JAZZ GUNN (ATLANTIC)

SHELLY MANNE (1967/6/19,20)

JAZZ GUNN


【パーソネル】

CONTE CANDOLI (tp,flh) FRANK STROZIER (as,fl)
MIKE WOFFORD (p) MONTE BUDWIG (b) SHELLY MANNE (ds)
【収録曲】

(01-04) A BLUISH BAG / SILVER TEARS / SWEET / THEME FOR SAM
(05-07) A QUIET HAPPENING / NIGHT OWL / PETER GUNN
【解説】 ( 2016年04月10日更新 / 連載 1,205回 )

  “春の東北@桜旅” が近付いて来ました。 前回 も書いたんですが、1日目の宿は磐梯熱海の 熱海荘 。 何だか、伊豆半島の付け根の熱海にありそうな荘なんですが、そもそも磐梯熱海というのはその昔、奥州合戦の後にこの地の領主になった源頼朝の家臣の伊東祐長クンが、故郷の伊豆の地名をとって 「熱海」 と名付けたんだそうで。 伊東クンなのに、熱海。 ま、 「磐梯伊東」 では今ひとつ語呂がよくないので、 「熱海」 をチョイスしたのは賢明な判断であったな。 そのように評価していいのではないかと思うんですが、で、 この熱海荘のお部屋 は、数寄屋造りの純京間サイズなんだそうです。 いいっすよね、数寄屋。 「ワタミ」 と 「すき家」 はブラック企業として名高いんですが、熱海の数寄屋なら、ぜんぜん大丈夫。 そもそも数寄屋造りというのがどういうものなのか、今ひとつよく分からなかったりするんですが、ということで、ググってみました。 和風建築の歴史 。 「寝殿造り」 から、絢襴豪華な 「書院造り」 へと発展し、その反動から、清閑かつ質素で素朴な草庵風の建物の 「数奇屋造り」 が生まれた。 そういった流れであるようですが、質素で素朴とか、アカンやんっ! 中国人なら間違いなく、そう叫ぶに違いありませんが、我々日本人は “ワビサビ” を好みますからね。 数寄屋造りが好きや。 そういう日本人は少なくないと思います。 個人的にも、少なくとも 「田作り」 よりはいいよな。 そんな気がするんですが、どうも好きになれないっすよね、アレ。 不味いし、苦いしで、どうも苦手なんですが、ガムテとか、ゴム手なんかも、苦手だったりします。 ゴム手袋の略 = ゴム手はゴム臭いし、ガムテープの略 = ガムテはスネ毛に貼り付くと剥がすのが痛いから苦手なんですが、若手というのも話が合わないから苦手。 で、何の話でしたか。 純京間サイズ? 確か、京間と江戸間というのがあるんっすよね。 個人的には江戸間よりも、ネギマのほうが好きだったりするんですが、最近では団地間というのもあったりしますよね。 個人的には団地間よりも、団地妻のほうがいいな。 そんな気はするんですが、詳しくは 畳アラカルト 参照。 それ以外にもいろいろなサイズがあるんですな。 で、熱海荘のお部屋の場合、純京間サイズなので、かなりゆったりしているな。 そのように判断していいのではないかと思うんですが、191cm×95.5cmっすか。 1畳当たり 1.82m2 という計算になります。 6畳の部屋だと10.92m2で、ビジネスホテルの最安値のシングルが大体これくらいの面積だったりします。 アパホテルだと 9m2くらいだったりとか。  “☆アパ社長カレー (2個) 付お土産プラン☆” とかじゃないと、やってられないっすなぁ。。。

