LOVE FOR SALE (PROGRESSIVE)

DEREK SMITH (1976/1)

LOVE FOR SALE


【パーソネル】

DEREK SMITH (p) GEORGE DUVIVIER (b) BOBBY ROSENGARDEN (ds)
【収録曲】

(01-03) LOVE FOR SALE / AUTUMN LEAVES / SUMMERTIME
(04-06) ONE TO WARM UP ON / WHEN SUNNY GET BLUE / TRISTESSA
(07-09) SWEET LORRAINE / TOO CLOSE FOR COMFORT / A DAY IN THE LIFE OF A FOOL (CARNAVAL)
【解説】 ( 2019年02月03日更新 / 連載 1,335回 )

 うわぁぁぁぁぁ…。 ヤベぇぇぇぇぇ…。 こんなメールが来たぁぁぁぁぁ…。

 『あなたのパスワードが侵害されました』

 うわぁぁぁぁぁ…。 終わった…。 今の時点では何の話なのか、今ひとつよく分からないし、そもそも 「パスワードが侵害」 って、何や? 漏洩なら何となく、あ、漏れたんやな。 そう、察しがつくんっすが、侵害。 意味が分からん…。 でもまあ、よくない事が起こりそうなのは間違いないっすよね。 侵害されて、憤慨。 それくらいで済めばいいんっすが、侵害されて損害が出る。 その可能性は非常に高いと言わざると得ません。 侵害されるのは僕の本意ではなくて、心外っすなぁ…。 ま、いずれにしろ、メールの本文を読まない事には、話が先に進まないんっすが、どんな悪いことが書かれているのか、ドキドキしながら中身を開いてみたところ…

 こんにちは!

 めっちゃ爽やかな挨拶やんけ! 思わず 「こんにちワン!」 と返事をしちゃいそうになっちゃいましたが、 「あいさつの魔法。」 あ、これ、最後に “ 。” が付くのがオフィシャルだったんっすな。 芸名に句読点が含まれる芸能人って、モーニング娘。 と、つのだ☆ひろ くらいしか知らなかったんっすが、 一覧 を見たら、めっちゃおるやんけ! キンタロー。 や、ゲスの極み乙女。 も、句点が付くんっすな。 知りませんでした。 ピリオド ( . ) や、ハイフン ( - ) は、ここに載せる必要はないような気がするんっすが、

 星印 (☆・★)

これもめっちゃ多いっすな。 何か、この (☆・★) を見ると、ゴージャス (←宇宙海賊) の顔が浮かんでしまうんっすが、それはそうと、「あいさつの魔法。」  ここ に登場キャラクターの紹介がありますが、あいさつ坊や (ジョン・太郎・ハロー) 。 あの子供、そんな名前やったんか! 日系3世とかなんすかね? 太郎とハローで韻を踏んでいるし、なかなかに秀逸なネーミングであるな…と。 で、一方の女児のほうはというと、あいさつガール。 あいさつ坊やとペアなら、あいさつお嬢とかやろ? ガールなら、ボーイやろ? そんな気がしてならないんっすが、意外と適当なネーミングっすよね。 で、こんにちワン。 あいさつ坊やの一番の親友。 えぇぇぇぇ…。 個人的には、ありがとウサギといちばん親密な関係になりたいと思っているんっすが、太郎・ハロー、趣味悪ぃぃぃ…。 ま、ジョンとか、犬みたいな名前が付いているから、親近感が沸くんっすかね? というか、あいさつガールは、一番の親友とちゃうんかい! オンナよりも犬を愛する俺、カッケぇ! こじらせちゃってますなぁ。 かく言う僕も、あいさつガールよりも、ありがとウサギやな。 そんなふうに思っていたりするんっすが、心優しい性格であり、温かな挨拶でもてている。 そうなんっすよね。 ライバル、多そう。 不細工なんっすが、可愛いっ♪ 少なくとも、声は可愛いっ♪ 性格も可愛いと思うし、やっぱ、女は愛嬌やな…と。 で、その他の雑魚キャラは別にどうでもいいんっすが、ただいマンボウ 実際のマンボウの形を模した頭部から胴体と手脚が生え、口から泡を出している。 エエぇぇぇ…。 エエんか? 魚屋の息子であり、店の手伝いをしている。 エエぇぇぇ…。 そんな仲間を売るような商売をして、エエんか?

