BLOWIN' THE BLUES AWAY (BLUE NOTE)

HORACE SILVER (1959/8/10)

THE BLUES AWAY


【パーソネル】

BLUE MITCHELL (tp) <#1,3-6,8> JUNIOR COOK (ts) <#1,3-6,8>
HORACE SILVER (p) GENE TAYLOR (b) LOUIS HAYES (ds)
【収録曲】

(01-03) BLOWIN' THE BLUES AWAY / THE ST. VITUS DANCE / BREAK CITY
(04-06) PEACE / SISTER SADIE / THE BAGHDAD BLUES
(07-08) MELANCHOLY MOOD / HOW DID IT HAPPEN
【解説】 ( 2018年03月04日更新 / 連載 1,293回 )

 “ひな祭り” でしたなぁ。 今まで生きてきて、ただの一度も祝ったことがないし、祝われたこともなくて、僕の中ではどうでもいい行事のひとつだったりするんっすが、ただ、興味はあります。 男子禁制の “ひなまつりパーティー” とか、一体どんなことが行われているのか、めっちゃ覗いてみたくなっちゃいます。 桃の節句だけに恐らく、めっちゃ “桃色吐息” な世界が繰り広げられているに違いありませんが、というか、そもそも “節句” って、何なんっすかね? “桃” 以外にも何かあるのかというと、とりあえず思い付くのは “端午の節句” 。 「子供の日」 でありますな。 何をする日なのかというと、ちまきを食べる日。 “端午” なのに、団子ではなくて、ちまき。 柏餅も食べるんっすが、個人的には断然、ちまき派だったりします。 アンコの入った和菓子とか、年寄り臭くて、ダセぇ…。 そんなふうに思っていた少年だったんっすよね、コドモの頃の僕。 子供の日なのに、年寄り臭いものが食えるか! …みたいな。 そもそも、どうして子供の日に柏餅や、ちまきを食べるのかというと、その答えは、えーと…、 これ 。 関東では 「柏餅」 、関西では 「ちまき」 。 え、そうなん? 大森屋 (←うちの近所にあった八百屋。 親戚のヒロシくんが経営。) では、どちらも平等に売られていた気がするんっすが、それは関東と関西の中間の中部地方やったからなんすかね? 心は関西人だと思っている僕としては、ちまき派で、よかった。 そう、胸をなで下ろしているところなんっすが、そもそもこれ、本当に東と西とで、きっぱりと分布が分かれるものなんっすかね? 好き嫌いは別として、普通にどちらも食べるものだと思っていた僕としては、にわかには信じられなかったりするんっすが、ちょっと調べてみた結果、関西であまり柏餅がメジャーにならなかった理由が判明しました。 そもそも関西より西には、柏の木がほとんど自生していない…と。 あ、それはあきまへんわ。 ない袖は、振れねぇ。 ない葉っぱでは、巻けねぇ。 ハメネイ師は、ハメねぇ。 そういう事っすよね。 で、柏餅とちまきの分布図みたいなのは見つけることが出来なかったんっすが、その代わりに、 こんなの が。 今まで、柏餅だとばかり思って食っていたのが、実は、サルトリイバラ餅だったりするとか? マジかよ? で、大森屋 (←うちの近所にあった八百屋。 経営者のヒロシくんは横綱の輪島似。) で売られていた “柏餅” の葉っぱは、どちらの葉っぱだったのかと言うと、ん? 普通に関東風だったような? というか、こんなサルトリイバラ餅、一度も見たことが無いっすぜ? 本当に関西人は、こんなんを “柏餅” と称して食ってるんっすかね?