 で、僕が今回押さえた “清流の間” はというと、えーと 、これ っすか。 和室11畳。 何か半端っすな。 タタミパズル の問題にもない無理難題のような気がするんですが、どんな畳の敷き方になっているのか、今から楽しみ♪ 真四角ではなくて、10畳から1枚分、どこかにはみ出しているだけ。 そういうオチであるような気もするんですが、で、それ以外に 「取次3畳」 というのもあるようです。 旅館の部屋にはよく 「踏込」 というスペースがあって、そこの部分に仲居さんがよく踏み込んで来たりするんですが、 「取次」 というのは初めて目にするような? 何をする部屋なんすかね?  “取次の銀次” とかが踏み込んで来るとか? で、他には 「お化粧部屋2畳」 なんてもあるようです。 よく、化粧なんか全然する気はないんだけど、ウンコをする気は満々。 そういった用途の部屋のことを 「化粧室」 と言ったりするんですが、それとは別っすよね? そっちのほうは 「トイレ」 となっているほうで用を足せそうですもんね。 となると、お化粧部屋のほうは純粋にお化粧をする部屋だと判断してよさそうなんですが、ここまでを合計すると 11+3+2=16畳となって、29.12m2ということになります。 広さ 58.48m2と書いてあるので、この主要な3部屋で、ちょうど半分くらい。 残りが縁側、トイレ、パウダースペースということになろうかと思うんですが、便所の画像を含めた宿泊レポが ここ にありました。 おお、小便器があるやんっ♪ いつも大便器で小便をする度に、これって何か違うんじゃね? そんな疑念に囚われていたので、これは有り難いっすなぁ。 で、この縁側、めっちゃ楽しみ♪ 小便器にゆっくり座って、紙コップで 「キレートレモン」 を飲みたい。 そんなふうには全然思わなかったりするんですが、この縁側にゆっくり座って、清流を眺めながら清涼飲料水とか飲んだりしたら、清原のような清い心になれる事、間違いなし。 前は川だし、山の下だし、もしかしたら前川清と山下清のハイブリッドみたいなキヨシになっちゃうかも知れませんが、とまあそんなこんなで、1泊目はここで、ぜんぜん問題ないな…と。

 で、ちょっと問題なのが、2泊目。 実は ここ を押さえてあったんっすよね。 宮城県の鎌先温泉というところ。 発見は正長元年 (1428年) 、この地の里人が草刈りの最中、鎌の先で温泉を掘り当てたと伝えられている。 温泉の深さ、浅っ! ま、世の中には自噴している温泉もあったりするので、鎌の先で掘り当てたとしても、さほど不思議ではないんですが、この草刈りをしていた里人というのが、後の草刈正雄であると伝えられております。 顔が濃いので、濃い温泉を掘り当てそうっすよね、正雄くん。 で、この宿、この 個室料亭 に激しく惹かれてしまいました。 黒光する回廊をほのかな灯りがゆったりと映し出し、BGMは穏やかなジャズの調べ。 いいぢゃん♪ クチコミを見ても、めっちゃ評判がよかったりするし、お値段のほうもスイートではない、普通の苦い部屋であれば、わりとお値打ち。 このところ、ますます贅沢癖が酷くなってきたサバくん、税込4万円以内なら、あまり抵抗がなくなって来ちゃったんっすよね。 モダン和洋室 28,230円とか、超お値打ちじゃん♪ 4,320円の追加で、スイートと同等の料理に変更することも出来ますが? そう聞かれて、じゃ、それでお願いしまっす。 そう、軽く返事出来ちゃうくらいに余裕。 セミスイート以上の部屋だと 波動スピーカー なるものが装備されるようで、こいつに激し心を揺さぶられてしまったんですが、それだと税込46,590円とかになってしまって、さすがにそれは、ちょっと…。 スニーカーに 35,000円、旅館の宿のスピーカーに 18,360円、墨イカに 498円。 この中で僕が出せるのは、イカくらいでありますなぁ。 …とまあ、かなりソソられる宿ではあったんですが、難点が何点か。 まずはアクセスの悪さ。 近くの駅から送迎してくれるみたいなんですが、 「迎」 の部が白石蔵王駅15:10発、白石駅15:20発で、「送」 の部は宿11:00発の、各1便のみ。 ゆっくりしていってね!!! そういう趣旨なんでしょうが、なるだけ観光に時間を割きたい派の僕としては、出来れば9時までにはチェックアウトしたいところなんっすよね。 じゃ、公共交通機関とかを利用して、自力で何とかすればいいぢゃん。 そう思われるかも知れませんが、確かにバスもあるんですけどね。 これ 。 白石市民バス・きゃっするくん♪ が、これ、白石市民の中高生が通学に使ったりとか、白石市民の爺さん婆さんが病院に行くのに使ったりとか、そういった用途しか想定していないようで、運行は平日のみで、土日はお休み。 白石市民以外の利用者の都合を、何にも考えてねぇ…。

