SELENA'S DANCE (TIMELESS)

RONNIE MATHEWS (1988/2/1)

SELENA'S DANCE ←click!!


【パーソネル】

RONNIE MATHEWS (p) STAFFORD JAMES (b) TONY REEDUS (ds)
【収録曲】

(01-03) IN A SENTIMENTAL MOOD / MY FUNNY VALENTINE / STELLA BY STARLIGHT
(04-05) SELENA'S DANCE / BODY AND SOUL
(06-08) THERE IS NO GREATER LOVE / BLUE BOSSA / FEE FI FO FUM
【解説】 ( 2019年03月24日更新 / 連載 1,341回 )

 第91回選抜高校野球大会 が始まりましたな。 名古屋や岐阜では桜も開花したみたいだし、いやあ、春っすなぁ。 で、僕はというと、とりあえず2つめの山は越えました。 ひとつめの山は某排水機場の除塵機設備工事。 書類の提出具合がかなり今ひとつだったんっすが、完成検査の検査官が、とっても穏健派な紳士であったため、細かいことはほとんど大目に見て貰えて、めっちゃラッキー♪ もしかしたら工事成績評定は最低評価だったりして、うちの会社の評判がドン底に落ちたりするかも知れませんが、ま、それは他の社員に頑張って貰って、サルベージして頂くとして。 サルベージくらい猿でも出来る気がするので、大丈夫なんじゃないっすかぁ? で、次に待ち受けていた2つめの山が、社有車の車検。 んなもん、何が “山” なんや? そう思われるかも知れませんが、車検の前に、クルマの荷物をぜんぶ片付けとかなアカンで! そう、経理のお姉さんに厳命されているんっすよね。 僕は子供の頃から整理整頓が大の苦手で、机の引き出しの中には給食で食べきれなかった桑名パンのパン ( ← 工場の前を通るとめっちゃ美味しそうな匂いがするのに、実際に食ってみると、限りなく今ひとつ。 揚げパンは神なのに、それ以外はゴミやな。 そう、小学生心に思わずにはいられなくて、ま、ノーマルなパンでも “耳輪土人マーク” のホイップクリームが出る日はエエんやけど、そうでなければ食べ残しちゃうのは確実。) が押し込まれていて、カビが生えていたり、カピカピになっていたり。 そんな有機物以外に、返されたテスト用紙なんかも家に持ち帰らずに、机の中に備蓄しておりました。 「0点のテストならともかく、めっちゃエエ点数やのに…」 と、担任の先生のオバハンに激しく呆れられておりました。 さりげなく、 「テストの点数はよかった自慢」 が盛り込まれておりますが、実際のところ、テストの点数はよかったんっすよね、小学生時代の僕。 クラスの中でも、 「天才 ニワくん」 に次ぐナンバー2の地位だったと自負しております。 中学生になっても、まずまず頭はよくて、クラスの中でも、顔はあまりよろしくなかったものの、成績は抜群だった某ギャルに次ぐナンバー2の地位を保持しておりました。 この “顔はあまりよろしくなかった” という修飾語は、ナンバー2の地位を保持していた僕のことではなく、某ギャルの状況を表すものだったりするんっすが、このギャル、1学期はめっちゃ真面目だったのに、夏休みが過ぎたら、いきなり急にケバくなってしまっていて、 「頭が賢い競争」 から離脱していったんっすが、これでナンバー1の地位は貰ったな! そう、心の中でほくそ笑んでいたんっすが、その後、僕のほうもズルズルと脱落していって、最終的には桑名高校にも落ちて、海星高校に通うことになってしまったんっすが、小学生の頃にめっちゃテストの点数がよかったとか、そんなもん、何のアテにもならないな…と。