 で、この問題に関しては、 こんなの も。 これだと三重県はサルトリイバラ派ということになってますな。 で、愛知県はカシワ派っぽいっす。 愛知と三重の県境に位置する桑名には、ナゴヤの文化も入り込んじゃってるっぽい。 不本意ながら、その事実は受け入れなければならないかも? 「机をつる」 とか、普通に使うし。 というか、 「机をつる」 以外に、何て言えばエエねん? …みたいな。 “運ぶ” というのとはちょっと違うし、“つる” やろ? ということで、 三重の言葉 。 え? 津では “ささって” を使わんって、嘘やろ? 三重県人全般 (←ただし木曽岬町民と旧・長島町民は除く) に通じる “定番ネタ” やと思いますぜ。 名古屋の奴らと待ち合わせの約束をして、間違いなく間違いの元になるヤツなんっすが、で、「机をつる」 というのは三重県全土に浸透しているようでありますな。 桑名だけが名古屋人に毒されているワケではないようで、ちょっとホッとしました。 で、 「とごる」 。 え、これ、三重でしか通用せえへんの? トゴール温泉とか言うと、成分がめっちゃ、とごっとる温泉としか思えなかったりするんっすが、イメージで言うと、強い子のミロ。 冷たい牛乳にもさっと溶けるとか、嘘やん! めっちゃ、とごるやん! …みたいな。 で、牛乳と言えば、 ミルメーク 。 僕が子供の頃にはコーヒー味しか無かったんっすが、いつの間にやら8種類ものフレーバーが。 僕は牛乳があまり好きではなかったりするので、早速、取り寄せて愛飲しているんっすが、中ではなぜかメロン味だけが冷たい牛乳にさっと溶けなくて、トゴール温泉状態に。 結果、何だか味が薄くて今ひとつだったりするんっすが、最近取り寄せた奴は、メロン味でも割と溶けがよくなったような? 自らの非を認めて、改良してくれたのか、あるいは、前に取り寄せたのは古くなっていて、シケちゃっていたのか。 それはそうと、抹茶きなこ味というのは、ちょっと今ひとつな気がするので、コイツを廃版にして、新しい味の奴をいれろよ! …と。 うまい棒のピザ味を廃止して、ちまき味とかいうワケのわからんのを出すより、もっと先にやらなければならない事があるやろ? …と。 で、結局、ミルメークは何味が美味しいのかというと、コーヒー、紅茶、ココアで、金・銀・銅メダル。 やっぱ、定番というのは根強いものがありますなぁ。 そんな結果に終わっていたりするんっすけどね。

 とまあそれはそうと、端午の節句。 そもそも、 “節句” って、何やねん? …というと、中国の陰陽五行説に由来して定着した日本の暦における、伝統的な年中行事を行う季節の節目となる日。 そういったアレであるようです。 “桃” と “端午” 以外にどんなのがあるのかというと、 Wikipedia 参照。 “桃” と “端午” では、中国と日本がごっちゃになっちゃってるみたいっすが、上巳 (じょうし) の節句と言われても、ぜんぜんピンと来ないっすよね。 逆に、菖蒲の節句。 これは何となく分かりますよね。 端午の節句には、菖蒲湯に入ったりしますもんね。 菖蒲湯と言われて、ハナショウブみたいなをイメージしていると、何か変な地味な葉っぱしか入ってなかったりして、子供心にガッカリしてしまうんっすが、菖蒲は勝負に通じるから、イケるやん! で、菖蒲の葉っぱは刀にも似てるから、イケるやん! そんな理由から、風呂で茹でられているみたいっすが、何となく漢方薬っぽい匂いがして、それなりに効用もありそうっすよね。 で、七夕。 これも節句の一種だったんっすな。 3月3日、5日5日、7月7日。 綺麗な法則性が見られて、言われてみれば確かにこりゃ、節句であるな…と。 で、言われてみれば、9月9日の “重陽(ちょうよう)の節句” というのも、何か聞いたことがあるな…と。 なら、1月は7日じゃなくて、1日にしろよ! …と。 で、11月11日も何かの節句にしろよ! …と。 こういう、中途半端な規則性は、血液型A型の僕がもっとも嫌うところなんっすが、で、七五三もそうなんっすが、中国人って奇数を有り難がりますよね。 割り切れない感じが、たまらんっ♪ …みたいな。 9は3で割り切れるやんけ! そんな気がしないでもないんっすが、奇数で割って、商も奇数なんやから、エエやんけ! そんな割り切りも大切だと思います。 で、 “端午” って、何やねん? こっちのほうの問題も片付けなければなりませんが、振り向くだけであなた、罪なオトコ、命を燃やして、踊れば Tango Tango、Tango 三兄弟〜♪ いや、いいっすなぁ、中森明菜。 個人的には山口百恵や、菊池桃子よりも、好きっ♪ 何故ここで百恵や桃子の名前が出てくるのかというと、今から “桃の節句” の話をしようと思っているからなんっすが、よく考えたら “モモエ” の “モモ” って、 “桃” ではなくて “百” っすよね。 “百” と書いて “もも” って、ちょっと無理があるんじゃね? そんな気がしないでもないんっすが、“百足” と書いて “むかで” 。 それよりはマシかな? …と。 足が100本もあって、気持ち悪いんじゃぁぁぁ! で、 “百 = もも” の由来に関しては、 こちら 。 「九十九 (つくも) 」 は 「次百 (つぐもも) 」 が転訛した言葉だということを知りました。 おお、これは、目から鱗。 言われてみたら確かに 「九十九 (つくも) 」 というのも不思議な読み方っすもんね。 で、百 = もも。 もも (桃) が 「邪気を圧伏し、百鬼を制する」 ところから、 桃 = もも = 百 と結びついていったようですよ。 この説は今ひとつ、あまりピンと来ないような…。 でもまあ、山口百恵は桜田淳子みたいに、壺にハマったりした訳ではないので、ま、いっかぁ…と。

