SOULMATES (RIVERSIDE)

BEN WEBSTER (1963/9/20,10/14)

SOULMATES ←click!!


【パーソネル】

BEN WEBSTER (ts) THAD JONES (cor) <#2,4,5,8> JOE ZAWINUL (p)
RICHARD DAVIS (b) <#1,3,6,7> SAM JONES (b) <#2,4,5,8> PHILLY JOE JONES (ds)
【収録曲】

(01-03) TOO LATE NOW / SOULMATES / COME SUNDAY
(04-06) THE GOVERNOR / FROG LEGS / TRAV'LIN' LIGHT
(07-08) LIKE SOMEONE IN LOVE / EVOL DEKLAW NI
【解説】 ( 2021年12月05日更新 / 連載 1,468回 )

 料理の基本は 「さしすせそ」 。 そんな言葉がありますよね。 前回 、そのいずれにも属さない 「みりん」 を取り上げたんっすが、その続き。 何なら、年内は “調味料ネタ” だけで乗り切る覚悟だったりもするんっすが、「さしすせそ」 以外にも、いろいろありますからね。 一人暮らしに必要な調味料リスト19選 。 おお、こんなに。 このうち、 「料理酒」 と 「ポン酢」 に関しては前回、取り上げてしまったので除外するとして、あと 「カレー粉」 「 小麦粉」 「片栗粉」 のトリオ。 お前ら、調味料か? ただの “粉(こな)もん” じゃね? そんな気がしないでもないので除外するとして、残り14種類。 年内どころか、年度内もイケますかね? いや、さすがにそれはちょっと厳しいっすか。 ま、いざとなれば追放した “粉(こな)もん” を呼び戻せばいいんっすが、小麦粉も 「小麦粉ぉ!」 という、曖昧とした概念ではなく、強力粉、中力粉、薄力粉に分けてやれば、それだけで3回分はイケるし。 で、小麦粉だけではアレっすよね。 揚げ物が 「天麩羅」 だけになってしまいますよね。 天麩羅は天麩羅で美味しいんっすが、昨日が海老の天麩羅、今日も海老の天麩羅となると、さすがに飽きますよね。 ちょっと気分を変えて、今日は海老フライにするかぁ! …となると、パン粉が必要になってきます。 小麦とか、パンとか、お前ら、非国民かよ? 日本人ならやっぱ、お米やろ!? そんな批判が出てくる場合に備えて、米粉も連れてこなければなりません。 小麦って、お前ら、麺類は 「うどん」 しか食わないつもりか? そんな難癖を逃れるには、蕎麦粉が必要になってくるし、主食部分だけでなく、おやつ部門にまで視点を広げると、上新粉だとか、道明寺粉だとか。 関西風の桜餅、というか、 こういうやつ 以外、桜餅とは認められないんっすが、これに使われているのが道明寺粉らしいんっすよね。 逆に、桜餅以外には使い道がなさそうな粉だったりするんっすが、んーと、 これ桜餅から椿餅、おはぎ、あるいはみぞれ羹 (道明寺羹) など、幅広く使われています。 おお、桜餅以外にも、使い道があったんっすな。 椿餅とか、聞いたこともないんっすが、桜餅の桜の葉っぱを塩漬けしたヤツの変わりに、椿の葉っぱで巻いてあるんっすかね? 桜餅の葉っぱを食べるか食べないかは、論争の的だったりするんっすが、ちなみに僕は断然、食べる派。 あの葉っぱのしょっぱさと、あんこの甘さとのコントラストが、桜餅の神髄やろが! そう、声を大にして言いたいんっすが、そんな僕も柏餅の葉っぱは、食べない派。 で、椿餅とやらの葉っぱも、食べたくない派に属することになると思うんっすが、そもそも 「つばき餅」 って、ネーミングが、つばき = 唾液っぽくて、ちょっと嫌…。 唾 (つばき) の意味唾液腺 (だえきせん) から口の中に分泌されるねっとりした消化液。 うわぁぁぁぁ…。 解説を読んだだけで、嫌な液感が半端なかったりするんっすが、そんな餅、食えるかぁぁぁぁぁ!

