやあ、遠いっすなー。 とても京都市内とは思えない、山奥の田舎ムードが楽しめるエリアだったりするんですが、バスを降りて、小川が流れるいい感じの道を歩いて、10分くらいで 三千院 に到着。 由来は ここ を参照。 右側の絵の下のほうの人達、もしくは仏達が、けっこうノリノリだったりするんですが、仏教音楽 「声明」 の聖地なんっすな。 “せいめい” ではなくて、 “しょうみょう” 。 あと、 「呂律が回らない」 の語源になった 「呂」 とか 「律」 といったものが、川となってその辺を流れていたりするんですが、詳しくは ここ 参照。 呂律 (ろれつ) なのに、 「呂川 (ろがわ) 」 と 「律川 (れつがわ)」 ではなくて、 「呂川 (りょせん) 」 と 「律川 (りつせん)」 なんっすな。 ジャーン♪ 台湾ラーメン、台湾ちまき、本場の味、美味シイヨ! それは 「味仙 (みせん)」 なんですが、 “京のあれこれ” のコーナーに 鐘馗さん もありますな。 めっちゃ胡散臭いんっすよね、コイツ。 さば家は道路を挟んだ向かい側に寺が建っているんですが、その屋根の鬼瓦が不幸をもたらすとされ、対抗して屋根にこの鐘馗さんの野郎を設置したんですが、まったく何の効果もなく、火事で焼けちゃいました。 後はえーと…、あまり為になるサイトではありませんな、この 「きょうと修学旅行ナビ」 というの。 女子中学生の入浴風景とか、そういうのを写真で説明して貰えないと、ぜんぜんピンと来なかったりするんですが、とまあそれはそうと、三千院。 境内案内図は ここ を参照。 まず最初に “御殿門” というのを潜って中に入って、金を払って建物の中に入って歩いていくと、やがて目の前に (写真・上から2番目) のような光景が広がります。  (写真・ちょうど真ん中) のような眺めかたも出来ます。 額縁庭園っぽくて、いいぢゃん♪ で、その先は渡り廊下みたいなところを渡ったりするんですが、屋根に積もった枯葉がいい感じにワビサビておりますなぁ。 大原の辺りは紅葉の見頃が街中より1週間くらい早い。 そんな情報を小耳に挟んで、今回の目的地のひとつとして、ここを選んだんですが、ちょっと手遅れだったような? 今年の京都の紅葉は、どこもハズレだという意見が多いようですが、で、 (写真・いちばん下) は、三千院と言えば、これ。 そういったアングルでありますな。 有清園と往生極楽院。 「往生しまっせ〜」 でお馴染みの…。 NHKの上方演芸会に大木こだま・ひびきが出演する際の前フリは、大抵これだったりするんですが、それにしても往生極楽院って、随分とストレートなネーミングでありますなぁ。 極楽往生院ではなく、順番を逆にしたところに美学が感じられるんですが、で、これ、中に阿弥陀三尊坐像があったりしたんですな。 今回、予約してある永観堂の昼飯とか、バスの時間とかが気になって、かなり駆け足の巡回になったので、中の仏まで気が回らなかったんですが、 これ っすか。 アンタ、ぼた餅、つまみ食いしたやろ? 口にアンコついてるやんっ! そんなふうに見えたりもするんですが、で、前に広がる有清園という庭は、杉や檜などの並木と、一面に広がる苔のモス感が、たまらんっ♪


< 京都大原三千院 (その2) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 そのモス感を接写したのが (写真・いちばん上) なんですが、コケティッシュな魅力がありますよね、苔と鼻紙。 で、苔庭のところどころに “わらべ地蔵” がいたりするんですが、一見すると、首だけ出して土に埋められているみたいで、ちょっぴり児童虐待なんですが、実際は腹ばいになって足をバタバタさせている状態なので、大丈夫。 で、この後、奥のほうやら、上のほうまで行ってみたんですが、けっこう広くて立派なものでありますな、流石に。 で、お目当ての紅葉はと言うと、やっぱりちょっと微妙だったりしたんですが、写真マジックのお陰で、何とか見れるようにはなりました。 で、グルッと1周して外に出たところで、カメラ爺ィの集団が一斉にレンズを向けているシーンに遭遇。 ん、何? …と思って、同じようにカメラを向けてみたところ、 (写真・いちばん下) の状況が確認されました。 その時はチラ見しただけなんですが、こうして改めてじっくり見てみると、お兄さん、めっちゃ男前でありますなぁ。 お姉さんもけっこう可愛い? 果たしてモザイク無しで衆目に晒していいのか、ちょっと疑問だったりするんですが、爺ィ達もバチバチと撮りまくっていたので、ま、いっかぁ。 そんな気がしないでもなくて、とまあそんなことで、GPSログによる散策の軌跡です。 実は初日もログを取っていたんですが、清水寺の湯豆腐屋で半端ない孤独感を味わった以降、ちゃんと記録されてなかったんですよね。 心がやさぐれて、 「無かったこと」 にしちゃったんですが、東福寺の辺りはちゃんとログが残っておりました。 少しは心の傷も癒えたので、せっかくなのでそれも公開しておこうかと。