 で、菊池桃子。 この “桃子” という名前は、んー、微妙…。 でもまあ、梅子や桜子よりは、マシかな? …と。 梅子は、婆さんっぽ過ぎるし、桜子は、あざと過ぎるし。 まだ桜子よりは新井薫子のほうが 『OH!新鮮娘』 っすよね。 で、いつもの コレ 。 いやあ、何度見ても新鮮さを失いませんなぁ。 で、そろそろ本題に入ろうと思うんっすが、桃の節句 = 雛祭り。 食べ物・飲み物系としては、白酒、菱餅、ひなあられ。 これが3強 = 金・銀・銅メダルということになりますか。 不幸にも今まで生きてきて、ひな祭りには一度もかかわったことがないので、どれも飲み食いしたことがあるんっすが、白酒とは、雛祭りにおいて祝いのために出される酒のことを指す。 アルコール分は約9%、糖質は約45%含まれ、うんぬん。 え、そんなに強いん? ストロング系チューハイ並やん! そんなん、幼女やら、JSやらに飲ませてエエんか? そりゃ、ワカメちゃんも、ヘベレケになりますわいな…。 白酒を飲んで、ベロベロに酔っ払って、着物がめっちゃ、はだけてましたからね。 「何だい、あられもない格好をして…」 そう、マスオさんにたしなめられて、 「 “あられ” はあるのぉ♪」 …と、 “ひなあられ” を指さすワカメちゃん。 イケるやん! ま、さすがに幼女やJSには本物の白酒ではなく、甘酒で代用しているようでありますが、というか、JCやJKでもアカンっすよね。 僕もストロング系チューハイを飲むと頭が痛くなっちゃうので、甘酒のほうがいいかと。 で、クリスマスには本物のシャンパンではなく、シャンメリーでいいかと。 で、ひなあられ。 これは、ま、いいかと。 食べたことはないので、断言は出来ないんすが、ま、あられの味やろな…と。 しかも、さほど美味くはないあられのように見えるので、男子禁制の “ひなまつりパーティー” で、女子がこっそり食べていたとしても、あまり羨ましくはないな…と。 ちなみにコイツも関東と関西では違いがあるみたいっすな。 ほれ 。 え? 何、この右側の、固まってない “パッカン” みたいなの? 本当に関西人は、こんなんを “ひなあられ” と称して、喜んで食ってるんっすかね? …と思ったら、こっちが関東バージョンなんっすかぁ。 うちのほうでは関東風のほうしか見掛けないような? いや、まじまじと “ひなあられ” を眺めたことがないので、迂闊なことは言えないんっすが、少なくとも近所のスーパー一号館で売られているのは、普通の “あられ” みたいなヤツではなかったかと。 文化の境界線というのは、なかなか一筋縄ではいかないものでありますなぁ…。