 椿餅 。 あ、こういうのなんっすかぁ。 見た目、ちょっと寿司っすよね。 で、餅の部分は確かに道明寺っぽいっす。 どうやら、立春大吉! 節分 (二月三日) 前の限定和菓子みたいなんすが、和菓子老店 「亀屋良長」 っすかぁ。 京都に春を呼ぶ、2月の和菓子5選 。 ここにありますな。 この中ではいちばん上の 「赤鬼」 のヤツが、いちばん出来がよくて、 「椿もち」 がいちばん、寿司。 そんな気がするんっすが、日本最古の餅菓子なんっすかぁ。 で、源氏物語にも記載されているんっすかぁ。 源氏物語って、源氏パイのことしか書いてないと思っていたので、ちょっと意外なんっすが、で、上新粉とか道明寺粉以外に、和菓子にはどんな粉が使われているかというと、 これ 。 種類、多過ぎぃ! で、寒梅粉とか、なかなか風流なネーミングだったりするんっすが、関東では 「みじん粉」 とも呼ばれています 。 何か、水中でプランクトンとして生活する微小な甲殻類みたいで、関東人、センス悪過ぎぃ…。 そんなだから、 こんな桜餅 を食って、喜んでいるんっすな。 可哀想…。 こんなん、桜の葉っぱの塩漬けが巻いてあること以外、桜の要素がないやんけ! いや、桜の葉っぱの塩漬けが巻いてあれば、それは立派な “桜” の要素だと思うし、それは関西バージョンでも同じなんっすが、そもそも、桜の葉っぱを塩漬けにして食うという発想自体が、(いい意味で) 狂ってますよね。 いや、桜の葉っぱは食わないけど? そういうヤツとは友達になりたくないので、無視するとして、桜餅の葉っぱ、食べる?食べない? 読んでみたら、何とも曖昧なことしか書かれていなかったんっすが、クレープ状にあんを巻いて、しかも葉っぱを食べないとか、あり得ねぇ! そんなん、桜餅を冒頭する悪魔の所業やんけ! そう、強い口調で断罪して欲しかったところなんっすが、 で、関西の桜餅が道明寺なのに対して、関東の桜餅は長命寺なんっすな。 1717年頃に江戸の向島 (現在の東京都墨田区向島) にある長命寺の門番であった山本新六が、土手に植えられていた桜の木の落ち葉に悩まされ、葉っぱを何かに使えないかと考えた末に、樽で塩漬けにした葉っぱをお餅に巻いたのがはじまりとされています。 ほぉ、なるほど。 というか、関東のほうが本家やんけ! で、しかも、 お花見の定番、桜餅の 「葉を食べる」 人は約60%。しかし発祥の店のおすすめは逆だった?! うわぁぁぁぁ、マジかよ…。 一方で、山本さんは 「桜の葉は外して召し上がることをおすすめしている」 といいます。 うわぁぁぁぁぁ…。 山本さんがそう言ってるんだったら、答えは出ましたよね。 反論の余地はありません。 世の中、 “数の力” こそ、パワー。 65%の方が「桜餅」といえば道明寺粉を使った 「関西風」 を連想して、 「気分によって、食べることも食べないこともある」 と合わせると、84%の方が桜の葉も食べるという結果。 これが、すべてなんやぁぁぁぁぁ! …ということで、よし、勝ったな!

 で、はったい粉 (麦こがし) 。 ああ、ありましたなぁ。 はったい粉 (麦こがし)という名前は、ぜんぜんピンとこないんっすが、子供の頃によく食べさせられた 「こうせん」 というヤツと同じなのではなかろうかと。 これ っすよね。 おお、これこれ。 懐かしい。 これがまた、ぜんぜん美味くないんっすよね。 おやつに 「こうせん」 を出されても、嬉しくもなんともなくて、よく、口から粉を吹き出して、 「こうせん銃だぁ!」 とか言って、遊んでました。 こうせんと、光線銃を掛けたワケでありますな。 こうせんと、どうしようもないくらい ( ← 「こうしないと、どうしようもないくらい」 の意)、美味くもなんともない 「こうせん」 だったんっすが、これ、どうやって食べるのかというと、そのままでは味も何にもなくて、むせるだけなので、黒砂糖の塊を削って粉状にしたものを混ぜて。 何故、普通の砂糖ではなくて、黒砂糖だったのかというと、普通の砂糖は体に悪いから。 「こうせん」 は体にいいのに、砂糖なんか混ぜたら台無し。 そういう発想から、普通の砂糖よりは体によさそうな黒砂糖というチョイスになったんでしょうが、黒砂糖って普通の砂糖と違って、何かクドくて、あまり好きではなかったんっすよね。 で、 「こうせん」 にはもうひとつ。 湯で練って食べる。 そういう手段がありました。 これ っすな。 これ、見た目も悪いし、味もよくないので、まだ黒砂糖を混ぜて食うほうがマシだったんっすが、きな粉はおいしいのに、どうして 「こうせん」 は、こんなにアカンのや…。