 …と、ここまで、挨拶以外に何も話が進んでいないんっすが、で、続いては自己紹介。

 私は数ヶ月前にあなたの電子メールとデバイスをクラックしたハッカーです。

 うわぁぁぁぁぁ…。 ハッカーや! これ、マジであかんヤツや…。 ちなみに僕はサクマドロップスだか、サクマ式ドロップスだかの中では、ハッカ味がいちばん好きだったりします。 「ハッカはゴミ!」 とか言うヤツとは、たとえニコヤカに挨拶されたとしても、友達にはなれない気がするんっすが、ゴミなのはチョコ味やろ? …と。 えーと、 ハズレと思うサクマ式ドロップス・サクマドロップスの味ランキング 。 1位:ハッカ、2位:チョコ。 はぁ? 気分を害したので、この話はなかったことにして、で、このハッカー、この数ヶ月間、何をやってたんや? …と。 で、 「あなたの電子メールとデバイスをクラックした」 って、ハッカーならちゃんと、ハッキングしろよ! クラックするのは、クラッカーに任せろよ! …と。 ただ、パスワードが侵害されただけなのかと思ったら、電子メールとデバイスまでクラックされちゃったようで、事態は思ったよりも深刻そうでありますなぁ…。 で、その問題の電子メールなんっすが、よくよく見ると、個人の

 sabapyon@han-gyodon.jp

 これ (↑) ではなくて、会社のアドレスなんっすよね。 しかも、僕1人だけでなく、同じ会社のオッサン5人くらいにも “CC” で送りつけられているという。 集団感染やんけ! もしかして、会社の機密がダダ漏れだったりするとか? あ、でも、勝手に侵害されたとか、クラックしたとか言ってるだけで、大した情報も得られていたいのに、カマをかけてるだけという可能性も考えられますよね。 とか思っていたら…

 あなたが訪問したサイトの1つにパスワードを入力君た。それを傍受しました。
 これは、ハッキングの瞬間に か らのあなたのパスワードです: J398W719MP

 うわぁぁぁぁぁ、入力君た。 ワケがわからねぇ…。 怖ぇぇぇぇぇ…。 しかもパスワードをしっかりハッキングされてるやんけ! こいつ、ただクラックするだけなのかと思ったら、ちゃっかりハッキングまでしていて、やっぱり本物のハッカーやんけ! それはそうと、こんな覚えにくいパスワードを、同じ会社のオッサン6人くらいが使っていたとは…。 あ、でも、パスワードが漏れただけなら、今すぐそれを変更すれば、被害は最小限に抑えられるかも? とか思っていたら…

 もちろん、それを変更したり、すでに変更したりすることができます。
 しかし、それは問題ではありません、私のマルウェアは毎回それを更新しました。

 うわぁぁぁぁぁ、既に先を読まれて、対策を取られてるぅぅぅ…。 恐るべきハッカー、改め、入力君! マルウェアを毎回更新されちゃったら、もう終わりや…。 それが何をするものなのかはよく知らんのっすが、何か、巨人に言った丸が 「うぇあ〜www」 とか言ってそうで、不快っすよね、マルウェア。 で、途中ちょっと省略して、結局のところ、どのように対処すればいいのかと思ったら、

 私は通常、デバイスをブロックし、身代金を求める。

 え、身代金? それって、誘拐とかして、人質の命と引き換えにゲットするものなんじゃ? 今回の事案とは、ちょっと違うような気がしないでもないんっすが、もしかしてこのハッカー、ちょっと日本語が不自由っぽい? ま、それは 「入力君た」 とか言ってた時点で、薄々と感じてはいたんっすが、それはともかく、やはり、お金で解決するしか方法はないんっすかね? が、侵害されたのは、まったく身に覚えのない、よく分からんパスワードだったりするし、そのまま放置しても、大丈夫なような? とか思っていたら…

 しかし、私は頻繁に訪れる親密なコンテンツのサイトにショックを受けました。
 私はあなたの幻想にショックを受けている! 私はこれのようなものを見たことがない!