 で、続いては、菱餅。 コイツも謎に満ちた食い物だったりします。 焼いて食うの餅なのか、それとも、和菓子系の餅なのか。 うちの近くのスーパー一号館で売られているのは “ういろう” みたいな感じだったようにも見受けられるんっすが、えーと、 これ 。 あ、これはめっちゃ、普通にモチっすな。 が、世の中にはこんな普通のモチではない菱餅というのもあるに違いなくて、でもまあ、いずれにしろ、形が菱形で、桃色・白・緑の色が付けられているだけの話で、味的には普通のモチ、もしくはモチ系の和菓子と大差ないような気がする。 そういった食い物であるのではなかろうかと。 ま、菱餅も、イシモチよりはマシだと思うんっすけどね。 サカナ系、あまり好きではなかったりするし。 ちなみに、イシモチというのはどんなサカナなのかというと、こんな サカナくん 。 おお、めっちゃ分かりやすい♪ でもって、何気に絵が上手ぇぇぇ。 芸風が若干スベリ気味なところもご愛敬でありますが、それはそうと、にべもない。 この言葉の語源が、このサカナにあったとは。 サカナの浮き袋で “膠(にかわ)” を作るとは、にわかには信じられない話なんっすが、膠 (にかわ) とは、動物の骨、皮、腱 (けん) などから抽出したゼラチンを主成分とする物質。 骨、皮、腱 (けん) から抽出されるなら、浮き袋から抽出されても不思議ではないっすよね。 もしかして、骨川スネ夫からも抽出出来るとか? あの前髪は、膠 (にかわ) でも使って固めてやらないと維持するのが難しそうなんっすが、スネ夫って、菱餅やイシモチというより、鼻持ちならない性格だったりするし、とか言ってるうちに日付が変わって “ひな祭り” も終わってしまったので、今日のお話は、おしまい。

 ということで、今日はホレス・シルバーっす。 いいっすよね、シルバー。 銀メダルが取れそうで。 が、金メダルは取らなくて、 「めっちゃ悔しぃ〜。 金がいいですぅ〜!」 みたいな。 渡部暁斗とか、めっちゃシルバーっぽいんっすが、平昌オリンピックの時は肋骨が折れていたそうで、それでよくジャンプとクロカンを3回もこなしましたなぁ。 ま、左下腿骨骨折に比べれば、まだ大丈夫なのかも知れませんが、まったく歩けなくなっちゃいますからね、ありゃ。 で、今日はそんなホレス銀さんの 『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』 を取り上げてみたいと思います。 定番中の定番でありますが、ソニー・クラークの 『クール・ストラッティン』 に手を出してしまった今となっては、もう、恐いもの無し。 で、今週もまた、あまり時間がありません。 某・上水道設備で、ダダダダダダ! …と、コンクリートのハツリをしていたら、水道管に穴が開いて、水が漏れてちゃった。 テヘっ♪ そういう状況に陥ったという話をどこかに書いたかと思いますが、その配管と平行して、もう1本、何だか謎の配管があったんっすよね。 で、そいつにもハツリで穴を開けちゃったんっすが、特に何も漏れ出してはこないみたいなおで、大勢には影響無いだろう。 そう判断して、そのまま放置していたんっすが、しばらくして、もしかしてこれ、ガス管なんじゃね? そんな疑惑が沸き上がって来ました。 それより前、外の地中に何だかよく分からんバルブが3個ほど埋められていて、穴が開いちゃった配管の水漏れを止めようとして、それを開けたり閉めたりしていたんっすが、その過程で、そのうちのひとつが首のところから、ポキッ! …と。 あー、壊した、壊した、役場の人に言うたろー! ま、幸い、バルブを操作していたのは役場の人だったので、僕は責任を免れることが出来たんっすが、その際、バルブのところから何やら、モヤモヤしたものが。 水が漏れ出したのかと思って触ってみても、濡れることはなくて、え、もしかして、ガス? 慌ててプロパンガスのボンベのところに行って元栓を閉めた結果、モヤモヤは解消したような気がしたので、何も見なかったことにして、そのまま放置していたんっすが、どうやらあのバルブと、ハツリで穴を開けちゃった配管とが繋がっていたようでありますな。 最初にバルブのほうが壊れちゃったからよかったようなものの、知らずにそのまま作業をしていたら、ドカーーーーーン! …と、ガス爆発。 危ないところでしたなぁ…。 とまあ、そんなこんなで、そこの現場でこの週末も休日出勤だったので、僕に残された時間はあと半日ほど。 さすがに2週連続で小ネタでお茶を濁すのはちょっと気が退けるので、一応、頑張ってみる所存ではありますが、とりあえず後半は、さっさと片付けてしまいましょう。