 で、そうそう。 きな粉。 これを忘れておりました。 個人的に “粉もん” の中で、いちばん好きだったりするんっすが、 「きな粉」 という独立した唯一無二の存在なので、 “粉もん” の一種という認識が無かったんっすよね。 きな粉、美味いっすよね。 どうやって食べるのかというと、きな粉に砂糖を入れて、よく混ぜ合わせて、温かい御飯にかけて食う…という。 うげっ! …と思われるかも知れませんが、きな粉の 「おはぎ」 って、あるじゃん? アレの餅米じゃなくて、うるち米で、中にアンコが入ってないバージョンだから、ぜんぜん、おかしくないじゃん! ほれ、ちゃんと クックパッド にもあるじゃん! で、塩を少し入れるのもポイントです (はあと)  そうそう、これ。 塩を少々入れると、砂糖の甘さが引き立つんっすよね。 で、この場合の砂糖というのは、普通の砂糖でエエんか? 黒砂糖ちゃうんか? そう、思われるかも知れませんが、普通の砂糖で大丈夫です。 「こうせん」 には黒砂糖、きな粉には普通の砂糖。 そう、子供の頃から決まってました。 根拠は不明っす。 普通の砂糖と言っても真っ白ではない “三温糖” とかいう微妙なヤツだったので、普通の砂糖に比べれば、まだ体には悪くない。 そういう判断だったんでしょうか? じゃ、 「こうせん」 にも三温糖でいいじゃん。 そんな気がしないでもないんっすが、僕が決めた事ではないので、僕に根拠を聞かれても困ります。 「さぁ、なんでやろ?」 としか、答えようがありません。 で、砂糖と塩。 料理の基本は 「さしすせそ」 。 その最初の2つが登場しましたな。 いよいよ本題に入らなければならないんっすが、佐藤敏夫とか、佐藤俊夫とか、佐藤俊郎とか、佐藤俊雄とか、佐藤敏雄とか、佐藤敏男とか、佐藤利雄とか、佐藤敏郎とか、佐藤登志夫とか、佐藤斗司夫とか、佐藤十四雄とか、いろんな漢字の 「さとうとしお」 が、自分の名前をパソコンで入力しようとしたら、「砂糖と塩」になってしまった。 うわぁぁぁぁぁぁ。 …ということで、砂糖と塩は、おしまい。