 とまあ、そんな整理整頓が大の苦手な小学生が大人になって、社会人になって、社有車を貰った結果、今度は机の引き出しではなく、車の中に書類だとか、工具だとか、燃えるゴミだとか、燃えないゴミだとかを備蓄するようになりました。 結果、後部座席と助手席はただちにラゲッジスペースと化し、運転手以外に、誰も人が乗れない状況になっていたりするんっすが、めっちゃ頑張って助手席の書類を一時的に後部座席に待避させてやれば、何とか2人乗りに出来ないこともなくて、ま、急ブレーキを踏む度に、後ろのほうからファイルが飛んでくるというリスクを容認しなければならないっすけどね。 …とまあ、そういう状況であったりするのに、車検の前に、クルマの荷物をぜんぶ片付けとかなアカンで! そんなことを言われてしまって、一体、僕はどうすればいいのか、途方に暮れるばかり…。 片付ければエエんやんか! そう言われれば、それまでなんっすが、うーん、面倒くせぇぇぇ…。 3年に1回くらいなら、まだ我慢も出来るんっすが、商用車なので、毎年のように車検が来ちゃうんっすよね。 今年の車検は 3月22日。 幸い、前日が 「春分の日」 で、仕事がお休みだったので、覚悟を決めてクルマを片付けることにしました。 正確に言うと、 「社有車を」 片付けることにしました。 具体的に、どのようにするのかと言うと、社有車に積まれた書類とか、工具とか、ゴミとかを、とりあえず隣に止めた自家用車のほうに一時的に待避するという。 結果、社有車のほうは何とか片付く反面、自家用車のほうは、どんどんワヤな状況になっちゃうので、これで果たして、 「クルマを片付ける」 と言ってしまって、いいのか? そんな疑問がふと湧き上がったんっすが、そもそも、車検の前にクルマの荷物をぜんぶ片付けとかなアカンで! …って、本当にそんな義務がドライバーに課せられているんか? 経理のお姉さんが勝手に言うてるだけちゃうんけ? そんな新たな疑問も。 で、調べてみました。 分からないことは、 車検の速太郎 に聞け! 車検の時のワイパーが不合格になる基準。 そんなことは、どうでもエエねん! ちなみに、某排水機場の除塵機設備工事で納入した除塵機にもワイパーと呼ばれる機構があるんっすが、それが作動する際に、ガガン! …みたいな大きな音がして、シャフトが激しく振動したり、逆転させる際に、そのワイパーの部分が引っ掛かって、ちょっとヤバかったりして、アカンやん…。 さしもの紳士で寛容な検査官も、この点だけは見逃してくれなくて、完成検査の時のワイパーが不合格になる基準に合致したというか、合格になる基準に合致しなかったというか、とにかくまあ、後日、何とかしなければならないかも知れないな…と。 でもまあ、現場監督である僕の責任ではなく、制作上の問題なので、長崎の除塵機屋さんの人にご足労願うしかないんっすが、それはそうと、ワイパーは正式に言うと窓ふき器と呼ばれています。 …って、これ、マジなん? マジで、そんな糞ダサい名前なのだとすれば、ちょっぴり幻滅なんっすが、クイックルワイパーとかも、正式には “クイックル窓ふき器” やったりするん? でもあれ、窓ではなくて、床を拭く道具のような気がするし、クルマのワイパー限定で、クルマの窓ふき器ということなのかも知れませんが、で、車検時は車の荷物はどうすればよいのか。 これが今回、僕を悩ませている問題でありますな。