 仕方がないので、日曜日に泊まって、月曜日に帰る。 そういうプランを組んでみた次第でありますが、ここに来て、他の問題も沸き上がって来ました。 この鎌先温泉というところは温泉宿が数軒あるだけで、観光地的なモノは皆無といってよさそうな状況。 が、調べてみたところわりと近くに、割とよさ気なところがいくつかあるのを発見しました。 宮城県の桜名所。 このうちの益岡公園、白石川堤一目千本桜、船岡城址公園の3箇所は、鎌先温泉から仙台に移動する途中だったりするので、仙台市内の桜名所や牛タンなんかとも、うまく絡めることが出来そうです。 いいぢゃん♪ …とか思っていたら、宮城県の桜、例年より1週間くらい早く開花してしまって、これを書いている現在、絶賛満開で、超見頃。 やったね♪ こりゃ、来週の今頃は、完璧に手遅れでありましょうなぁ。。。 ということで、予定を変更することにしました。 今度の終末まで東名阪のリフレッシュ工事をやっていて、会社へ行くのにクソ渋滞してウザいので、月曜日の有給を金曜日に変更。 で、その日は、ちょうど桜が見頃を迎えるものと思われる山形で宿を取ることにしました。 ま、それはそれでいいとして、ここでひとつ問題になってくるのは、前回もチラッと書いた、土曜日の昼に押さえてしまった郡山の焼肉屋。 ネットで11時半からの予約を入れちゃったんですが、山形から郡山に移動して、焼肉を食って、磐梯熱海に移動。 それだけで、ほぼ1日が潰れちゃうんっすよね。 せいぜい、桜の花が散った後の郡山の公園を1時間くらい散策する。 そういったプランを組み込むことが出来るくらいだったりして、うーん…。 焼肉屋のキャンセルはネットでは駄目で、直接お店に電話してね♪ そういうアレだったりして、極度のコミュ障のサバ君としては、何とも気が重い状況だったりします。 が、サバ君、頑張りました。 勇気を振り絞って、お断りの電話を入れてみることにしたんですが、その結果、焼肉屋のお姉さんは快く受け入れてくれて、いやあ、よかったっす。 こんなことなら、さっさとキャンセルしちゃえばよかったっす。 これで晴れて自由の身になれたんですが、で、後は1日目の宿をどうするかなんですが、金曜日なのでお一人様でもわりと選択肢は多くて、けっこうどこでも、選びたい放題。 新幹線の駅から近い 「かみのやま温泉」 と 「赤湯温泉」 で、どちらにしようか悩んだんですが、 一休.com で こんなところ を見つけてしまいました。 さ…さくらゆ、やま…読めん。 全7室、露天風呂付客室って、もの凄く惹かれるものがあるんですが、でも、お高いんでしょ? 恐る恐るお値段をチェックしたところ、 “米沢牛しゃぶしゃぶ会席” のプランが消費税込 42,120円。 うん、やっぱりお高いっすな。 あ、でも、 “月替わり会席” のスタンダードプランなら、税込 39,960円。 お高いんですが、何とかギリギリで許容範囲内。 入湯税を150円取られたりしたら、僕の心の限界上限の4万円を超過してしまうんですが、あ、でも、一休のポイントが 281ptくらいあるし…。 えーい、いったれ〜! “米沢牛しゃぶしゃぶ” は諦めなければなりませんが、あ、でも、 “月替わり会席” にも “国産黒毛和牛の炭火焼” があるような? 米沢牛ではなくて、ただのその辺の黒い毛の牛なのかも知れませんが、国産和牛ならそれで十分。 しゃぶしゃぶよりも炭火焼のほうが好きだし、いやあ、これは楽しみでありますなぁ。