 で、これ、面子が黄金っす。 ブルー・ミッチェルジュニア・クックジーン・テイラールイス・ヘイズ。 地味な顔ぶれではありますが、シルバー・クインテットはこれが最強かと。 個々の実力はそこそこなんっすが、それが集団になると俄然、パワーを発揮する…と。 とまあそんなことで、1曲目。 アルバム・タイトル曲の 「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」 。 言葉で表すとすれば、正に一言、 “スモーカー” (ゴキゲンにスイングするナンバー) だろう。 そう、原文ライナーでアイラ・ギトラーが書いております。 スモーカーって英語だと、そういう意味なんっすな。 日本語なら、相撲かぁ。 良きにつけ、悪きにつけ、何かと話題が豊富なコンテンツでありますが、個人的に 「悪きにつけ」 というと、これはもう、魚の煮付け。 旅館の料理とかで、これが出てくると、心底ガッカリしてしまいます。 いや、食ってみると、意外とイケるやん♪ …みたいになるんっすけどね。 曲そのものはアップ・テンポで、ハード・バピッシュな仕上がり。 トランペットとテナーのユニゾンで、AA形式のシンプルなテーマが演奏されて、で、ソロ先発はジュニア・クック。 シルバーの強力なコンピングをバックに、ゴキゲンにスイングしております。 続く青ミッチェルとホレス銀のソロも、それぞれ味わい深く、とってもスモーカー。 で、最後、ミッチェルとクックの2小節で大いに盛り上がって、その後、セカンド・テーマみたいなのが出て来て、でもって、本テーマに戻って、おしまい。 4分42秒と、決して長い演奏ではなんっすが、ハード・バップの良さみたいなものがギュギュッと凝縮されていて、凄ぇぇぇ♪

 で、次。  「ザ・セント・ヴァイタス・ダンス」 。 「聖ヴァイタスの踊り」 という日本名が付けられておりますが、タイトルの意味するところは、舞踏病 = コレラなんだそうで。 題名はホレスのおふざけである。 震えあがる人はいないと思うが、どうだろうか。 そう、ギトラー君が書いておりますが、何と言うか、いかにもアメリカンなアレでありますなぁ。 それはそうと舞踏病って、コレラとイコールなん? 何か、ちゃう病気とちゃうん? 油井正一クンの解説には、正確には “The St.Vitus's Dance” といい、精神医学用語で 「舞踏病」 のことだという。 そんな記載があるんっすが、何か、そっちのほうっぽいっすよね。 えーと、 舞踏病 。 あ、確かにコレラと書いてありますな。 ここで書いてあるコレラというのが、僕が思っているコレラとはちゃうヤツなんちゃう? そんな気もするんっすが、いずれにしろ、これは名曲です。 ホーン抜きのトリオで演奏されるんっすが、そこはかとない哀愁を感じさせるファンキーな曲調は正に日本人好みで、ホレスのソロも完璧といっていい仕上がり具合。 イケるやん♪ で、次。  「ブレイク・シティ」 。 テーマの途中でリズム・セクションが演じるチャールストン風のブレイクがタイトルの由来であるようっすが、名曲っすよね、田原俊彦の 「チャールストンにはまだ早い」 。 アレに比べると、ホレスのコレはちょっと落ちる気がするんっすが、これもまた、燃焼カロリーの高い “クッカー” (クックするナンバー) である。 そう、解説にあるように、演奏そのものはめっちゃクッカーで、食うか、食われるか。 そんなスリリングなイカリング。 そういったアレだったりしております。