 まず、荷物を積んでいることで車検に不合格するのかということですが、結論から言うと荷物を積んでいても全く問題はないです。 あ、やっぱりそうやん! 経理のお姉さんが勝手に言うてるだけなんやん! 早まって、貴重な 「春分の日」 を半日潰して社有車の片付けをする前に、ちゃんと速太郎に確認しておくべきでしたなぁ…。 あ、でも、しかし、車によって荷物の量や重量がある商用車の場合だと、降ろすように指示される場合があります。 そんなふうに書かれておりますな。 僕の社有車は “ADバン” という車種なんっすが、もしかして商用車だったりする? そもそも、ADバンのADって、何やねん? 常々、ADバンを運転しながら、その疑問が心に引っ掛かっていたんっすが、アシスタント・ディレクターの略? だとすれば、僕の職種とまったく合致しないんっすが、現場代理人、もしくは主任技術者。 そういう立場だったりしますからね。 その双方を兼務することも多いんっすが、 現場監督と現場代理人の違いとは? あー、右の眼鏡、あご紐の耳の部分が、ちゃんと耳に掛かってないやん! 調べてみたら “あご紐の耳の部分” ではなく、 “耳紐” というのが正しい名前のようなんっすが、あご紐は、被りかたが悪いと、よく注意されるんっすが、耳紐は別にいいんっすかね? で、あご紐は、被りかたが悪いと、よく注意されるというと、左の兄ちゃん、あご紐がユルユルやん! 作業服なのに、ビシッとネクタイを締めてるし、こりゃ、営業担当者が “名前だけ現場代理人” をやってるパターンでありますな、多分。 いや、現場代理人には土建屋的な知識が求められるワケではないので、ぜんぜん大丈夫なんっすけど。 で、現場監督とは主任技術者または監理技術者のこと。 さすがに、こっちの兄ちゃんのヘルメットのあご紐は適切っすな。 ビシッとしてます。 ビシッとネクタイを締めてるとこは、ちょっぴり違和感があるんっすが、その分、ヘルメットに装着したヘッドライトで、現場感をうまく演出しているな…と。 で、現場監督と現場代理人の違いはというと、現場さえ監督していればなんとかなるのが現場監督。 その一方、現場代理人はというと、役所との契約がどうのこうのとか、下請業者に払う金がどうのこうのとか。 それらの業務は通常、社長だとか、取締役のオッサンだとかがやるものなんっすが、わざわざ偉い人に現場までご足労願うというのもアレなので、権限を現場の代理の人に委譲して、その場で何とかさせちゃおう…と。 そんな魂胆で設置された業務だったりするんっすよね。 で、現場代理人ならGDバン、主任技術者ならSGバンに乗るというのが筋だと思うんっすが、アシスタント・ディレクターでもないのにADバン。 何でや?

 その疑問に対する回答が、 こちら 。 僕は自家用車も十数年物のエクストレイルだったりするんっすが、「X」 は X-trem (=extreme) sports (スノーボード、スケートボード等、若者に人気のスポーツ競技の「X」 。 うわぁ、めっちゃチャラい…。 スノボの国母くんのイメージっすよね。 ぼく、こくぼ。 ( ← 回文 )。 もしくは、昔の2chにあった 「スノボの国母って何て読むの? カントリーマアム?」 とかいうスレタイを彷彿させますな。 で、。「TRAIL」 は、足跡、オフロード、荒れた道などを表わしている。 「X-TRAIL」 は、その2つの言葉をかけ合わせた、4×4のイメージとしての造語。 なるほど。 いい名前っすよね。 実際、オフロードとかはぜんぜん走らずに、お風呂とかに行くのに活用していたんっすが、最近はそれすらご無沙汰で、いざとなれば移動用の手段として使えないこともない倉庫…というか、ゴミ貯蔵所。 そんな感じになっちゃってます。 エクストレイルの名前が泣きますな。 そんな用途なら、セレナで十分なような? ちなみにセレナは、スペイン語で 「晴々とした」 「穏やかな」 の意。 僕はスペイン語で 「きよしこの夜」 を歌えるくらい、この言語には堪能だったりするんっすが、セレナの意味は初めて知りました。 ちなみに、どうして、そのようななものを歌えるのかというと、海星高校の授業で歌わされたからなんっすが、エスコラピオス会とかいう、スペイン人の怪しい集団が経営に関わっているんっすよね。 えーと、 これ 。 あ、修道会というのが正式な名称なんっすな。 言うほど、道を修めているようなスペイン人には見えなかったんっすが、聖ヨセフ・カラサンス。 僕らより少し下の世代だと、スペイン語の 「きよしこの夜」 のほかに、 「ヨゼフ・カラサンスの歌」 とかいうのも習ったらしいんっすよね。 前半は日本語で、サビの部分だけスペイン語になるというハイブリッドな仕様で、なかなかの名曲だったりするんっすが、1602年、クレメンス8世は彼らを青少年の教育を目的とする在俗集団として認可。 何か、何でも欲しがりそうなキャラっすよね、クレメンス8世。 で、インノケンティウス10世によって1646年に当会は誓願なしの在俗集団に変更され、うんぬん。 こっちの人はちょっぴり陰険そうなんっすが、で、我らがADバンはビジネスカーというカテゴリーの中にあります。“NV150 AD” というのが正式名称? えーと、 これ 。 “ひゃくごじゅう” なのかと思ったら、 “えぬぶい いちごーまる えーでぃー” なんっすな。 2016年11月に、ADバンをマイナーチェンジして、この名前に変えたみたいなんっすが、「NV」 は 「日産(Nissan) のバン (Van) 」、「150」 は 「車両総重量1,500kgクラス」 。 そのまんまというか、ダサっ! で、問題の “AD” はというと、「前進した」 「進歩した」 を意味する 「ADVANCED」 の略語。 なるほど。 じゃ、職種がGD兼SG、もしくはSM (Shio-saba Master) である僕がADバンに乗っても、まったく問題はないな…と。 何でもいいけど、塩サバ・マスター = SMって、ちょっと嫌…。 数ある変態の中でも、SM (サドマゾ) と、PF (パンストフェチ) は僕の理解の範囲外だというのに…。 ま、いずれにしろ、引っ張った割には、どうでもいい名前の由来やったな。 そんな結果に終わってしまったんっすが、とりあえずADバンがビジネスカーというカテゴリーに分類されている以上、やっぱりもしかして、商用車だったりする?