 うわぁぁぁぁぁ…。 いかがわしいコンテンツのサイトを頻繁に訪れたりしてるのが、バレたぁぁぁぁ! しかも、ショックを与えてしまったぁぁぁぁぁ! 何か、意外とセンシティブなキャラである模様なんっすが、でもまあ、どこの誰かもよく知らん純情ボーイに僕の性癖を知られたところで、さほど実情はないような? とか思っていたら…

 だから、あなたがサイトで楽しむとき (あなたは私が何を意味するか知っています!)
 あなたのカメラのプログラムを使用してスクリーンショットを作成しました。
 その後、私はそれらを現在閲覧されているサイトのコンテンツに結合しました。

 これらの写真を連絡先に送信すると素晴らしいことがあります。
 しかし、あなたがそれを望んでいないと確信しています。

 スクショ、撮ったんかいっ! ショックを受けたんなら、そのまま寝込めばいいものを、クソ余計なことを…。 で、その写真を連絡先に送信するってか? そんなことされたら、めっちゃ 「素晴らしいこと」 があるに違いなくて、うわぁぁぁぁぁ…。 それだけはやめてくれぇ! 入力君が確信している通り、確かに僕はそれを望んでいません。 負けた…。 敗北を認めるしかありませんな、こりゃ…。 で、結局のところ、どのように対処すればいいのかと言うと、

 したがって、私は沈黙のためにあなたからの支払いを期待しています。
 私は$555が良い価格だと思います!

 Bitcoin経由で支払う。
 私のBTCウォレット: 19BSNBSC96NDtJ2MJwLNqPSVQvLggpt4S2

 足元、見過ぎ! 私は$555は高過ぎだと思います! それに私は BTCウォレットへの送金方法とか、知らん!  とか思っていたら…

 あなたがこれを行う方法を知らない場合
 - Googleに「BTCウォレットに送金する方法」を入力します。 難しくない。

 めっちゃ親切やん! で、難しくないなら、ちょっとチャレンジしてみようか? ふと、そんな気になっちゃったりもしたんっすが、

 私はあなたに支払いのための2日間を与える(正確に48時間)。
 これが起こらない場合 - すべてのあなたの連絡先はあなたの暗い秘密の生活からクレイジーショットを取得します!

 自分はハッキングしてから数ヶ月間も放置しておいた癖に、こちらに与えられた猶予は正確に48時間かよ! 暗い秘密の生活からクレイジーショットを取得されるのは、あまりにもヤバいし、かと言って、$555は高過ぎるし。 ここはやはり、警察とかに相談したほうが…

 ばかなことしないで!
 警察や友人はあなたを確実に助けません...

 あぁぁぁぁぁ…。 また、先を読まれてしまったぁ…。 おまけに

 p.s. 私はあなたに将来のアドバイスを与えることができます。
 安全でないサイトにはパスワードを入力しないでください。

 アドバイスされたぁ…。 余計なお世話や! そう、思わずにはいられませんが、

 私はあなたの慎重さを願っています。
 お別れ。*JL$l!#

 え? 最後の謎の符号は何なん? めっちゃ気になるやん…。 こんなモヤモヤした気持ちのまま、お別れを告げられても困るんっすが、で、あなたの慎重さを願われたので、どうしようかと慎重に悩んでいたら、締め切りの2日間 (正確に48時間) を過ぎてしまったぁぁぁぁぁぁ…。 というか、このメールが届いてから、1ヶ月くらい経過しちゃったんっすが、今頃、僕の暗い秘密の生活のクレイジーショットが、あちこちの連絡先にばらまかれちゃっているんでしょうなぁ…。 そんな怪しいもの、誰も相手にしないと信じたいところなんっすが、 『あなたのパスワードが侵害されました』 。 このフレーズでググってみたところ、めちゃくちゃたくさんヒットしますな。

 私は$880が良い価格だと思います!