 で、次。  「ピース」 。 これはアレっす。 平和っす。 桑名には平和寿司という、とってもピースフルな寿司屋があるんっすが、それと同じくらい平和。 で、演奏のほうは、バラードっす。 で、次。  「シスター・セイデイ」 。 恐らく、このアルバムで一番メジャーな楽曲でありまして、かつて大橋巨泉が油井正一クンを捉まえて、このレコードの5曲目にある 「シスター・セイデイ」 が最大の傑作で、マイナー・ブルースだが拍子は 6/8 か 12/8、ファンキーとスパニッシュ・ムードがブレンドして不思議なムードを盛り上げてゆく。 この曲には違ったリフが3つも出てくるが、そのどれをとっても1曲のテーマとして立派に通用するほどすぐれたものだ。 まず第一主題となっているリフがすぐれたもので、それで最後までつないでも十分なのに、アドリブ・コーラスを終えると、セカンド・リフ、サード・リフと惜しげもなく執拗にたたみこんでゆくあの手法がシルバー・ジャズのたまらないよさである、うんぬん。 そう、力説したんだそうで。 いやあ、造詣が深いっすな、巨泉クン。 ただの 「 倍率ドン! 更に倍! 」 だと思ったら、大間違い。 そんなエピソードに対して,ギトラーくんのほうは、コルトレーンはこれをフィラデルフィアで聴いて、 「さっき演ってた “エーメン” の曲は何ていう名前?」 と訊ねたそうである。 そんな話を書いております。 要するに、ファンキーでスパニッシュで、エーメンなワケやな。 そういうアレであるものと思われるんっすが、ぶっちゃけ、この “エーメン” な要素は、日本人にはちょっとコテコテ過ぎて、やや敬遠される嫌いがあるのではなかろうかと。 で、演奏のほうはというと、まず第一に第一主題が合奏されて、その後、トランペット、テナー、ピアノの順で各自のソロが披露されて、で、アドリブ・コーラスを終えると、セカンド・リフ、サード・リフと惜しげもなく執拗にたたみこんでゆくアレであるな…と。 確かに、終盤の盛り上がり具合が半端無かったりして、巨泉くんのコーフンがこっちにも伝染しちゃうんっすが、いやあ、やっぱり熱演でありますな。 熱延鋼板も、真っ青、金正男 (まさお) も、真っ青。

 で、次。  「ザ・バグダッド・ブルース」 。 シルバーは中近東の情景を設定している。 コード進行から言うとブルースではないのだが、マイナー・モードにブルース・フィーリングたっぷりの曲である。 そういうアレだったりしております。 いいっすよね、中近東。 中東、近東、中近東。 ちょっぴり習近平にも似ているし。 …って、つい最近、同じようなことをどこかで書いたような気がするんっすが、で、次。  「メランコリー・ムード」 。 とっても四体液説における黒胆汁質な気分のバラード風のアレでありまして、ホーン抜きのトリオによる演奏。 ぶっちゃけ、ちょっぴり平坦だったりして、やっぱり基本、この人は管入り、且つ、ミディアムより速いテンポのほうが “らしさ” が発揮されますよね。 とまあ、そんなこんなで、おしまい。 …と、意外と地味な幕切れだったりするんっすが、こんなことでは、いかん。 そう、危機感を抱いたのか、CDだとこの後にオマケ曲が追加されております。  「ハウ・ディド・イット・ハプン」 。 ほんわかとした雰囲気のハード・バピッシュなナンバーで、エンディングとしては、この空気で正解かな…と。 とまあそんなことで、おしまい。

【総合評価】 5曲目までの流れは、完璧。 最後がちょっと締まらなかった感はありますが、やっぱ、名盤っすな。 このアルバムが君のブルースを吹き飛ばしてくれなかったとしたら、 ならばもともとブルースなんか君にあったのかと、この僕は疑いたい。 そう、ギトラーくんは、アメリカンにライナーノートを締めておりますが、これを超える “名フレーズ” は、とても思い付きそうになくて、とまあそんなことで、えーと…、オススメ☆


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