 で、結論を言うと、荷物は降ろしておいた方が無難です…と。 うーん、経理のお姉さんの勝手な指示というワケでもなかったんっすな。 おとなしく言うことを聞いて、前日のうちにクルマの荷物をすべて降ろしておいて、大正解でしたが、で、無事に車検も終わって迎えたこの週末。 エクストレイルに積み込んだゴミを、またADバンに戻さなければならないかと思うと、クソ面倒で、めっちゃ憂鬱…。 とりあえず手つかずのまま、今までずっと放置していた点検報告書の作成(3件分)も、出来れば来週の前半までには何とかしなければならないような気がするし、僕の “春” は、まだ一週間くらいは、やってこないような気が…。 正直、SM (塩サバ・マスター) の業務を優先している場合ではなかったりするんっすが、とりあえず今日の午後、ゴミゴミのエクストレイルの中身を半分ほど元に戻して、自家用車はゴミゴミからゴミへ、社有車はクリーンな状態からゴミへ。 喧嘩両成敗みたいな采配で、とりあえずその場を凌いで、やれやれ。 これで心の重荷は消えました。 で、それはそうと、第91回選抜高校野球大会。 香川の高松商業のエースの香川クンが13奪三振で完封って、凄ぇぇぇぇぇ! …と思ったら、星陵のエース奥川クンが履正社相手に17奪三振で完封って、もっと凄ぇぇぇぇぇ! 我が地元、桑名の津田学園のエースの前クンも、前評判は決して悪くはないんっすが、何となく、パカパカ打たれて撃沈しちゃいそうな予感が…。 東海大会の決勝では東邦に10対2で完敗して、東邦、強ぇぇぇ。 半端ねぇ。 …とか思っていたら、その東邦は明治神宮大会で八戸学院光星高に7対3で負けてるし、その八戸学院光星高は高松商業に9対6で負けてるし、その高松商業は星陵に7対4で負けてるし、その星陵は札幌大谷高に2対1で負けてるし。 甲子園で勝ち上がれる気が、まったくしねぇ…。 ちなみに、津田学園×龍谷大平安は、大会3日目の第1試合っすかぁ。 月曜日の朝イチからコケちゃうと、一週間まるまるずっとヤル気がなくなってしまうので、何とか健闘して頂きたいところではあるんっすが、もし大敗したら、退廃的になって、来週のこのコーナー、休みにしてやるぅ! …と、一方的に宣言しておいて、とまあそんなことで、おしまい。