  【東福寺〜清水寺の散策軌跡】 (←Click Here!!)

 駅から東福寺まで、往復で2キロくらいといったところでしょうか。 グラフの 2.0〜4.5kmくらいの間が、バスでの移動ということになろうかと思うんですが、そこから先、清水寺まで。 五条坂とか清水坂とか、祇園方面からだと二年坂とか三年坂とか、そんな坂を昇っていくことになるんですが、けっこうな坂であるな。 それがこの高低図で分かって頂けるのではなかろうかと。 で、続いてが三千院の移動軌跡です。

  【三千院の散策軌跡】 (←Click Here!!)

 バス亭から三千院の門のところまで、片道700mくらいっすかね? これまた、けっこうな坂であることが分かるんですが、中に入ってからもけっこう高低差があったりしますよね。 で、帰り、道を間違えて変な方向に行っちゃったりして、無駄に時間と体力を消耗してしまったんですが、バス亭からの往復+散策に要する時間は、サクッと回って1時間半弱といったところでしょうか? その他、大原にはまだいくつか寺社仏閣と類いがあったりするので、それらも回るなら半日コース。 いい感じのメシ屋なんかもあったりするし、朝イチで入って、昼飯を食って引き上げる。 そういうプランが無難なのではなかろうかと。 紅葉シーズンは京都行きのバスが道中、渋滞に巻き込まれて時間が読めなくなりそうなので、国際会館駅前行きのバスを利用するのが無難かも知れません。 ただ、こちらは本数が少ないのがネックだったして、ま、この時期は臨時バスが出たりするみたいなんですけど。 で、この後、瑠璃光院に行く時間は無くなってしまったんですが、蓮花寺だけなら、何とかなりそうな気がしないでもなくて、とまあそんなことで、行ってみました。


< 蓮花寺 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 大原からバスに乗って、 「上橋」 というところで降りれば、蓮花寺まではほんの数分の距離。 半端な場所にポツンと建っている小さな寺にしては、そこそこ人がいたりします。 詳細に関しては Wikipediaの記事 が無駄に詳しいので、それを見て貰うとして。 庫裏内に設けられた拝観受付から書院に入るには、まず阿弥陀三尊が安置された小部屋を通る。 え? そんなのありましたっけ? 予約してある永観堂の昼飯とか、バスの時間とかが気になって、超駆け足状態だったので、ここでも三尊を見逃した気がするんですが、三尊じゃなくて二宮尊徳、略して二尊なら、うちの前の小学校の隅っこで薪を背負っているので、それで妥協しようかと。 二尊は三尊の66.6%相当だから、まあまあ? 入口付近は (写真・いちばん上)(同・上から2番目) みたいになっていて、その先、建物の中に入って、そこから庭を眺める。 そういった順路になるんですが、そこそこ人がいるので、誰かが入り込まない額縁庭園の全体像を写真を撮るのは困難だったりします。 その後、スリッパを履いて庭の端っこを通って、本堂のほうに行けるようになっているんですが、ここから先は撮影禁止になっております。 蓮華寺形灯籠という、独特の形をした燈籠があったようですが、よく覚えていません。 本堂の中には立派な仏像があって、天井には、1978年の復元モノながら雲龍図みたいなのも描かれていたりして、なかなかのもの。 帰り際、板張りの通路のところでスリッパがズルっと滑ってコケそうになって、書院から庭を鑑賞中の人々から注目を浴びてしまいましたが、ま、総体的に見て、悪くはなかったな。 そのように評価していいのではなかろうかと。 で、ここから叡山電鉄の三宅八幡駅まで、歩いて10分くらいの距離だったりするんですが、バス亭があまりに目の前過ぎて便利なので、京都駅前のバスに乗ることにして、で、三条京阪前で下車。 途中で修学院離宮の近くを通ったりするので、それと絡めるのもいいかも知れませんな。 一乗寺あたりにも通好みな寺社仏閣&ラーメン屋がたくさんあったりするし、このエリアを集中的に攻めてみるのも悪くないかも? 今回、その辺を回る余裕はなくて、素通りしちゃったんですが、とまあそんなことで、地下鉄に乗り換えて蹴上で降りて、次の目的地の永観堂に向かいます。