 値上げしてるやん! 早いうちにメールを貰っておいて、ちょっと得した気分なんっすが、ただひとつ、ちょっと気になることが書いてありました。 記載されたパスワードは実際に使われたものなので、念のために変更しておいたほうがいい…と。 え、マジっすか? まったく記憶にないんっすけど…。 上のほうで引用したものも、慌てて架空のものに変えておいたんっすが、こちらで任意に決めるのではなく、向こうから適当なパスワードが送られてくる場合もありますからね。 さすがに会社のメールアドレスで、いかがわしいサイトに登録した覚えはないんっすが、それはそうと、入力君が 「私はこれのようなものを見たことがない!」 とショックを受けたのが、一体どんなものだったのか、ちょっと気になるところでありますなぁ。 で、今、これを読んでいるそこの貴方。 クソ恥ずかしいクレイジーショットを、どこの誰に取得されているか分かったものではないので、今すぐブラウザを閉じることをアドバイスしておいて、今日のところは、おしまい。

 ということで、デレク・スミスっす。 前半を読み終えた時点で、誰もいなくなったに違いないので、今日の後半は適当に片付けておこうと思うんっすが、今日もまた、どこの誰なのか、よく分からんキャラだったりするし。 調べてみたら、デレク・スミス Derek Smith 1931.4.17 - 米国のジャズピアノ奏者。 ストラトフォード (英国) 生まれ。 7歳でピアノを始め、13歳でバンドを結成、1954年から本格的プロとなる。 (中略) '57年米国に帰化し、うんぬん。 そういう人らしいんっすが、どこの誰なのかというと、英国の誰かだったんっすな。  '76年 Progressive レーベルに録音した 『ラブ・フォー・セール』 で注目されたほか、うんぬん。 そんな記載も見られるんっすが、今回はその注目の1枚を取り上げてみようかと。 プログレッシブ。 何か、プロフェッショナルで、アグレッシブ。 そんな雰囲気が感じられて、超保守派な僕の趣向に合致するのか、ちょっぴり心配だったりするんっすが、ジャケットのセンスもかなりアレだったりするし。 顔のデカいオッサン1人と、ケバそうなお姉さん2人のイラストが書かれているんっすが、まったくソソられるものがありませんな。 店でレジのお姉さんに差し出すのは相当に勇気がいるので、通販限定商品と言っていいかも知れませんが、恥ずかしいものをこっそり買える、何ともいい時代になりましたなぁ。 で、これ、ベースがジョージ・デュビビエなのが、地味に嬉しいところ。 1976年時点での生存確認が取れました。 地味なので、いてもいなくても大勢に影響は無いんっすが、テクニックをひけらかす系のオッサンに出しゃばられるよりは、ぜんぜんマシかと。 で、ドラムスはボビー・ローゼンガーデンという人。 よく知らんのっすが、名前が無駄にカッコいいので、いいなぁ♪ …と。 とまあそんなこんなで、では演奏を聞いてみることにしましょうかぁ。

 まずは1曲目、アルバム・タイトル曲の 「ラブ・フォー・セール」 。  “愛” を売る。 そんな行為を生業 (なりわい) としているギャルをテーマにした “大人のスタンダード” でありますな。 中身は こんな感じ 。 しかし、私は頻繁に訪れる親密な売り物の愛にショックを受けました。 私はあなたの幻想にショックを受けている!  私はこれのようなエロい歌詞を見たことがない! 新鮮でまだ傷んでいない恋、ほんの少ししか汚れていない恋。 そんなものを売り物にするとは、けしからんっ! 「興奮する恋」 とか、一度も望んだことがない僕には、まったく理解不能な世界でありますが、この台詞を言ってるのが、ジャケットに書かれた2人のお姉さんだったりするのかと思うと、ちょっとアレっすな。 少し汚れている程度では、済まないような? 古くさい恋、今どきな恋、どんな恋でも引き受ける、本物の愛以外は…。 このフレーズが、何とも深いっすよね。 さすがはコール・ポーターだけあって、コールガールの気持ちがよく分かってますな。 あいさつガールの気持ちには、ちょっぴり疎かったりするのかも知れませんが、で、これ、曲のほうはというと、ラテンのノリで、派手派手にやるというのがお約束。 が、ここでのデレクは、わりとオーソドックスに4ビートで料理してるっぽい? タイコを叩いているのがローゼンガーデンというドイツっぽい名前の人であるのが影響しているのかも知れませんが、リズムがどうであれ、ノリノリで派手派手なのは間違いなく、ピアノ・イントロからトリオ合奏のテーマが勢いよく飛び出すと、たちまちスインギーなスミス・トリオの世界が炸裂。 一度火がついたら、誰も止めることができないピアノは、どこまでも果てしなく猛進していく。 結局ソロを共演者に渡すことなく、エンド・テーマに至る痛快なトラックだ。 そう、日本語ライナーで杉田宏樹クンが書いているようなアレが展開されております。 確かに痛快っすな。 何でもいいけど、痛いのに快感。 “痛快” って、マゾが入ってますよね。 が、確かに、痛快としかいいようのない弾きっぷりでありまして、デレク君、イケるやん!