 本題に入った瞬間、 「さしすせそ」 のうちの40%を浪費してしまったんっすが、年度末まで、あと4ヶ月ほど。 残りの 「すせそ」 と、 サラダ油と、ごま油と、マヨネーズと、ソースと、ケチャップと、コンソメと、鶏がらスープの素と、めんつゆと、粉もんで、乗り切れますかね? 粉もんは既に、かなり使っちゃったし…。 残された粉もんって、金粉くらいしかなかったりするんっすが、金粉ショーか、ソソられる要素がどこにあるのか、まったくもって理解不能。 ちんぷんかんぷん、金粉。 分からないことの代名詞っすよね。 ちなみに 「ちんぷんかんぷん」 という言葉は 「珍文・漢文」 から来ている。 そんな話を聞いたことがあるような気がするんっすが、珍な文は、ワケが分からないし、漢文もよく分からんし。 …みたいな。 が、 「ちんぷんかんぷん」 の語源はなに? 何となく、ちゃうやん! 中国語で、聞いて分からないことを 「チンプトン」 、見て分からないことを 「カンプトン」 というのでそれが転じて、うんぬん。 何かこれ、めっちゃソレっぽいんっすが、これが語源ということではアカンのっすかね? もう、これでエエやん! そんな気がするんっすが、ただ、金粉ショーだけは許せんな! …と。 ソソられるか、ソソられないか、見て面白いか、面白くないかは個人の趣向によるものなので、許す、許さんの話ではないかも 知れませんが、中国・上海からの観光客も 「許さん」 と言ってるし、僕も許さん! …ということで、 “粉もん” のネタは、これで枯渇しました。 いよいよ、調味料ネタで年を越せるかどうかも怪しくなってきたんっすが、ということで、ソース。 「さしすせそ」の “そ” っすな。 …と思ったら、違うんっすな。 先週も書いたんっすが、砂糖・塩・酢・醤油(せうゆ)と来て、最後は味噌の “そ” 。 無理があるがな! 普通に “ソース” ではアカンのっすかね? もう、ソースの “そ” で、エエやん! そんな気がするんっすが、一言でソースと言っても、奥が深いっす。 今日の昼、たこ焼きを買うことにしたんっすが、ソース味と、しょうゆ味があるのかぁ。 ソースとしょうゆ、1パックずつにするかぁ…と。 が、メニューを見たら 「みたらし団子」 というのがあって、久しぶりに食べたくなったので、 「たこ焼きのソース…と、みたらし団子、5本っ!」 を注文したんっすが、店のお兄さんは、まず「みたらし」のほうをパックに詰めて、で、 「たこ焼きは、ソースでよかったですよね?」 そう聞かれて、思わず 「そーっすねぇ。」 と答えてしまって、洒落やがな! …と、心の中で自分に突っ込みを入れてしまった、お昼前。 そういうアレだったんっすが、たこ焼き(ソース)、美味しかったっす。 たこ焼きのソースは、いわゆる 「たこ焼きソース」 というヤツで、普通のソースとは違う、ドロっとしたヤツなんっすが、 「お好み焼きソース」 というのも、そーっすよね。 僕が子供の頃、本場の広島ではどうだったのか知りませんが、少なくとも桑名ではドロっとした専門のソースは売られてなくて、家でお好み焼きを焼いて食べる時は、普通のソースを掛けてましたな。 普通のソースというのは、いわゆるウスターソースなんっすが、当時でもドロッとした 「豚かつソース」 というのはあったんっすけどね。 豚かつソースとウスターソースの中間くらいの濃さの 「中濃ソース」 というのもあったんっすが、ウスターソースというのは濃くないから、 「薄(うす)たー」 なんやな。 …と、子供なりに納得していたんっすが、もしかして、違うとか? ということで、次回は 『ウスターソースの謎』 について迫ってみたいと思うので、乞うご期待!

 んなことで、今日はベン・ウェブスターっす。 ベンと言えば、 前々回 でしたか、 キッツという名前のバルブメーカーの話を書いたんっすが、ベンという名前の弁屋さんもあったりしますよね。 これ 。 何故か桃のマークだったりするんっすが、 桃太郎U という名前の電磁弁がモノタロウで売られていたりします。 ま、モノタロウ以外でも売られているんっすが、やっぱ “モモタロウ” はモノタロウで買いたいっすよね。 で、ベン・ウェブスター。 昔、この人の名前を詠み込んだ駄句を作った記憶があります。 2人姉妹、上、ブスだー、ヤングのほうは可愛い。 ま、わりとありがちな話ではありますが、中身は酷いし、ぜんぜん五七五じゃないし、何より、ベン、どこいった? よくよく考えたらこれ、ウェブスター・ヤングを詠んだ俳句だったので、この話はなかったことにして。 で、ベン。 日本でもわりと人気があります。 前回 のコールマン・ホーキンスのレビューで、魅惑のムードテナーというフレーズを連発したんっすが、そのジャンルを名人芸の域にまで高めたのが、このオッサン。 むせび泣くバラードが、たまらんっ♪ ただちょっと、中間派っぽい感じがするところがキュウリっぽくて、アレだよね。 そう、河童が言っておりましたが、キュウリは 「キューカンバ」 やがな。 中間派、ちゃうがな。 …と、いつものネタを披露しておいて。 で、ベン・ウェブスターも悪くはないんだけど、ちょっと古臭いのがなぁ…。 そんな、河童と同じような感想を持っている人にお薦めしたい1枚を発見しました。 『ソウルメイツ』 。 1963年に吹き込まれたリバーサイド盤。 ベン・ウェブスターとリバーサイドって、まったくイメージが繋がらないんっすが、こんなアルバム、あったんっすな。 で、これ、半分のセッションにサド・ジョーンズが入っている…というのは、まだ何となく分かるんっすが、ピアノがなんと、ジョー・ザヴィヌル。 え? あのウェザー・リポートのハゲたおっさん? 多分、そうだと思います。 ジョーはともかく、ザヴィヌルなどという珍しい名前のオッサンが、アメリカにそんなにたくさんいるとは思えません。 ジャケットにも、後ろのほうにちょこんと、かしこまって座っている姿が写っておりますが、帽子を被っているので、ハゲているかどうかは、定かでありません。 というか、あんた、レスター・ヤングとテディ・ウィルソンのアルバムは、ジャケットに2人写っていて、絵を書くのが面倒だから、パス…とか、言ってたやん。 そう、思われるかも知れませんが、ま、確かにこれも面倒そうなんすけどね。 が、その労力に見合うだけの成果が得られる名盤であるに違いない。 そんな予感があったりするので、やるときは、やる! そんな気概を見せつけたいと思います。 ベースはリチャード・デイビス、またはサム・ジョーンズだし、ドラムスはフィリー・ジョー・ジョーンズだし、その他のサイドマンもソソられまくりなので、ということで、では演奏を聞いてみることにしましょう。