< 南禅寺 (前編) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 昼飯の予約時間は12時30分から。 三千院も蓮花寺も、三尊を無視したのが幸いして、意外と余裕があったので、永観堂の手前の 南禅寺 も軽く散策してみることにしました。 まずは 三門 。 ここは去年の春にも来たんですが、え? 上に昇るだけで 500円? 高ぇぇぇ。 いらん! そう思って、無視しちゃったんですよね。 が、今回、三尊を2回見落とした上で、三門もパスするとなると、(3×2)+3で、9損くらいしちゃう計算になるので、とりあえず押さえておこうかと。 石川五右衛門がここから下界を眺めて 「絶景かな、絶景かな」 と言ったらしいし、階段がめっちゃ急で、前を行く女子中高生のパンツが図らずも目に飛び込んでくることもあるみたいだし、ま、別にそんなの、ぜんぜんまったく興味はなかったりするんですが、あ、でも、昼メシ前の時間調整にはちょうど手頃だったりするし、ということで、500円払って、昇ってみました。 探してみたら動画があったんですが、 これ 。 ぜんぜんパンツが映ってないじゃん! 駄目じゃん! 今回、ナマでもそういったものが目に飛び込んでくることは無かったんですが、ま、そんなの最初からぜんぜん期待していなかったので、悔しくもなければ、残念でもないんですけどね。 ということで、三門は終了。 その横の車が止まっている辺りの紅葉が、今回みた中ではマックスに真っ赤だったんですが、 (写真・いちばん下) 参照。 いじり過ぎて、めっちゃパチモン臭くなっちゃったのはご愛敬なんですが、で、もって、永観堂に到着〜。 まずは昼飯タイムなんですが、 これ っすな。 天気の都合で、この夕食付きのプランを昼飯バージョンに変更したんですが、お値段が少し安くなったので、料理のほうはこの写真よりも更にしょぼくなるのではなかろうかと。 JTBレジャーチケットという奴で申し込んだんですが、例の清水寺の近くの湯豆腐屋では話がぜんぜん通ってなくてアレだったので、嫌な予感が…。 で、飯の開始時間には、まだちょっと早かったんですが、恐る恐る受付場所に行ってみると…。 大丈夫でした。 けっこう、普通に歓迎してくれました。 お食事場所は永観堂会館というところで、あまり新しくはないし、小綺麗でもないし、でもまあ、小汚くもないからぜんぜん問題なくて、僕のほかにも、そこそこ人がいてくれますなぁ。 これなら一人でもぜんぜん寂しく…ないことはないんですが、普通に許容出来る範囲でありました。 店内の雰囲気と料理の中身は、こんな感じ。

店内の雰囲気♪ メシ内容♪ 湯豆腐♪


 ウーロン茶はオプションです。 これで 3,900円。 秋の寺宝展の料金 1,000円が含まれているとはいえ、ちょっと高くね? そんな気がしないでもないんですが、このプランに申し込めば、一般人のように入場券を買う長い行列に並ばなくても済むので、優先入場券込みだと考えれば、ぜんぜん許容範囲。 もっとも、この日はそんなに混んで無くて、優先されなくても普通にすぐ入れる状況だったので、二条城の金魚のやつの日時指定優先入場券と同じく、まったく何の意味もなかったんですけど。 外に出ると、ぽつぽつと雨が降り出していて、いよいよもって天気のほうも怪しくなってきちゃいましたが、ということで、次回に続く♪