 で、次。 「オータム・リーブス」 。  太田 「無理〜。ブスはちょっと…。」  曲名を俳句に詠み込むと、こんな感じになろうかと思われますが、贅沢言うな、太田! 不細工でも愛嬌があれば、ぜんぜんイケるやろ? で、これ、日本ではもっぱら 「枯葉」 という名前で知られるシャンソンの名曲なんっすが、ピアノ・イントロからミディアム・テンポのテーマへ。 ピアノの主導部になると、やはりスミス節を展開するあたりは、このピアニストのナチュラルな音楽性というほかあるまい。 そういうアレだったりするんっすが、ま、普通にいい感じっすよね。 イギリス人の分際で、適度にファンキーだったりするし、熱いソウルが感じられたりもするし、見た目はムサいんっすが、音楽性は確かであるな…と。 その一方、終盤のカデンツァではしっとりとした雰囲気を醸し出しており、スミスの別の一面を聞く思いがするな…と。 ということで、次。 「サマータイム」 。 超有名なスタンダードばかりが続きますな。 日本人が制作に関わってんじゃね? そう、疑いたくなるような選曲なんっすが、ピアノ・イントロからトリオのテーマに移るところで、本曲のマイルス・デイビス&ギル・エバンス楽団バージョンを参照したのが要注目。 そのように書かれておりますが、あまりよく分からなくて、それよりも、ピアノ・ソロでは肩の力を抜いたような演奏から、次第に熱を帯びると、リズミカルなドラムスに呼応するようにエネルギーを増す。 こっちのほうに注目したいと思います。 確かに、めっちゃ熱くなるタイプっすよね、デレク君。 エネルギッシュで、脂ギッシュ。 脂ギッシュを英語で言うと、 oily 。 明快っすな。 で、ひとしきりピアノで暴れまくったところで、ふと我に返って、ちょっと、はしたなかったかな? 反省して、テンションが下がったところで、ベースのソロにスイッチ。 しばし、心を落ち着かせたところで、最後はピアノとドラムスとのチェイスで、ちょっとだけ盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 なかなか、よかったんじゃね? そのように評価していいのではなかろうかと。