 で、お部屋のほうはというと、【主室9畳】掘りごたつ式座卓 【寝室9畳】ご到着前にお布団をご用意 【リビングルーム6畳】テレビ/DVD・CDプレーヤー。 いいぢゃん♪ 波動スピーカーと小便器は無さそうなんっすが、こちらには熱海荘には無い “専用露天風呂” があるぜ!  “取次” は無いけど “渡り廊下” があるぜ! 小便器は無いけど、夕食も朝食も部屋食だし、ちなみに 「山茱萸」 は 「さんしゅゆ」 と読むんですな。 ”茱萸”はグミのことで、秋にはグミのような実がなる。赤く熟し、食べられるらしい。 へぇ。 食べられるらしい…というだけで、美味しいかどうかは分からないし、そもそも食べられると確認されたワケでもなさそうなんですが、ちなみに場所は悩んだ2箇所のうちの 「赤湯温泉」 のほうです。 「赤湯」 の由来は、今から900年前、八幡太郎義家の弟義綱が、渾々と湧き出す湯を発見し、戦いで傷ついた家来たちを湯に入れると、たちまち傷が治り、傷から出た血で温泉は深紅に染まったと言われることから。 え〜、たちまち血が止まるんじゃなくて、温泉に流れ出すんっすか? それって、逆効果なんじゃ? もしかして有効成分にヒルジンとかが入っているんっすかね? 磐梯熱海温泉は萩姫の不治の病が治ったそうですが、赤湯温泉のほうはエボラ出血熱の患者を安らかに安楽死させる。 そんな効能がありそうですなぁ。。。 出発前に切れ痔にならないよう、十分に注意しなければなりませんが、で、この温泉地の近くには こんなところ が。 ちょうど桜祭りとライトアップが始まるタイミングでありますな。 で、これを書いている 4月9日現在、さくらちゃんによる非公認の開花宣言、キター♪ これは来週の今頃、ちょうど見頃を迎えそうでありますな。 鎌先温泉を捨てて、大正解っ♪ キャンセルしちゃった宿にはちょっと申し訳なんですが、恨むなら1週間も早く咲いちゃった、あっちのほうの桜ちゃんを恨んで下さいね。 とまあそんなこんなで、来週は仕事のことも原稿のこともきっぱりと忘れて、超高級宿・2連チャンで贅沢三昧する所存なので、そこんとこ、ヨロシク! 清らかな心の清 (キヨシ) になって戻ってくるので、んじゃ、また再来週〜♪

 …と、その前に後半を片付けておかねばなりませんな。 このところ、ドラマーがリーダーの不毛な作品が多くなっておりますが、今日は大丈夫っす。 シェリー・マン 『ジャズ・ガン』 。 大村幸則くん曰く、シェリー・マンの 『ピーター・ガン』 へのこだわりかたには尋常ならぬものを感じるそうですが、そもそもそれは、どういうガンなのかというと、もともとブレイク・エドワーズ監督・脚本のもと、クレイグ・スティーブンスがクールでジャズ好きな主人公ピーター・ガンを演じたテレビ番組で、うんぬん。 そういう私立探偵だか刑事だかのドラマがあったようですな。 で、主人公がジャズ好きという設定なので、音楽担当のヘンリー・マンシーニによる素晴らしいスコアが全編をクールな雰囲気で包み込んでおり、うんぬん。 で、シェリー・マン君はヘン・マン名義のアルバムに参加したのがきっかけとなり、自己のリーダー作でもピタ・ガン物を何度も取り上げるようになって、うんぬん。 で、1867年、このドラマが映画されたのをきっかけに新曲が6曲ほど作られて、旧曲と合わせて全13曲の究極のサントラ盤が制作されて、その中から7曲を選んで、シェリー・マンが “アンド・ヒズ・メン” の連中と作ったのが、この 『ジャズ・ガン』 である…と。 日本語ライナーを要約して書き写すだけで、何だか疲れちゃいましたが、ちなみに “アンド・ヒズ・メン” の内訳はというと、フロントがコンテ・カンドリフランク・ストロージャーという、白人の新進気鋭な連中で、ピアノがマイク・ウォフォード、ベースがモンティ・バドウィグ。 後の2人はよく知らない上に、めっちゃ覚えにくい名前の奴らでありますな。 リーダーのシェリー・マンを見習え! そう思わずにはいられませんが、とまあそんなことで、では演奏を聞いてみることにしましょう。