 んなことで、今日はロニー・マシューズっす。 久しぶりに名前を聞いたことがあるキャラでありますな。 ちょっぴりヤル気をソソられる人選だったりもするんっすが、 ここ を見る限り、もしかして初登場だったりするとか? 『ドゥーイン・ザ・サング!』 は、間違いなく紹介したと思っていたんっすが、リスト漏れしちゃってるとか? 真相は不明なんっすが、とりあえず今回は 『セレナズ・ダンス』 というのを取り上げてみようかと。 『スペイン語で 「晴々とした」 「穏やかな」 の意の踊り』 っすな。 このところ頻出しているタイムレスというレーベルの1枚で、1988年の録音。 ベースはスタッフォード・ジェイムス、ドラムスはトニー・リーダスと、どちらも寡聞にして、よく知らん人材だったりします。 『ドゥーイン・ザ・サング!』 の印象は悪くなくて、ジャケット写真の眼鏡で笑顔のマシューズ君は、人柄が信頼出来そうな雰囲気だったりして、今回のこっちのほうも期待が高まるところなんっすが、トリオ編成で、スタンダード中心の選曲だったりして、その点では、ちょっぴり不安だったりします。 新主流派で、モーダルな自作曲を中心に。 そういう路線のほうがよかったんっすけどね。 ちなみにマシューズ君は1935年の生まれ。 同年生まれの米国人にはラムゼイ・ルイス、ドン・フリードマン、ボビー・ティモンズ、レス・マッキャン、ヒュー・ローソン、欧州系ではミシャ・ベンゲルベルク、ミシェル・サルダビー。ウォルフガング・ダウナー。グイート・マヌサルディと、活動期間を含めて多士済々であるが、うんぬん。 杉田宏樹クンが日本語ライナーにそんなことを書いておりますが、確かに多士済々っすな。 ファンキー、ソウル、モーダル、フリー。 どの方面にでも転べそうなんっすが、60年代はロイ・ヘインズ 『クラックリン』 、マックス・ローチ 『限りなきドラム』 、フレディ・ハバードの 『ブレイキング・ポイント』 、リー・モーガンの 『ザ・ランプローラー』 に参加。 この辺りで、僕も名前を目にしたり、演奏を耳にしたりしたことがあるのではなかろうかと。 前出の『ドゥーイン・ザ・サング!』 は63年録音の初リーダー作なんだそうで、この時点で既に28歳。 随分と遅咲きでありますが、でもまあ、小学生の時にテストの点数がよかったとか、別に何の意味もねぇな。 そんな事実が発覚した今日の時点では、遅咲きなのは、別に欠点でもなんでもないな…と。 んなことでまあ、当時53歳くらいと、すっかりいい大人になったマシューズの演奏に、少し耳を傾けてみることにしましょうかぁ。

 ということで、1曲目。 「イン・ア・センチメンタル・ムード」 。 デューク・エリントンが作曲し、1935年のブランズウィック・セッションで初録音している。 マシューズ・トリオは定石を踏まえたバラード仕立て。 約10分の演奏はテーマに続いてピアノがソロをとり、リーダスがブラッシュからスティックに持ち替えたタイミングで、トリオの熱量が増す展開だ。 そう、杉田クンが書いているようなアレが展開されております。 アルバム冒頭からバラードって…。 しかも、約10分って…。 この構成には批判的にならざるを得なかったりするんっすが、実際に聞いてみたら、ま、悪くはないな…と。 テーマ部は癖のない素直なアレンジが施されていて、よくも悪くも、オーソドックス。 黒さは希薄で、リリカルさに重点が置かれている感じなんっすが、アドリブに入ると、それなりに熱さが感じられるようになり、特に、リーダスがブラッシュからスティックに持ち替えたタイミング。 この瞬間のゾクゾク感が、いいっすなぁ。 で、杉田クンの書いていることに、一点の間違いもないな…と。 通常、10分間であればベースやドラムスとのソロ・リレーがあってもおかしくはないところ、マシューズはあくまで自身が主役を貫き通す。 1曲目から強烈なリーダーシップを発揮したトラックだ。 そんなことも書かれておりますが、決して、俺が、俺が。 ががががが! …と、我を押し通すワケではなく、トリオとしてのバランスは終始保たれていて、そういうところがちょっと、いいな♪ …と。