 まずは1曲目、歌物スタンダードの 「トゥ・レイト・ナウ」 「遅すぎた」 っすか。 何となく歌詞の展開が読めるんっすが、んーと、 これ 。 ま、思った通りの失恋ソングでありますな。 世界広しと言えども、柳生博と言えども、清水健太郎の 「失恋レストラン」 を超える失恋ソングは、なかなか無かったりするんっすが、ブレーンバスター、ブレーンバスター、ブレーンバスター、早くぅぅぅ♪ 失恋して自暴自棄になって、プロレス技で痛めつけられるのを所望しているのかと思ったら、違うんっすな。 んーと、 歌詞ネェーマスター ネェーマスター ネェーマスター ハヤク。 何でカタカナなんや? …というのが謎なんっすが、涙忘れるカクテルとか、痛みを癒やすラプソディーとか、失恋までのフルコースとかを、マスターに注文しているだけだったんっすな。 何や、しょうもない、作詞つのだひろ。 「失恋レストラン」 を超える失恋ソングなど、いくらでもある事が判明したんっすが、この 「トゥ・レイト・ナウ」 も、そのひとつ。 『恋愛準決勝戦』という不思議な邦題がつけられた、 Royal Wedding という映画は、うんぬん。 何や、その邦題。 …というのは置いといて、このバージョン、屈指の名演でありますな。屈斜路湖に棲息している屈指の謎の生き物、クッシーをも超えたかも? サド嬢抜きのシンプルなカルテット編成なんっすが、ジョー・ザヴィヌルの玉を転がすようなタッチのピアノに続いて、ベン・ウェブが切々とテーマを歌い上げるんっすが、これぞ、むせび泣く魅惑のムードテナーの極み。 サブトーンって言うんっすか? 座敷に座るときに尻の下に敷くヤツ。 それは座布団だから違う気がするんっすが、 サブトーンってなに? おお、これ、なかなか分かりやすいっすな。 これぞ、ムードテナーといった奏法なんっすが、で、テーマの後、まず最初にザヴィヌルのソロがフィーチャーされます。 ぜんぜんウェザー・リポートっぽくない、オーソドックスな純ジャズなんっすが、ちょっぴりレッド・ガーランドっぽい、極上のカクテルピアノ。 このハゲ、なかなか、やるやん♪ 続いてベン・ウェブがムード満点なソロを披露して、でもって、テーマに戻って、おしまい。 冒頭から、これぞベン。 そんな世界を聞かせてくれました。