 とまあそんなことで、今日はジェレミー・スタイグです。 ビル・エバンスと共演した 『ホワッツ・ニュー』 という、この1枚のアルバムだけで日本のファンに認識されている、そんなジャズ・フルート界の一発屋でありますな。  当然、このアルバムは紹介済みだとばかり思い込んでいて、他にネタもないので、新たに1枚購入することにしたんですが、 ( jazz giant artist index ) に、この人の名前はなくて、あー、余計な出費を強いられてしまったな…と。 でもまあ、あれを取り上げるとなると、ジャケ絵で2人分の顔を書かなければならなくなって、それはそれで面倒な話だったりするんですが、とまあそんなことで、 『フルート・フィーバー』 。 この下手くそな絵のジャケットは、書くのが簡単そうに見えて、意外とクソ面倒だったりする気がして、今からちょっと気が重いんですが、で、あちらのピアノがエバンスなのに対して、こちらはデニー・ザイトリンだったりしております。 より一層、マニア寄りに振れている予感なんですが、ベースがベン・タッカー、ドラムスがベン・ライリーで、ベン×2っすな。ベンべン♪ シンプルなワンホーン・カルテットで、選曲もお馴染みのものばかりなので、取っつきやすい作品に仕上がっているんじゃないっすかね?

 そんな思いは冒頭の 「オレオ」 で、いきなり打ち砕かれるんですが、けっこう好きなんですけどね、オレオ。 ビターなチョコクッキーと、クリームとのバランスが絶妙なんですが、一方、ロリンズが書いた曲のほうはというと、さほど好きではなかったりします。 あくまで、アドリブの出発点といった感じで、じっくりメロディを聞かせるタイプでは無いっすよね。 ま、調子がいいのは確かなんですが、 ここ にタイトルの由来らしきものが書かれておりますな。 “Oleo” はバターの代用品 “oleomargarine” から来たものらしい。 これ、本物のバターやでぇ。 そう言って、クソ安い代用品を高値で売り付ける。 そんな 「オレオ詐欺」 が蔓延していた時代背景があるのではないかと思われますが、 これ とかも、めっちゃオレオ詐欺っすよね。 で、ジェレ・スタは、このパチモンのバターを超アップテンポで料理しているんですが、ベースだけをバックにAABA形式の “Aの部” を吹いて、 “Bの部” はピアノとドラムスのコンビで。 その後、再びAチームに戻って、アドリブに突入。 途中からBチームも加わって、壮絶なインタープレイが繰り広げられる。 そういった構成だったりするんですが、そのフルートスタイルはこの上無く斬新、前衛にして、超アグレッシブ。 特に後半はローランド・カークみたいな、唸り声を交えたノイジーなアレだったりして、演っている本人が真剣そのものなだけに、聞いているほうとしては何だか、こっ恥ずかしくなってしまいます。 例の 『ホワッツ・ニュー』 でも似たような感じだったんですが、そう言えば、こういうオッサンだったんっすよね。 思い出しました。 で、あれ、やっぱりありました。 これ 。 エバンス名義だったんですな。 ダブって書かなくて正解でしたが、昔書いた自分を原稿を読み返すのって、こっ恥ずかしいものがありますなぁ。 こんなものを読まされる他人のほうが、もっと居たたまれない気分になるに違いありませんが、で、終盤に出てくるデニー・ザイトリンのピアノも、只者ではなかったりします。 フリーとまではいきませんが、フツーではなくて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、凄まじかったっす。

 で、次。  「ラバーマン」 。 一転して、しみじみとした叙情派リリカルなバラードが繰り広げられるんですが、この落差というか、ギャップが凄いっすよね、この人。 ピアノのザイトリンも同様なんですが、まずこの人が真っ当至極なソロを披露して、続いてジェレ・スタが極めてオーソドックスなスタイルでフルートを吹いて、締めはベン・タツ君のピチカート・ソロ。 決して弁が立つほうではないんですが、寡黙ながらも説得力のあるプレイを聞かせてくれます。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 最後、誰かが話す声が入っていたりしますが、英語なのでよく分かりません。 で、次。  「ホワット・イズ・ディス・シング・コールド・ラブ」 。 僕の持っているCDでは 「恋とは何でしょう」 という邦題になっておりますが、一般的には 「恋とはどんなものかしら」 。 そんな、おかま口調のタイトルのほうがメジャーなかろうかと。 そういうドラマをやっていたみたいですが、こちらのほうはコール・ポーターの楽曲でありまして、スタイグはそれを速いテンポでやっちゃってくれちゃってマースチャツネ。 オリエンタルの これ っすよね。 あ、このマーク、あかんヤツや。 そんなふうに思っていたんですが、今での普通に使っているんですな。 黒人差別をなくす会、どうした? で、演奏のほうはというと、1曲目ほどでは無いんですが、適度に唸って、前衛で、斬新で、アグレッシブで、ザイトリンともども、わりと適度な落としどころを見つけたって感じ? 魚の煮付けには落とし蓋が必須って感じ? いや、見つけた → 煮付けた、落としどころ → 落とし蓋。 何となくそんな絵面が浮かんだので、とりあえず書いてみたんですが、そうして説明しないと分からないようなことは、最初から何も書かないほうがマシなような気もして、とまあそんなこんなで、テーマに戻って、おしまい。