 で、次。 「マイ・ファニー・バレンタイン」 。 名ソング・ライター・チームのリチャード・ロジャース&ロレイン・ハートが書いた、37年のミュージカル 『ベイブス・イン・アームズ』 の挿入歌。 バラードが通例のところ、ここではアップ・テンポのボサノヴァ調にアレンジ。 このテンポ感がマシューズのピアノを気持ちよく聞かせることを、本人が意識しているのかも知れないな…と。 ピアノ・ソロもまさに絶好調で、ベース・ソロを経たエンド・テーマでもその調子を持続したのは、フェイドアウト処理がされたことからも伺い知れるな…と。 そういったアレが展開されていたりするんっすが、個人的にあまり好きではなかったりするんっすけどね、フェードアウト。 カラオケで歌う時に、困るやんけ! …と。 ジャズの場合だと、終始がつかなくなっちゃったんやろな…と。 が、マシューズくんが絶好調なのは杉田クンの言う通りで、アップ・テンポのボサノヴァ調にアレンジ。 これがもう、実に日本人好みであるな…と。 ブルボン味ごのみと、間下このみと、木の実ナナが好みな僕も、納得の仕上がり。 個人的に、ベース・ソロは別に経なくてもよかったかな。 前曲同様、マシューズはあくまで自身が主役を貫き通すべきだったんじゃね? そんな気がしないでもないんっすが、ま、そんな嫌みなベース・ソロでもないので、ま、いっかぁ…と。 でもって、テーマに戻って、最後は終始がつかなくなって、フェードアウトして、おしまい。 この最後の処理も、別にこれをカラオケで歌うワケじゃないから、ま、いっかぁ…と。

 で、次。 「ステラ・バイ・スターライト」 。 日本ではもっぱら 「星影のステラ」 という邦題で知られているんっすが、44年のパラマウント映画 『呪いの家』 の主題歌として、ヴィクター・ヤングが作曲。 そういったアレである模様っす。 B級ホラー感が半端ないこんな映画から、稀代の名スタンダードが生まれるところにアメリカという国の奥深さを感じずにはいられませんが、ここではベースのピチカートでテーマ・メロディが演奏されていて、意表をつかれて、うひょー♪ 出だし、地味で陰気臭くて、企画倒れで、失敗に終わったか…。 そんな気がしちゃったんっすが、ジワジワと次第に盛り上がりの兆しを感じさせるようになって、でもって、満を持して、マシューズ君のピアノが登場。 それ以降、とってもスインギーなトリオ演奏が展開されることになって、めっちゃエエやんけ! そんな仕上がりだったりします。 途中でまた、ベースのソロがフィーチャーされるのはちょっとアレなんっすが、えーと、スタッフォード・ジェイムスでしたか。 ジェイムス君には 「天むす」 をあげるので、それを食って、今後は少し大人しくしていて貰えると、嬉しいかな? …と。 で、次。 「セレナズ・ダンス」 はマシューズが当時6歳の愛娘のために書いて、78年作 『ルーツ・ブランチズ&ダンシズ』 に収録した 「サリマズ・ダンス」 の改題曲。 そういったアレである模様なんっすが、どうして改題したんっすかね? 娘の名前が変わったとか? 一学期まではとっても従順だったのに、夏休みに入ったら急にグレてしまって、 「サリマとか、そんなダサい名前、いらないから! 今日からセレナにするから!」 そう、宣言されちゃったとか? サリマもセレナも、そんなに変わらないような気はするんっすが、 「旅館の送迎車的な発想ではいけない」 とか、 『間違いだらけのクルマ選び』 で、徳大寺有恒センセイから駄目出しされてましたもんね、日産のセレナ。 で、この改名後の 「セレナのダンス」 。 当時6歳の愛娘のために書いたとなると、ラブリー&キュートな路線を想像するかも知れませんが、マッコイ・タイナーを彷彿させる、なかなかハードな曲調だったりして、モーダルな曲調に乗ったマシューズの高速プレイが圧巻だな…と。 そうそう、こういうのを期待していたんっすよね。 9分20妙という、なかなかの長尺物なんっすが、最後までハイ・テンションが維持されていて、凄ぇぇぇぇ! 途中、ドラムスの人との絡みもあったりして、半端なく盛り上がって、いやぁ、凄ぇぇぇぇ♪