 で、次。 アルバム・タイトル曲の 「ソウルメイツ」 。 その昔、テレビの音楽番組で、アイドルのバックで踊ってましたよね。 …って、それはスクールメイツ。 「噂のふたり」 竹島 宏 with スクールメイツ 。 2019年になっても頑張っているみたいで何よりなんっすが、ま、ソウルメイツというのは、スクールメイツから学校の要素を除外して、そこに 「魂(たましい)」 を吹き込んだものだと思って貰えれば。 で、これ、ベンくんのオリジナルみたいなんっすが、シャープなタイコに続いて、ベースとピアノが入って、で、2管のハモリでテーマが演奏される…と。 そういうアレだったりするんっすが、ブルージーで、グルーヴィで、ファンキーで、何ともいい雰囲気。 ソロ先発はサド・ジョーンズなんっすが、何と言うか、味があるな…と。 続くベンくんのソロは、やっぱりちょっと中間派っぽくはあるんっすが、とってもムーディ勝山で、何と言うか、やっぱ味があるな…と。で、次に出てくるザヴィヌルのソロがめっちゃよかったりして、最後、2管の “クサい” 絡みで大いに盛り上がって、あ、そういえば新型コロナウィルス。 デルタ株とか、ミュー株とか、いろいろ出て来て、このまま順調に変異を続ければ、そのうち “クサイ株” というのが出てくるな! …と、楽しみにしていたのに、そこをすっ飛ばして、オミクロン株。 あまりにもご無体な仕打ちだと思わずにはいられませんが、で、先日、朝の出勤途中にNHKラジオのニュースを聞いていたら、オミクロン株の話が出て来て、それにちなんでポール・チェンバースの 「オミクロン」 という曲が流されてました。 調べてみたら、 これ のいちばん最初に入っているんっすな。 桑名水郷花火大会っすかぁ。 新型コロナウィルスの影響で2年続けて中止になってしまったので、来年こそは! そう、願わずにはいられませんが、アルバムの冒頭を飾るのはドナルド・バード作曲の 「オミクロン」 という曲です。 オミクロン。ちょっと変な名前ですよね。 そんなことが書かれておりますが、ドナルド・バードも65年後にこの曲が再び脚光を浴びることになろうとは、思いもしなかったでしょうな。 …とまあ、それはともかく、2管の “クサい” 絡みで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 「カム・サンディ」 。 エリントン・ナンバーなので、中間派っぽくなる予感が半端なかったりするんっすが、ザヴィヌルのゴージャスなピアノに始まり、ベンくんが臭みたっぷりにテーマを歌い上げる。 そんな、期待通りの仕上がりでありました。 サブトーンのサブが、もはやメインになっちゃってる感じなんっすが、この確立された芸風は、何人も近寄りがたい威厳に満ちていて、ああ、インゲン、食いてぇなぁ…と。 そんな、急に無性に食べたくなるようなものでもないんっすけどね、インゲン。 で、続くピアノのソロはテーマ・メロディを軽くフェイクする感じ、ベースのアルコを添えて。 そんな感じのアレだったりして、で、最後にベンの “クサい” ソロが出て来て、テーマに戻って、おしまい。 で、次。 「ザ・ガヴァナー」 はベンくんのオリジナル。 ガヴァナーって、何や? …と思ったら、知事のことらしいんっすが、個人的には知事よりも痴女のほうが好きなので、うーん…。 あまり期待が持てそうにないんっすが、聞いてみたら、まあまあ、悪くはないな…と。 ハード・バピッシュな感じっすかね? 2管のハモリでテーマが演奏されて、テナー、コルネット、ピアノの順で、各自の短めなソロがフィーチャーされて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ま、普通に知事やったな…と。