 で、次。 「ワン・トゥ・ウォーム・アップ・オン」 は、アップ・テンポのスミス・オリジナル曲。 ファンキーなアドリブは尽きることのない泉のようだ。 そう、杉田クンが書いているようなアレっすな。 尽きることのない泉と言えば、去年の夏に尽きて、枯れちゃったっぽい 海津温泉 。 復活するかも? そんな噂も、ちらほら。 えーと、 ここ 参照。 復活…というか、堀り直すんっすか。 尽きるのはやっぱり、尽きちゃったんっすな。 その一方、デレク君のフレーズは確かに、尽きることがありませんな。 ま、言うても4分弱っすからね。 海津温泉も、それくらいなら頑張れば、何とかなるような気もするんっすが、で、これ、自作ながら曲そのものも、なかなかいい感じだったりして、デレク君、やるけんけ! あまり褒めると、デレクがデレデレになっちゃいそうなんっすが、中盤以降、デュビビエくんのピチカート・ソロや、ドラムスとピアノの掛け合いなんかもあったりして、ピアノ・トリオの楽しさが全開だったりして、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 「ホエン・サニー・ゲッツ・ブルー」 。 ムードは一転、ブルーなバラードでありますな。 なかなかいい感じなんっすが、CDオマケ曲っぽい? 全体の流れとしても自然な感じなので、ちょっと意外な気もするんっすが、オマケだからと言って聞き飛ばさずに、じっくり耳を傾けることをオススメします。 途中からちょっとテンポが速くなって、ピアノ主導部ではスミス節を交えながら楽想を発展。 最後まで主役を貫いているな…と。 で、次。 本作では2曲目のスミス自作曲となる 「トリステッサ」 は、メランコリックなピアノ・イントロが、トリオ・テーマで躍動。 ま、要は、ピアノの無伴奏ソロによるイントロでは、バラード? …と思わせておいて、テーマに入って、一転。 めっちゃスインギーな世界が展開されているな…と。 そういうアレだったりするんっすが、 「トリステッサ」 だけに、トリスを片手にフグの刺身をつまむ感じ? ピアノ・ソロを経てドラム・ソロに進むと、ホイッスルを加えたサンバ仕様に変身する。 そんなアレだったりするんっすが、ぶっちゃけ、この 「笛」 は、ちょっと余計やったな…と。 何か、安っぽくなっちゃってますよね。 蛇足というか、糞 (くそ) だというか。 いや、クソというほど臭くはないんっすが、 ここ を見ると、ある日の海津温泉はちょっと臭かったみたいっすな。 が、その後のスミスは自由奔放なプレイで、作曲者としての本望を完成。 そんな展開だったりして、ま、最終的には、よかったな…と。

 で、次。 「スイート・ロレイン」 。 スミスとテーマはリラクゼーション。 ソロではファンキーなフレーズも交えて、モダン・ジャズが最も熱かった時代へとタイム・スリップさせてくれるようなプレイ。 ベース・ソロからドラムスとの小節交換は定石的ながら、安心感を生む効果があるな…と。 ま、要するに、超保守派な僕の趣向に、ぴったりマッチしているな…と。 モダン・ジャズが最も熱かった時代より、さらに昔のスイング・ジャズの 「昔はよかったね」 な雰囲気が半端なかったりするんっすが、それはそれで、いいな♪ …と。 で、次。 「トゥ・クロース・フォー・コンフォート」 。 明るく弾むテーマからピアノ主導へと、ごきげんな流れを作る。 スミスはファンキーなフレーズをふんだんに投入し、エネルギッシュなトリオ・サウンドのリーダーシップを発揮しているな…と。 エンディングではカウント・ベイシーの得意フレーズを借用しているな…と。 この辺はよく分からなかったりするんっすが、ま、そうなんやろうな…と。 んなことで、ラスト。 「ア・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・ア・フール」 。 聞いたことのない曲名で、括弧して (カーニバル) と書かれていたりするんっすが、その正体は 「黒いオルフェ」 。 ピアノ独奏で始まり、他の二人が加わるとラテン色が濃くなる。 ここでのスミスもファンキーな勢いが止まらない、といった様子で、エンド・テーマまでトリオを牽引する。 そういうアレだったりして、とまあそんなこんなで、今日のところは、以上っす。

【総合評価】 変なジャケットに抑止されて、買うのをヤメなくて、よかったな♪ …と。 通販で買っておいて、正解でありました。 お馴染みなスタンダード中心の選曲で、あまり個性が感じられそうもない。 そんな予感とは裏腹に、暴れまくるデレクが、でぇれぇデレクだで、かんわー。 そう、名古屋人も納得の仕上がり。 いや、 「でぇれぇ」 は岡山っすか。 ここ 参照。 もんげぇ、でぇれぇ、ぼっけぇ。 かわいいうさぎがふらり。 そんな風に書かれておりますが、ミフィカスなんか、ありがとウサギの足下にも及ばんやんけ…。 で、2曲のオリジナルも出来がよかったし、オススメするに値する、そんな1枚であったな。 そのように評価していいのではないかと思うんっすが、とまあそんなこんなで、さよなライオン♪


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