 ということで、次。  「ソー・ホワット」 。 これと 「ゴム男」 とが 『ホワッツ・ニュー』 と被っているので、聞き比べてみるのも一興かと思うんですが、そんなクソ面倒なこと、僕は嫌っすけどね。 で、あちらがどうだったのか、まったく記憶にはありませんが、こちらのほうはあれです。 出だしが超スローで、ん? バラード? …とか思っていると、急にテンポが速くなって、フルートとピアノのコール・アンド・レスポンスでテーマが繰り広げられるという、そういうアレだったりするんですが、で、その後はけっこう前衛で、斬新で、アグレッシブなフルート・ソロが展開されます。 中盤以降はお得意の唸り声を交えたりして、ローランド・カーク感、バリバリ全開。 「ワークソング」 の一節を引用したりもして、もうノリノリでありますな、スタイグ君。 続くザイトリン君はソロの冒頭にコルトレーンの 「インプレションズ」 を持ってくるという小技を披露し、以下、知的でクールでメロディアスなアドリブをカマしてくれるんですが、いやあ、素晴らしいっす。 最後はベン・タツ君が無伴奏のピチカートで渋く締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 10分を超える長い演奏なんですが、最後まで緊張感のあるテンションが保たれていて、いやあ、よかったっす。

 で、次。 セロニアス・モンクの 「ウェル・ユー・ニードント」 。 変な曲っす。 ジェレ・スタのフルートは、ちょっぴりドルフィーっぽさが感じられたりもするんですが、途中からはやっぱりカークっすな。 続くザイトリンのソロも、まずます。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 うーん、まずまず。 目に見えて真面目にレビューする気力が薄れてきちゃっておりますが、残すところあと2曲です。 頑張りましょう。 ということで、次。  「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」 。 日本名 「柳よ泣いておくれ」 。 柳と泣きの組み合わせとしては、柳ジョージ&レイニーウッドの 「雨に泣いてる」 というのがあるんですが、個人的にはそっちのほうが断然好きです。 Weeping In The Rain、おぉ〜♪ あと、沢木柳の 「しのび泣き」 というのもあるようですが、聞いたことの無い名前でありますな、沢木柳。 出町柳なら京阪本線と叡山電鉄の駅にあるんですけど。 で、この、ウィロー・ウィープなんたら、個人的にはあまり好きではない曲だったりするんですが、フルートとの相性は悪くなくて、そこそこしみじみとしたバラード・プレイが繰り広げられていて、うーん、まずます。 ということで、ラスト。  「ブルー・セブン」 は冒頭の 「オレオ」 と同じく、ソニー・ロリンズのオリジナル。 あまりにも有名な 『サキソフォン・コロッサス』 に入っているナンバーで、あのアルバムの中で唯一、まだジャズの素人だった僕が好きになれなかったのがコレなんですが、何かちょっと小難しいんっすよね。 陰気臭いし。 で、ここでのスタイグは原曲の持つ陰鬱なムードをよく再現していて、なかなか。 地を這うベン・タッカーのベースも、めっちゃ効いてますよね。 で、ここでのスタイグは、ちょっぴりドルフィーっぽさが感じられたりもするんですが、出来としては、まずまず。 ザイトリンのピアノもそこそこだったりして、とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】 1曲目のインパクトで圧倒されて、2曲目のバラードで癒やされて、3〜4曲目あたりで納得して、後は惰性で。 そんな1枚でありました。 やや難解過ぎると思われるかも知れませんが、他にもっと酷いのもあったりするので、それに比べればぜんぜんマシ。 この人、事故って顔半分の筋肉が麻痺して、唇の半分が動かなくなっちゃったのを、特殊なマウスピースで克服したんだそうですが、そういう話を聞くと多少の無茶は許せてしまいますよね。 目薬ドバドバで失明しちゃったローランド・カークにも通じるものがありますが、鬼才と呼ばれる彼に対抗出来るのは、鐘馗さんしかいないかも? そんな思いに駆られたりするんですが、デニー・ザイトリンもバリバリ頑張っているので、こういう系統が大丈夫な人には、オススメ☆


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