 で、次。 ジョー・ザヴィヌルのオリジナルで、 「フロッグ・レッグス」 「カエルの足」 っすか。 そう言えば、ベン・ウェブスター (Ben Webster、1909年3月27日−1973年9月20日)(「ザ・ブルート」、もしくは「フロッグ」という呼び名でも知られている) は、アメリカ合衆国のジャズ・テナー・サックス奏者っすよね。 あだ名の由来は、ちょっぴりカエル顔だからではないかと思われるんっすが、あまり下手なことは書けません。 戸塚宏くん のことを 「カッパ頭にカエル顔」 と書いた週刊誌の記者が、名誉毀損で訴えられていましたからね。 世の中、核心を突けばエエちゅうもんでもないんやな。 そう、思い知らされる事件でありましたが、 で、曲のほうはというと、さすがはジョー・ザヴィヌル。 カエルの子はカエルというか、いや、それはちょっと違いますな。 カエルの子はオタマジャクシ、もしくはカエルの卵だし、栴檀は双葉より芳し。こちらのほうが適切かと思いますが、この頃から既に、作曲の才能を発揮していたんっすな。 ファンキーとモーダルが入り交じったような曲調で、ベン・ウェブスターのキャラには合ってないような気もするんっすが、ベン御大は普通に自分のスタイルで溶け込んじゃってますな。 …といった感じのソロがあって、続いてサド・ジョーンズが登場。 このオッサンのキャラには普通にマッチした曲調なので、余裕綽々、釈由美子。 そういうアレだったりして、で、続いて、満を持して、作曲者本人が登場。 これ、ブラインドフォールド・テストで出題されたら、正しくジョー・ザヴィヌルと答えられる人は極めて些少だと思うんっすが、僕の実力を持ってしても、厳しいかな…と。 車の中ではニュースの時間以外、カーステレオにつないだ Walkmanで 6,000曲くらいのジャズの楽曲をランダムで流していることが多いんっすが、1人ブラインドフォールド・テストをやると、けっこう当たるんっすよね。 正答率25%くらい? 自分が持ってる音源だから、当然やろ? むしろ、低すぎやろ? そう、思われるかも知れませんが、買ったときに1回だけ聞いて、それっきりというのも少なくないっすからね。 で、ラジオから「オミクロン」が流れた時も、当てたから! このテナーは、コルトレーンっぽい? 次のラッパは、うーん…、ドナルド・バード? で、後から調べたら、どちらも合ってたから! そんな僕も、このジョー・ザヴィヌルを当てる自信は皆無なんっすが、電化サウンド以外で、まずこの人の名前は出て来ませんよね。 貴重な一面を見ることが…、というか、聞くことが出来て、よかったな♪ …と。 でもって、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 「トラヴェリン・ライト」 。 珠玉のバラードっす。 しゅごぉく、いいっ♪ そのように評価していいのではなかろうかと。 トラヴェリン・ライト? 旅行の…灯り? 意味はよく分からんのっすが、 んーと、 これ 。 あ、灯りじゃなくて、軽いほうのライトなんっすな。 こうやって歌詞の意味を知ると、ますますベン・ウェブスターのテナーが骨身に染みるんっすが、カエル顔の癖に、なかなかヤルやんけ! …と。 で、続くピアノのソロは、頭髪が不自由な癖に、なかなかヤルやんけ! で、次。 「ライク・サムワン・イン・ラブ」 。 バラード連発かと思ったら、そうではなく、ミディアム・ファストで、軽快に。 もともと、 こんな感じ の脳天気歌謡曲っすからね。 ベンくんの吹奏は多分に中間派なんっすが、何と言うか、許せるな…と。 金粉ショーは、許せん! …と、イキっていたのに、ここに来て態度を軟化させるのは、如何なものか。 そう、思われるかも知れませんが、もともと僕は 「寛容の人」 の人っすからね。 時々、ここ に行ったりする 「日永カヨーの人」 だったりもするし。 んなことで、ラストっす。 サド・ジョーンズのオリジナルで、 「イヴォル・デクロー・ニ」 。 タイトルが意味不明だし、「デクロ いち・に」 に見えたりするんっすが、 「でくろーに」 。 いかにもサド嬢っぽい楽曲で、サドくん本人も加わって、リラックスしたムードで演奏が進められていくんっすが、ピアノ、テナー、コルネットと続く各自のソロはどれも傾聴に値するもので、最後はフィリー・ジョーが軽く締めて、テーマに戻って、今日のところは以上っす。

【総合評価】 ピアノがジョー・ザヴィヌルだという意外性、ベン・ウェブスターなのにリバーサイド盤だという意外性。 こんなアルバムがあることを、何で今まで教えてくれへんかったんや? そう、言いたくなる究極の “隠れ名盤” でありまして、クソ面倒そうなジャケ絵を書くだけの価値は、間違いなくあるな…と。 今から、そのジャケ絵を書かなければならないのかと思うと、ちょっとアレなんっすが、文句なしに超オススメ☆


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