 1曲目、 「ア・ブルーイッシュ・バッグ」 。 青くて異臭を放つ鞄をテーマにしたものではないかと思われますが、映画では謎の人物を追う場面で使用された8ビート・ナンバーだったそうです。 ちなみにこの 『Gunn…Number One!』 という映画は、日本でも 『銃口』 というタイトルで公開されたそうですが、随分とマトモな邦題が付けられたんですな。 ちょっと油断すると 『ラブ・ミー・トゥナイト』 が、 『今晩は愛して頂戴ナ』 になっちゃうような世界ですからね。 ま、言ってることは微塵も間違ってはいないんですが、で、ここでのマン君は4ビートで演奏している模様です。 ジャズ・ロックみたいなのってダサくて古臭くなるだけなので、この判断は賢明であると言えるのではなかろうかと。 で、実際のところはと言うと、ピアノ、弓弾きベース、ドラムスの3者によるイントロが実にいい感じ。 で、その後すぐ、トランペットとアルトの絡みでテーマが演奏されるんですが、何と言うか、これまた実にいい感じだったりしております。 ハード・バップやファンキーとは、またちょっと違った感じなんですが、かと言ってアレンジ偏重の西海岸系ではぜんぜん無くて、続いて出てくるコンデ・カンドリのソロは、かなりスリリングな仕上がり。 いいっすよね、カンドリ。 雄鶏(おんどり)、雌鶏(めんどり)と並ぶ “世界3大・トリ” の一人なんですが、白人らしからぬゴリゴリとした吹きっぷりで、神取忍も納得の忍びっぷり。 いや、別に忍んではいないんですが、で、続いてはフランク・ストロージャーのソロっすな。 寺島ヤックンが “白面の貴公子” と名付けたらしい。 そんな不確実な情報が ここ に出てくるんですが、ソースがソースだけに、信憑性は干瓢 (かんぴょう) レベル。 パーカー直系なんだけど、ちょっとだけ無駄に前衛風。 そういうスタイルの持ち主なので、日本での人気は今ひとつだったりするんですが、ここでもその持ち味が遺憾なく発揮されていて、ま、いいんじゃないっすかぁ? で、その後、ピアノとドラムスとベースの人達がフィーチャーされることになるんですが、三位一体となったスリリングなインタープレイは、まさしく火曜サスペンス劇場。 何とも言えず、カッコいいっす。 ま、個人的には 「科捜研の女」 のほうをお薦めしたいと思うんですが、春スペシャルには桑名の六華苑が怪しい洋館になって登場するそうですぜ。  これ っすな。1秒目くらいに出て来て、すぐに消えるヤツ。 放送は 4月17日午後9時から。 お楽しみに! …とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 こりゃ、久々の当たりやな。 そう予感させる、素晴らしい立ち上がりなのでありました。