 ということで、次。 「ボディ・アンド・ソウル」 。 一転して静謐なバラードになるんっすが、ピアノ・イントロからのテーマではホレス・パーラン風のフレーズが現れ、アドリブではトミー・フラナガンを想記させるフレーズやテクニカルな場面もあって、本来はバイプレイヤーにとどまらない実力者の姿を印象付けるな…と。 言うほど、パーラン風だったり、トミ・フラを想記させるか? ソーキ蕎麦を想記させるといったほうが、いいんじゃね? そんな気がしないでもないんっすが、言うほど、ソーキ蕎麦なワケでもなかったりするし、ま、普通にいい感じのバラードであるな…と。 ベースのソロもフーチャーされていて、お得感満載だったりするし。 で、次。 「ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラブ」 。 ノー・グレーターなので、グレてはいけない。 そんな戒めの意味を込めた愛の歌なんっすが、ミディアム〜アップ・テンポでマシューズが快調に飛ばす。 ここでもリーダスがブラッシュからスティックに持ち替えたのを合図に加速。 スタンダード曲の一節を巧みに織り込んでソロと小節交換を構成する、マシューズのセンスが素晴らしいな…と。 ブラッシュからスティックに持ち替えたのを合図に。 ここのところがやっぱりイイっすな。 君がヒールの〜 脚を静かに〜 組み替えた時〜、合図さ♪ 杉山清貴&オメガトライブの 「Misty Night Cruising」 を彷彿させますが、不純異性交遊に耽りたい。 ただそれだけの思いを、ひとつの歌に昇華させた康珍化のセンスが素晴らしいっ♪ ということで、次。 「ブルー・ボッサ」 。 言わずと知れたケニー・ドーハム作の人気曲なんっすが、これ、絶対に日本制作やろ? そう、思わずにはいられないような選曲でありますな。 タイムレスはオランダのレーベルなんっすが、もしかして日本人と感性が似ているとか? 福砂屋の オランダケーキ もめっちゃ美味そうだし。 去年、工場立会で長崎に行った時、あまりにも荷物が多過ぎて、福砂屋のカステラを買うのを断念しちゃったのが心残りなんっすが、あ、来週、除塵機のワイパーの調整で、長崎からメーカーの人が来てくれることになっているんっすが、手土産とか、お気遣いは不要ですんで、そこんとこヨロシク☆ で、演奏のほうは、マッコイ・タイナー譲りの豪快なピアノ・トリオで始まり、マシューズが勇猛果敢に突き進めば、リーダスはチェンジ・オブ・ペースを切り口にロング・ソロを組み立てているな…と。 哀愁に満ちたボサノヴァ…というより、かなり攻めている感じのアレなんっすが、それはそれで、悪くないな…と。

 でもって、ラスト。 「フィー・ファイ・フォー・ファム」 は 64年の 『スピーク・ノー・イヴィル』 に初収録されたウェイン・ショーターのオリジナル曲。 ちょっと意外なチョイスで、決して日本人好みな感じではなかったりするんっすが、マシューズの新主流派な血が騒いだということなんっすかね? 演奏そのものは普通に良好で、とまあそんなこんなで、今日のところは以上っす。

【総合評価】 オリジナルの 「セレナのダンス」 の出来がよかったので、もっとこの路線で推し進めて欲しかった気もするんっすが、スタンダードやジャズ・オリジナルの出来も悪くないし、セレナちゃん (旧・サリマちゃん) の更生に期待する意味も込めて、星5つを進呈したいと思います。
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