 で、次。  「シルバー・ティアーズ」 。 「銀の涙」 っすか。 サントラ盤ではビクター・フェルドマンのヴァイブをフィーチャーしたスロー・バラードだったそうですが、ここではその雰囲気を保持しつつもストロージャーのアルトを前面に出し、やや躍動感を感じさせる演奏に生まれ変わっている。 バドウィグのソロも説得力十分だ。 そいういったアレだったりするようです。 出だしはクールな都会の夜を思わせるミステリアスな仕上がりで、そこから次第に感情が高まっていく勘定奉行。 そういった展開だったりして、なかなか。 カンドリ君のミュートも効果的ですな。 ソロでは前述の通り、ストロージャーのアルトがフィーチャーされるんですが、わりと素直な吹きっぷりなので、保守派層にもウケがいいのではなかろうかと。 で、その後、説得力十分なバドウィグのソロが登場。 地味なベースのピチカートなんっすが、そこに絡んで来るウィフォードのピアノがいい感じだったりして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 2曲目もイケるやん! そう評価していいのではなかろうかと。 で、次。 映画では様々な場面で使われていた 「スウィート」 は、ドラムによるイントロから面白い編曲を用いたテーマに導かれ、カンドリ、ウォフォード、ストロージャー、バドウィグのソロとなるが、いずれも小気味よくスイングしていて実に心地よい。 そういったアレが展開されております。 リズム隊とフロント陣の駆け引きみたいな掛け合いみたいな、大村クン言うところの 「面白い編曲」 によってテーマが展開されて、で、ソロの順序は幸則クンの言う通り。 各自、ま、無難にこなしているな。 そういった感じなんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。  「テーマ・フォー・サム」 。 ブルージーなピアノのイントロで幕を開け、その後、フルートとミュート・トランペットの絡みでテーマが演奏されます。 出だしはスローなんですが、途中でスインギー路線に転じて、すぐにスローに戻る。 そういう展開だったりして、何と言うか、カントリーな空気に包まれておりますな。 サムくん、田舎モンなんでしょうな、多分。 …と、ここまで、日本語ライナーに頼らずに自分の力で感想を述べてみたんですが、この時点でチラッと盗み見したところ、ガンのお相手サマンサという女性を表現した曲。 そんなふうに書かれておりました。 サムくんじゃなくて、サマンサだったんっすな。 サマンサ〜、サマンサ〜、あなーた、サマンサ、サマンサ〜♪ 石川秀美 「恋はサマー・フィーリング」 の節で歌ってネ♪ 動画もありますぜ。 ほれ 。 バックダンサーのレオタード女児たん、ハァハァ♪ …ということで、次です。  「ア・クワイエット・ハプニング」 。 映画の冒頭部分で使われた曲との事ですが、言われてみれば確かに、微妙に冒頭感があるような? テーマはワルツ・タイムだが、ソロ・パートは4ビートとなり、スピード感に満ちた各人のソロがフィーチャーされる。 そういうアレだったりしております。 大村クンも真面目に解説するのが面倒になってきつつあるようですが、で、次。 宵っぱりの主人公ガンを描写した 「ナイト・オウル」 は、うんぬん。 あ、ガンって、主人公の名前だったんっすか。 てっきり、ガン = 拳銃だとばかり思い込んでいました。 ジャケットも “射撃の的” だし。 言われてみれば “JAZZ GUNN” だから、拳銃の “GUN” とは違うような気がしていたんですが、ま、 「がんもどき」 のようなものか。 そう判断して、自分で納得していたんっすよね。 で、映画ではアルトをフィーチャーしたバラード演奏だったが、マンはこれをミディアム・テンポのワルツで処理している。 ウォフォードの充実したソロを聴けば、その実力が過小評価されてきたことを実感させられるに違いない。 そういうアレだったりするようですが、確かにこのピアニストはなかなかの実力の持ち主だったりしますよね。 竜巻や、魚 (うお) 歩道に、散乱す。 そんな俳句を頭に浮かべれば、ウォフォードという名前を覚えるのも、不可能ではないかも? で、アルトを吹かせるとちょっとウザいストロージャーは、ここではフルート担当だったりして、お陰で全般的に都会的でお洒落な仕上がりになっていたりします。 一方、カンドリ君のほうはフリューゲルホーンを吹いているようで、アート・ファーマーみたいに知的で、素敵♪

 ということで、ラストっす。 ドラマの主題歌、 「ピーター・ガン」 。 マン君は意表をついた編曲を施し、スロー・テンポで演奏している。 そういうアレだったりするようですが、元がどういう仕上がりだったのかよく知らないので、意表を突かれて、うひょー♪ そういった驚きはありません。 都会の夜の気怠さ感が半端無く、場末感もそこそこあったりして、とまあそんなことで、今日のところは、以上っす。

【総合評価】 面子的には白人の集合体のようですが、編曲偏重のウエストコースト・ジャズとはほど遠く、普通に高いレベルでソロを楽しめる、そういった仕上がりになっておりました。 とは言え、知的なセンスが随所に感じられるあたりは、さすがはシェリ・マンだと思うし、カンドリ君は極めて良好、ストロージャーも、ま、適度に頑張っておられるな…と。 で、ピアノの魚歩道 (うおほどう) が思わぬ拾いものだったし、で、楽曲も演奏も、1〜2曲目は完璧。 途中、やや中弛みする感もありますが、 「ナイト・オウル」 で持ち直し、ただ、最後はちょっと地味。 ま、全般的に見れば83点くらいは付けてあげてもよくて、けっこうお薦め♪


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